イサックへ向け、恐怖の子爵の消耗戦が仕掛けられる=真刈信二・DOUBLEーS「イサック」14(アフタヌーンKC)

2023年1月6日金曜日

イサック

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 17世紀初頭から半ばにかけてドイツやオーストリアなどの中央ヨーロッパでカトリックとプロテスタントの間で戦われた宗教戦争「三十年戦争」を舞台に、大阪夏の陣の後、戦乱が収まった日本から、兄弟弟子が師匠のもとから盗み出した銃を取り返すため、傭兵としてやってきた火縄銃の名手「イサック」の活躍を描く戦場物語『真刈信二・DOUBLEーS「イサック」』シリーズの第14弾。


前巻で「恐怖の子爵」こと「ホラー・ヴィスコンデ」による新型砲奪取の進軍に誘い出され、逆に、彼の放った刺客・ブルーノによって右腕を負傷したイサックだったのですが今巻では、その怪我を逆に利用して、ヴィスコンデへの逆襲を始めます。


あらすじと注目ポイント


構成は


第66話 新型大砲

第67話 時間勝負

第68話 男爵と犬

第69話 激流を越えて

第70話 要塞を破壊せよ


となっていて、前巻でイサックの右腕に刺したナイフで逆に右目を負傷したヴィスコンデの刺客・ブルーノからイサックがまだ死んでいないことを知ったヴィスコンデは、新型砲を守るハインリッヒたちを追い詰め、イサックの誘い出しを図ります。ヴィスコンデの大兵力の前に劣勢になったハインリッヒ軍の前にイサックが姿を現すのですが、ここでヴィスコンデの取った手段は、右手を負傷したイサックが迎撃できる騎兵を三騎と見込んで、四騎の騎兵を先に突入させ、最後にブルーノが乗り込んでイサックを仕留める、という作戦です。


騎兵4人を捨て石にするのですから、ヴィスコンデは相当、イサックの危険性を認識しているようです。そして、自らを犠牲にして、新型砲の上に乗るイサックに突進してくるブルーノたち5人にイサックは操作法のしらないはずの新型砲を使い・・という展開です。


中盤では、イサックによってブルーノを倒されたヴィスコンデとブルーノの戦友・アロンソが弔い合戦を仕掛けてきます。十倍以上の歩兵の兵力差を使って、歩兵全員が出撃し、イサックが見えたら150の騎兵が集まって彼を屠り、その勢いでハインリッヒの軍を押し潰すという力技の攻撃です。

イサックはブルーノたちを斃した影響で、新型砲が使い物にならないことをヴィスコンデたちが知らないことを使って、彼らを要塞の外へおびき出して要塞を占拠するつもりなので、まんまと策があたった格好なのですが、ヴィスコンデの動きは彼らの予想を上回り、あっという間にハインリッヒとイサックは包囲され、一挙に危機的状態を迎えます。


ボウガンによって傷ついたハインリッヒをかばい、新型砲を奪われそうになるイサックだったのですが、ここに現れたのは、あの女男爵・エリザバートで、ということで、再び、三人での戦いが始まります。


そして、空になった要塞を占拠したハインリッヒとイサックたちに、ヴィスコンデの渡河軍が迫ります。イサックの銃撃はヴィスコンデ軍の兵士を怯ませる威力があるですが、今回の攻防戦の決め手は大量の火薬樽の保管されている倉庫で・・という展開です。


レビュアーの一言


今巻で刺客ブルーノの騎兵隊を撃破し、ヴィスコンデを最後まで警戒させたのが、オランダからハインリッヒのもとへ輸送された「新型砲」なのですが、これは当時、1500トンから1600トンの鋳鉄砲製造能力をもち、ヨーロッパ有数の大砲輸出国となっていたスウェーデン製ではないか、と推測します。

スウェーデンは現在でもサーブやボフォースといった世界的な兵器メーカーを抱え、携行可能な対戦車兵器「カール・グスタフ」や宇露戦争でウクライナにも供与された世界最強の自走砲といわれる「アーチャー」の生産国なのですが、その萌芽はこの辺にあるのかもしれません。

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