フランス宮廷のファッションを牛耳る女性の物語スタート = 磯見仁月「ローズ・ベルタン 傾国の仕立て屋 1」(バンチコミックス)

2020年3月3日火曜日

ローズ・ベルタン

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 革命前のフランスのルイ16世の時代、宮廷文化はルイ14世、ルイ15世の拡大政策の後を受けて、財政はひっ迫していながら最高潮に達した時代といってよく、その女性のリーダーの中心はルイ16世の王妃であった「マリー・アントワネット」であったといっていいのではなかろうか。


マリー・アントワネットや彼女の周辺の貴族や貴族夫人たちについては、「ベルサイユのバラ」を皮切りにいろんな漫画が描れているのだが、その時代のファッション界を正面から描いたものは今までなかったように思う。この時代、マリー・アントワネットがファッション界をリードし、流行を作り出すのをサポートして「モード大臣」と呼ばれた仕立て屋・ローズ・ベルタンの成り上がり物語を描く「傾国の仕立て屋」シリーズの第1巻


【構成と注目ポイント】


構成は


1軒目 可愛いドレス

2軒目 お針子が売るもの

3軒目 パレ・ロワイヤル

4軒目 男の性

5軒目 3人目のマリー


となっていて、ローズの生まれ故郷であるフランスの地方都市・アブヴィルで貧乏な仕立て屋修行のところからスタート。アブビィルはフランス北部のドーバー海峡に使いところにある都市で9世紀から都市として成立してた古い都市のようですね。ただ、第2次世界大戦のため、古い建物とかは破壊されているらしい。

 ここで女性一人で「仕立て屋」を営んでいるわけだが、同業者も含め男性たちの目は冷たいようですね。


当時、女性が独り立ちするためにはかなりの困難があったはずで、彼女が故郷で仲良し(のふりをしている)役人の娘・ララのように、稼ぎのいい男をつかめて結婚するっていうのが、安定した生活を送っていくのに一番手っ取り早いし、正統な方法。このへんは、ルネサンス期の女性画家を描いた「アルテ」でも共通したことですね。

 そして、ララに想いを寄せていた人を横取りされたことで、パリに出て、成り上がってやろうとするのですが、ここはかなり短絡歴な行動ではあります。


というのも、パリの仕立て屋といっても、お針子として成功するかどうかは、裁縫の腕というより、女性としての美しさと金持ち貴族たちをどう籠絡できるか、というところが大事で、その典型ともいえるパリ一番のお針子「マリー・ジャンヌ・べキュー」という女性ですね。


 彼女は、「ア・ラ・トワレット」という洋装店で勤めていたときに、金持ちの貴族・デュ・バリー子爵のお妾さんとなり、その後、ルイ15世が彼女に惚れて「公妾」にした、といういわゆる典型的な「側室」として成り上がった女性で、彼女がデュ・バリー子爵に気に入られるきっかけとなったドレスをベルタンが仕立てた、という筋立てになっています。


このドレス、遠目からみるよシックな「淑女風」のものなのですが、近くに寄って見ると、かなり「エロい」仕立てになっていて、その肉体的魅力で、ルイ15世の寵姫となったべキューらしいドレスですね。


 さらに、ベルタンがべキューに仕立てる服のアイデアをつかむため、パリの娼婦街をうろついているときに、後にマリー・アントワネットの専属の美容師となる「レオナール・アレクシス・オーティエ」と知り合いになっている、という設定で、ベルタン、オーティエ、ベキューことバリー子爵夫人といったフランス宮廷文化が爛熟期を迎えていた時代のファッション界を牽引した人物たちを勢ぞろいさせています。


さて、上昇志向の強い「ローズ・ベルタン」が誰とつるんで、フランス・ブルボン王朝に食い込んでいくのか、次巻以降に期待ですね。


【レビュアーから一言】


本シリーズの舞台となるルイ15世からルイ16世の時代は、太陽王と呼ばれたルイ14世がおこしたネーデルランド継承戦争などの戦費負担に加えて、ルイ15世もオーストラリア継承戦争に首をつっこんでさらに国の財政赤字を増やした、という時代ですね。度重なる戦争での勝利で、フランスの国威は上がっていって宮廷文化は華

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