シェイクスピアの恋の余波で「リチャード三世」再演へ ー 「七人のシェイクスピア(Part2) 11」(ヤングマガジンコミックス)

2020年6月4日木曜日

7人のシェイクスピア

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 大英帝国が絶頂を迎えたエリザベス一世の時代に、イギリス・ルネッサンスの本場ロンドンで、劇作家として世に出現。以後、演劇の世界に大きな影響を及ぼし続けている「シェイクスピア」の半生記と彼の創作の秘密を描く「七人のシェイクスピア」Part2の第11 巻。


劇場戦争も終盤戦にさしかかり、幻の作品であった「リチャード三世」が再び陽の目を見ることとなるのですが、女王から上演の条件としてつけられた「共同公演」が様々な対立を生みながらも、リチャードとネッド・アレン、二人の名優に思いがけない効果を生み出すのが本巻。


【構成と注目ポイント】


構成は


第95話 朝日が顔を出すまで②

第96話 ソネット56

第97話 条件

第98話 一騎打ち

第99話 贈り物

第100話 共演

第101話 殺陣

第102話 最終日

第103話 幸運


となっていて、ジョウンとシェイクスピアの恋が、興行にも妙な影響をもたらします。


シェイククスピアは、今書いている喜劇の、主人公がヒロインと出会って、契約を破って結婚するという結末が気に入らなくなり、ワースの反対を押し切り、この喜劇をお蔵入りさせるのですが、海軍大臣一座に打ち勝つために、ジョウンを通じて、「マクベス」の上演を女王に認めさせるよう画策します。


もちろん、スコットランド嫌いの女王が素直に納得するわけもないのは想定内で、彼がその条件として持ち出したのが「マクベス」の上演を認めてもらえるなら、封印していた「リチャード三世」の再演をしてもいい、という条件を出します。


女王は「幻の芝居」とされていた「リチャード三世」が観劇できることを喜び、マクベスの上演を許すのですが、さらに交換条件として、ストレンジ卿一座と海軍大臣一座とが協力して演ずること、つまりは本当の共同公演を条件に出してきます。


女王としては、「リチャード三世」を最高のキャストで観たいというぐらいの動機だったのかもしれませんが、実態は演劇界の覇権を激しく争っている二劇団と、劇作家のナンバーワンを争っているシェイクスピアとマーロウですから、簡単にはいきません。


ただまあ、「女王陛下からの親書」といった切り札が出ればどうしようもないわけですが。


しかし、ここで激しく対立しながらも才能ある相手とは切磋琢磨しあうのが「役者」というものらしく、ストレンジ卿一座の「リチャード」と海軍大臣一座の「ネッド・アレン」がいい意味でのライバル関係になってきます。


最初は、スキあらば相手の足を払ったり、相手を怪我させそうな殺陣とか、このままいけば取っ組み合いの喧嘩に発展しそうな感じなのですが、手を合わせたり、共同で稽古しているうちに相手の力量と熱意がわかったえきたのか、稽古の時間を調整したりといった動きに変わっていきます。やはり役者同士を結びつけるのは「芝居」が一番なようですが、ここらは本書のほうで。


さらに、最後のところで、役者の家に生まれたため、道化や女性の扮装をさせられてり、と友人たちにもわわ割れたり、初舞台で観客からけちょんけちょんにけなされたりと、けして役者という商売に誇りをもてなかったリチャードが報われるシーンがやってくるので、そこらもお楽しみに。


【レビュアーからひと言】


前巻で、ケンプが感激した曲をかいたアンは、郷紳(ジェントリー)階級の家の四女なのですが、さほど裕福な家でもなく、音楽好きの家系ではあったのですが、音楽を習わせてもらったのは、美しい姉のみ、という境遇で育ちます。


唯一、習わせてもらったのはヴァイオリンだけで、ヴァージルは姉の姿を見てあこがれるだけ、という状況で、今巻で女王から贈られた「ヴァイオル」に大喜びするのはこの記憶があるからかもしれません。


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