サチコの「忘却のグルメ道」の行き先は沖縄、利尻、福岡、高知、そして信州、讃岐=阿部潤「忘却のサチコ」4~6(ビッグコミックス)

2023年3月28日火曜日

忘却のサチコ

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 旅先で出会って2年間付き合った、3つ年上のイケメン会社員・俊吾との結婚式の披露宴会場から、理由も聞かされずに逃亡された、一流文芸誌の敏腕編集者「佐々木幸子」、通称「鉄の女・サチコ」が、花婿への想いや逃げられたショックを忘れるためにはまり込んだ「忘却のグルメ道」への精進から日本各地の「名物」と東京の隠れた「うまいもの」を探求するグルメ漫画シリーズ『阿部潤「忘却のサチコ」(ビッグコミックス)』の第4弾から第6弾。


あらすじと注目ポイント


第4巻 サチコは沖縄で精霊に出会って美食三昧


第4巻の収録は


第29歩 めんそーれ!不思議の島の物語・その一(沖縄)

第30歩 めんそーれ!不思議の島の物語・その二(沖縄)

第31歩 めんそーれ!不思議の島の物語・その三(沖縄)

第32歩 めんそーれ!不思議の島の物語・その四(沖縄)

第33歩 嵐を呼ぶスパゲッティ

第34歩 疲労回復!ひつまぶし(名古屋)

第35歩 あぁ癒やしのロールキャベツ

第36歩 感動!贅沢すぎるウニ丼・前編(稚内・利尻・礼文)

第37歩 感動!贅沢すぎるウニ丼・中編(稚内・利尻・礼文)

第38歩 感動!贅沢すぎるウニ丼・後編(稚内・利尻・礼文)


となっていて、前半の「めんそーれ!不思議の島の物語」では、終戦から70年経って、記念号を出版するに際し、沖縄に住む作家への原稿依頼へ初めて沖縄を訪れる「サチコ」の食探訪記が描かれます。最初に訪れるのは、第一牧志公設市場なのですが、この話の設定は2015年なので、仮設市場に移り前の閉鎖前の公設市場の風情が描かれています。


ここで原稿を依頼した「金城」という小説家の助手と名乗る青年に、その小説家のあとを追ってあちこち案内されるのですが、この青年の正体については話の最後のほうで明らかになります。


で、サチコが食するのが、「ソーキそば」「ゴーヤチャンプルー」「グルクンの唐揚げ」「テビチの煮つけ」「ゆし豆腐」といったところなのですが、一番迫力があって、興味をひくのは「ヤギ汁」でしょうか。


泡盛をあおって、臭いのきついヤギ汁を飲み干すサチコの雄姿はたいしたもんです。


後半の「感動!贅沢すぎるウニ丼」では、恒例となった美酒乱先生の代理取材で赴いた北海道の最北部でのグルメ三昧です。「フリーダム」という喫茶店で食す」「スラッピージョー」というアメリカンハンバーガー、宗谷岬近くの食堂「ウニ丼」で始まるのですが。急遽休暇をとって「ウニ」を求めて利尻島まで渡ってしまうのは悪のりのような気がします。


このほか、初めての後輩社員の指導に苦労するサチコがやけくそ気味に食す「和風スパゲッティ大森」、作家の名古屋でのサイン会で客寄せの疲れを癒すために食す「ひつまぶし」、大御所作家のところを先輩社員と後輩社員とで表敬訪問したら、全員からディスられたイライラをなだめるための「ロールキャベツ」などが提供されています。


第5巻 サチコの私服は中学校時代のジャージ?


第5巻の収録は


第39歩 強烈!暑気払いインド風カリー

第40歩 仰天!クリスタルなイカ刺し・前編(福岡)

第41歩 仰天!クリスタルなイカ刺し・後編(福岡)

第42歩 秋香る!ニジマスのくん製・前編

第43歩 秋香る!ニジマスのくん製・後編

第44歩 龍馬の国の贈り物・その一(高知)

第45歩 龍馬の国の贈り物・その二(高知)

第46歩 龍馬の国の贈り物・その三(高知)

第47歩 龍馬の国の贈り物・その四(高知)

第48歩 みなぎる!夜明けのチャーシューエッグ定食


となっていて、中ほどの「秋香る!ニジマスのくん製」では、小学校の同窓会で、キャンプ場へやってきたサチコなのですが、仕事場からスーツで直行するのは彼女らしいところです。さらに、気中学時代のジャージ姿となったサチコの姿も見ることができるのですが、それ以上にそそられるのはその場で釣ったニジマスでつくったニジマスの燻製茶漬けですね。これには燻製にした沢庵もそえられています。


