日本古代史最大の謎「卑弥呼」登場 = リチャード・ウー・中村真理子「卑弥呼ー真説・邪馬台国伝 1」

2020年4月4日土曜日

卑弥呼

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 古代史最大の謎といえば、やはり女王卑弥呼の支配する「邪馬台国」がどこにあったのかの論争であろう。九州説、畿内説の二大有力説を筆頭に、それこそ日本全国でご当地争いが主張されているのだが、意外にこれをがっぷりと正面から描いた漫画は見当たらない。日本の古代史という少々地味な時代であることに加えて、卑弥呼という存在が、呪術を操るシャーマンの女王ということで、「老女」のようなイメージがつきまとうせいではないか、と当方は推察しています。


そんな定番的な「卑弥呼」像に正面から挑戦して、野望に満ちた若い女性を主人公にすえて、新しい邪馬台国と卑弥呼の物語「リチャード・ウー・中村真理子「卑弥呼ー真説・邪馬台国伝」のシリーズの」第1巻です。


【収録と注目ポイント】


収録は


口伝1 日向の女

口伝2 ヤノハとモモソ

口伝3 縁

口伝4 盟神探湯

口伝5 憑依

口伝6 トンカラリン

わたしの魏志倭人伝(園村昌弘)


となっていて、シリーズの幕開けである第一巻は、弥生時代の「日向」。集落が襲われ、槍の先に突き刺された、切られた首が乱立しているところからスタートする。


今シリーズの主人公となる「ヤノハ」は、この村の生き残りで、天照を祀る女性巫師の娘という設定ですね。


そして、ここに「暈(クマ)」の国の巫女の長・ヒルメが通りかかり、彼女を巫女集団・種智院を守る「戦士」に迎えることで、物語が動き始めます。


この地名でもわかるように、本作では邪馬台国の所在はひとまず九州とされている(畿内説とのすりあわせは後ででてきます)のですが、この時代の九州近辺の日本は

内海に属する五百木、伊予、穴戸、そして伯方が那に通行権を要求した。

さらにその取り分を巡って争いを起こした。

一方、鉄の道を閉ざされた秋津島のほかの二十余国が決起し

倭は混乱を極めている

それを鎮めるのが、暈の王、タケル

といった感じに分かれていることになっていて、通説では、邪馬台国の敵国として扱われる、今の熊本から鹿児島あたりを領した「暈(クマ)」=熊襲の国が、九州南方の文化の進んだ新興有力国として描かれているのが斬新ですね。この「暈」という国名も、「日の文字の下の軍」と書いて、天照(アマテラス)の下で戦う国ということとなっているので、後世の「アマテラス神話」の中心地であるようです。


この「暈」の国で、天照を祀る「日の巫女」が暮らす種智院で、ヤノハは「戦部」という戦士部隊としての修行を積み、頭角をあらわしていくのですが、戦士である以上、いつかは戦場で斃れることが宿命です。


しかし、母親の不慮の死に遭遇し、

私の一番の望みは

この世で天寿を全うすることだ

という望みを持つ彼女は、巫女の中でも才能に溢れ、特別な霊力を持つという「モモソ」と知り合いになります。

この「モモソ」は、第7代の孝霊天皇の娘で、大物主神の妻となったが、箸が陰部を突いたたため命を落とした「百襲姫」の伝承の源となった人女性なのかもしれません。普通なら、このモモソとヤノハが強い友情で結ばれ、といった筋立てが想定されるのですが、本シリーズの場合は、そうではなく、モモソと親しくなっておいて、彼女に「ヤノハは天照の声が聞こえる」と嘘を告げさせ、戦士から巫女の身分に成り上がって、戦死することから逃れようと画策します。


ところが、霊力をパワーアップしたモモソが神がかりし、「あなたは友達じゃない。薄汚い嘘つきの詐欺師」とののしり、ヤノハの嘘を見抜いたところから、ヤノハの運命は大きく変わっていき・・・という展開ですね。


【レビュアーから一言】


「日向」の巫女の娘として、神がかりの様子とかを間近で見ていたり、戦乱の中でもまれていたせいか、主人公の「ヤノハ」は博識で、かなりしたたたかな、娘として描かれています。

巫女としては優秀ではあるが初(うぶ)な「モモソ」に「ホオリ」という男性兵士を世話したり、「モモソ」が男性と密通していない証をたてるための儀式である毒蛇をいれた壺に手を入れて咬まれなければ潔白を証明したことになる「盟神探湯」で、炭の煙から抽出した「木酢液」を塗っておけば咬まれないという方法を教えたり、とかなりの策士ぶりを発揮することになりますね。

このあたり、「ヤノハ」が後の卑弥呼となるにしても単なる「巫女」ではないところを見せてます。


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