イケメンながら妙なデザインのジャケットと時代遅れのループタイを見につけ、美食家ではあるが、普段の昼食がデリバリーの弁当という探偵「明智五郎」が、行きつけのデリバリー弁当屋の若いオーナー「小林苺」とともに、明智が生み出してしまった「殺人狂」マグダラのマリアの犯行に挑む「美食探偵」シリーズの第3弾。
前巻までで、稀代の殺人鬼・マグダラのマリアを生み出した上に、彼女がアシストやサジェストをした、ホテルのモーニングによる毒殺や、バゲットによる窒息殺人の犯人を逮捕することのできなかった、明智五郎が高校時代の友人の殺人事件の謎に挑むのが本巻。
【あらすじと注目ポイント】
今回の事件は、都会のタワーマンションに住む「個人投資家」夫婦。この個人投資家は奥さんと二人暮らしなのですが、彼の母親から、毎日、手作りの煮物やら佃煮などの惣菜が大量に届きます。
本来なら、自分の好みの大容量の冷蔵庫に自分の好みの食材をいっぱいにしたいのに、姑からの荷物で占拠されてしまう、という状態ですね。
夫の母親からしたら、家で仕事をしている旦那に三食ご飯をつくらないといけない嫁の手間を省いて、しかも息子が子供の頃から好きな料理を食べさせたい、との「母親の愛情」なのですが、奥さんにしたらこれは形を変えたDVですな(小林苺は「キッチン・ハラスメント」と表現してますね)
このあたりは、巻の後半のほうで、この荷物の中身を見た、「苺」と「明智」では反応が違うので、男性と女性で好悪の判断が極端に分かれるところかもしれません。。
で、不満を溜め込んだこの主婦はチャットルームで「マリア」に悩みを打ち明けるのです(ハンドルネームは「れいぞう子」という意味深な名前です。)が、今回はマリアが殺人の具体的なアドバイスをする前に衝動的に決行されてしまいます。犯行そのものにマリアが関わったというものではないのですが、立派な「教唆犯」といえるかもしれません。
で犯行のほうは、マリアの「捨てなさい」という言葉に誘導されるように、冷蔵庫の中の姑の手料理と味噌を捨てまくっているところを、夫に咎められ、思わず手近にあった包丁で「ブスッ」という犯行です。で、普通なら見事に犯行隠蔽ということになるのでしょうが、殺された夫(学生時代からとても几帳面で定評がある感じに描かれてます)が、明智五郎の高校時代の同級生で、出席と回答していた同窓会に無断で欠席したことで、明智が疑念を持ち始めます。もっとも、この高校時代のエピソードで、寮生活の食事に馴染めない彼に対して、実家から母親手作りの料理が送ってもらえばいいんじゃないかと、明智がアドバイスするところが出てきていて、今回の事件の遠因は「明智五郎」がつくった、といえなくもないですね。
そして、彼へのメールのやりとりで彼が殺されたことに確信をもった明智五郎は、上遠野刑事たちを連れて、このマンションへ捜査に入るのですが・・・、という展開です。
実は、「れいぞう子」は自殺したのでは、という思わせるシーンもあるのですが、後の巻で死体は見つからなかったことになっているので、これで、「林檎」「シェフ」「れいぞう子」と「マリア」をトップにした殺し屋のグループが拡大していくことになりますね。
【レビュアーから一言】
今巻には、特別編として、明智探偵の助手・小林苺の日常が描かれた短編がついてます。彼女がデリバリーの弁当屋を始めたきっかけとか、幼馴染のピーチ不動産の一人娘・桃子との付き合いとか、さらには、無理やり助手にされて振り回されているように見えて、案外気に入っている明智探偵との関係とか本編まわりのTipsが楽しめます。
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