後半の「龍馬の国の贈り物」は、おなじみの代行出張取材での高知グルメめぐりです。「ぼうしパン」にはじまって「鰹の塩タタキ」、須崎市の「鍋焼きラーメン」と続くのですが、極めつけは四万十川や仁淀川で採れるモクズガニの一種「ツガニ」の半身を丸々入れた「ツガニうどん」です。このうどんのスープは小さなサイズのツガニを殻ごと潰して粉々にしてエキスを取り出す「ツガニ汁」をベースとするのが本場風らしいです。


このほか、前巻で登場した池懣ながら気に障る後輩・小林へ感じるイライラを抑えるインド風の「チキンと野菜のカリー」、迷子によくなる作家を連れての福岡での対談会をなんとかこなした後の「イカの活造り」、いけ好かない後輩・小林と原稿をなんとか締め切り通りに作家に描き上げさせた後の早朝の築地で食す「チャーシューエッグ定食」が提供されています。


第6巻 サチコの自称ライバル「尾野真由美」登場


第6巻の収録は


第49歩 一触即発!? 信州伊那の陣・前編(長野)

第50歩 一触即発!? 信州伊那の陣・後編(長野)

第51歩 再び巡礼! 讃岐うどん・その一(香川)

第52歩 再び巡礼! 讃岐うどん・その二(香川)

第53歩 再び巡礼! 讃岐うどん・その三(香川)

第54歩 再び巡礼! 讃岐うどん・その四(香川)

第55歩 ディープすぎるあげパン&蛤の甘辛炒め

第56歩 壮絶!嵐の果ての鮭茶漬け

第57歩 自炊にトライ!湯治旅・前編(盛岡・花巻)

第58歩 自炊にトライ!湯治旅・中編(盛岡・花巻)


となっていて、前半では、一方的にサチコのことをライバル視している「北斗文芸社」の編集者「尾野真由美」が初登場します。彼女は今後、要所要所でサチコに絡んでくるキャラになるので覚えておきましょうね。尾野はサチコと中学館の就職面接で一緒だったのですが、KYに作家論を展開するサチコに内定をさらわれ、第一志望の中学館に就職できなかったことに屈辱を感じていて、という設定です。


そして、信州の大学で開催される文芸誌の編集者を集めた講演会にパネラーとして同席した機会をつかってサチコに恥をかかそうと企むのですが・・という展開です。色っぽい美人で、悪だくみが好きなのにいつも失敗する「尾野真由美」のキャラは好きですね。


ちなみにこの話で登場するのは、信州名物の定番「おやき」と「ローメン」です。


なかほどの「再び巡礼! 讃岐うどん」では、第2巻で結婚式に出席した従姉妹の出産祝いを直接届けるため、サチコが再び香川を訪れます。そして第2巻でうどん屋巡りで乗車したタクシーに偶然に乗り合わせ、再び大急ぎのうどん巡礼が始まるのですが、今回は「ゲソ天うどん」「釜あげうどん」「釜バターうどん」「釜ぶっかけ」と釜あげ系で進んでいきます。しかし、最後は地元の運転手さんのおすすめで、「かけうどん」で締めるところが彼女の「通」なところですね。


さらに、後半の「自炊にトライ!湯治旅」で、花巻の湯治場に代行取材にやってきたサチコは、彼女のもとから逃げて行った新郎「俊吾」とニアミスすることになるのですが、詳細は原書のほうで。ちなみにこの派内では。「冷麺の辛味別」と自炊でつくった「湯豆腐」です、ただ、湯豆腐の調理に二時間かかるところがサチコらしいところです。


レビュアーの一言


第5巻ででてくる「ツガニ」は、一般的には「モクズガニ」といって、日本全域の水のキレイな川に生息していて、ハサミに藻屑のような毛がびっしり生えているのが特徴です。


呼び名も全国各地で違っていてズガニ(静岡)、ガンチ(徳島)、ヤマタロウガニ(宮崎)、川ガニ(鳥取、岡山)と様々あるようです。


モクズガニは日本の上海ガニとも呼ばれていて、上海ガニは茹でで食すのが一般的ですが、モクズガニは生きたままを茹でて、そのまま味噌で味をつけた味噌汁が一般的なようです。

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日本の人口最少県の住人。なりわいは行政書士。読書好き、ガジェット好きの昭和人です。

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