シェイクは「薔薇戦争」で逆転打を放つ = 「七人のシェイクスピア(Part2) 4」(ヤングマガジンコミックス)

2020年5月26日火曜日

7人のシェイクスピア

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 大英帝国が絶頂を迎えたエリザベス一世の時代に、イギリス・ルネッサンスの本場ロンドンで、劇作家として世に出現。以後、演劇の世界に大きな影響を及ぼし続けている「シェイクスピア」の半生記と彼の創作の秘密を描く「七人のシェイクスピア」Part2の第4巻。


「ヴェニスの商人」のお蔵入り、「リチャード三世」の不人気と、前途多難な状況が続く「シェイクスピア・チーム」なのですが、いよいよ彼らが世にその名をとどろかす最初の雄たけびとなる「ヨーク・ランカスター両名家の戦い」が上演されることとなるのが本巻。さて、この劇の、市中での評判はどうか・・・といった展開ですね。


【構成と注目ポイント】


構成は


第29話 来客

第30話 怒号

第31話 言葉の翼

第32話 女の皮をかぶった虎の心

第33話 シェイクの部屋へ

第34話 鐘の音

第35話 肉の焼ける音

第36話 水の滴る月

第37話 イバラだらけの森

第38話 予告編


となっていて、まず、前巻からの続きとして、海軍大臣一座を首になり、ストレンジ卿一座でも端役しかもらえない大根役者・ロビンがシェイクスピアたちの暮らす家に招かれるところからスタート。


彼は、役者としての才能は皆無に近いのですが、舞台セットのアイデアにかけては天才的な才能をもっています。


巻の後半のほうでは、上演前に、リーの詩篇を「予告編」として出して、上演開始の気分を盛り上げるような演出を考案します。


前巻では、「リチャード三世」で舞台の構造上のことからボツとなったシーンを演じされる舞台セットの愛でも思いついてますので、これからシェイクスピア・チームが大躍進を遂げる原動力の一つになるのは間違いないですね。


さて、「ヨーク・ランカスター両名家の戦い」の第一部の観客の評価は真っ二つに分かれます。評価の高い客は『「リチャード三世」を観た時からのファン』と言ってますので、時代を先取りしすぎていた「リチャード三世」も見る人がみればその真価はわかっていた、ということでしょうか。


一方で、評論家の批評では酷く、早々の打ち切りの可能性が高まります。仮に第一作が打ち切りとなれば第二作の上演はなく、「シェイクスピア・チーム」は再び絶体絶命の危機を迎えますね。


ここで、この危機を救ったのが、宿敵のマーロウ。彼はパブでシェイクスピアの芝居をこきおろす評論家とストレンジ卿一座付きの他の脚本家に対し「奴が一人前になったら、あなた方は確実に職を失う」と宣言し、シェイクスピアの才能を高く評価します。


マーロウの高評価に誘われて、ストレンジ卿一座の座長・バーベッジは、「ヨーク・ランカスター両名家の戦い」第二部の上演にゴーサインを出すこととなるので、ここは上杉謙信に「塩を贈られた」武田信玄というところでしょうか。


さて、「シェイクスピア・チーム」の全員が渾身の力を込めて作りあげ、名優・リチャードが「リチャード三世」を演じるこの演劇の評判は・・・といった展開で、詳しくは本書のほうで。


【レビュアーからひと言】


この「ヨーク・ランカスター両名家の戦い」で敵役となる、ヘンリー六世の王妃マーガレットは作中では「自ら軍を率いて戦場に行くほどの女」と評される色っぽい美女に描かれているのですが、もともとはフランスの王統である「ヴァロア」家の傍系の一族「ヴァロア・アンジュー」家の出身です。

精神状態が不安定な夫・ヘンリー六世に代わって、ランカスター朝を支えた女性なのですが、あまり人気がないのは、敗者となったことのほかに、フランスやスコットランドなど、イングランドにとっての「外国勢力」を引き入れて戦ったことも影響しているのでしょうか。

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