新選組の沖田総司と山南敬助、試衛館に参陣ーヒラマツ・ミノル「アサギロ」1・2(ゲッサン少年サンデーコミックス)

2021年4月11日日曜日

アサギロ

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 幕末の日本史を彩るのは、長州・薩摩の維新志士や、国際派の坂本龍馬だけでなく、多くの幕末志士たちを血祭りにあげた凶暴な存在でありながら、崩れていく幕府に殉じた「新選組」もその一つであることは間違いありません。

その幕末の京都の街で必殺の剣を振るった「浅葱色の狼」たちを描いたのが本シリーズ『ヒラマツ・ミノル「アサギロ」(ゲッサンコミックス)』です。

今回は、沖田総司の少年時代と山南敬助が試衛館のメンバーとなる第1弾と第2弾をレビューしましょう。


構成と注目ポイント


沖田総司、介錯の不始末で白河藩から放逐


第1巻の構成は


第1話 惣次郎、十二歳

第2話 お役目、介錯

第3話 償いびと

第4話 十倍強い者

第5話 天然理心

第6話 救いの剣


となっていて、新選組の中で「斎藤一」と一、二を争う剣士として知られる「沖田総司」が生家を出て、試衛館の門人として道場で暮らし始めるまでが描かれます。


沖田総司は、もとは奥州白河藩の江戸下屋敷の足軽小頭の家に生まれた白川藩士で、9際のときに近藤勇の試衛館道場に入門し、優れた剣の腕前が評判になったため、白河藩主の興味をひき、藩の剣術指南番の「村上」と立ち会うこととなります。そして、この立ち会いで、村上を、後に沖田の必殺技として知られる「突き」で破ることとなります。


もっとも、殿様の前での勝負に勝ったとはいえ、沖田家を継ぐ立場でもなく、嫡男の甥の子守をする日常には変わりがないようです。


ところが、ここで総司の生活を大きく変える出来事がおきます。立ち会いで負けた「村上」剣術指南役が、負けた責めをとって腹を切ることを強いられ、その介錯に総司を指名してきます。


そして、その介錯の際、作法を全く知らない総司は、まだ村上が腹へ刀を突き立てる前に、彼の首を落としてしまいます。この介錯は武士を罪人と同じような扱いをしたとされ、厳粛な儀式である「切腹」の場を汚した罪で投獄され、食事も与えられず獄死寸前まで追い詰められます。


ここで彼の生命を救ったのが、のちの近藤勇、そのときは試衛館の師範代・島崎勝太です。沖田の腕に感心した白河候が近藤の剣の腕をみるために呼び出し、藩士三人と立ち会わせます。真剣で対峙する侍たちに、近藤は試衛館名物の丸太のような木刀で相手をするのですが・・・という展開です。


最終的には、近藤は勝負には勝ったものの、権力者には対抗できず、天然理心流は白河藩では禁止、総司も士分を剥奪され藩外へ追放となります。通説では、総司は理由はよくわからないが脱藩したことになっているのですが、彼は攘夷派に組みしたわけでもなく、本シリーズの解釈のほうがしっくり来る人は多いかもしれません。


山南敬助は、実戦の剣を求め北辰一刀流を離脱


第2巻の構成は


第7話 惣次郎、十五歳

第8話 山南敬助、迷う

第9話 タチの悪い道場破り

第10話 もし真剣なら

第11話 鞘の中で

第12話 かつての我が家

第13話 それが答えだ


となっていて、後に新選組の近藤勇、土方歳三に次ぐナンバー3となりますが、二人と屯所移転問題で対立して、法度違反で切腹した「山南敬助」が試衛館へ参画するまでが描かれます。


発端は、15歳になって修行を重ね、自分が「最強」なのかどうかを確かめたい、天然の剣士・沖田総司が山南敬介の属する北辰一刀流の「玄武館」へ他流試合を申し込むのがきっかけになります。もちろん、田舎剣法と思われている天然理心流の挑戦を、冷静で大人の山南がまともに相手をするはずもなく、適当にあしらわれて追い返されます。しかし、総司が帰り道に、因縁をつけてくる侍を刀を抜かずに撃退したことで、少し見直すこととなります。


これがきっかけになって、北辰一刀流が実戦の剣術として通用するのか疑問が深まっていく山南は、試衛館に「道場破り」に出かけます。その時、近藤は多摩に出稽古に出かけていて、井上源三郎と沖田総司が相手をします。北辰一刀流の免許皆伝の山南に井上が敵うはずもなく、勝負の行方は沖田との一騎打ちとなるのですが、紙一重で山南に軍配が上がり、山南は天然理心流の道場内に彼の仮道場を開く、といった行動にでます。この山南道場に、入門主が日々増えていって、ほぼ近藤道場は乗っ取られたような状況です。ここらは、北辰一刀流のブランド効果というものでしょうか。

そして、この山南敬助による道場破り騒動は、出稽古に出ていた近藤勇が帰還して、二人が立ち会うことで最終決着がつくことになります。


そして、その結果は、山南敬助は試合に勝ち、近藤勇は勝負に勝った、というところでしょうか。


レビュアーから一言


第1弾と第2弾を通じて目立つのは「近藤勇」の朴訥といっていいぐらいの真っ正直さですね。第1弾では、白河藩の江戸屋敷の牢内に捉えられている「沖田総司」を救うために、丸太のような木刀を振り続ける姿や、第2弾では必殺の剣の腕をもって山南敬介と立ち会いながら、あっさり面を決められたり、いうところが、この人を解りにくくしているのかもしれません。

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