女王の拍手で、シェイクスピアの反撃の狼煙があがる = 「七人のシェイクスピア(Part2) 8」(ヤングマガジンコミックス)

2020年6月1日月曜日

7人のシェイクスピア

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 大英帝国が絶頂を迎えたエリザベス一世の時代に、イギリス・ルネッサンスの本場ロンドンで、劇作家として世に出現。以後、演劇の世界に大きな影響を及ぼし続けている「シェイクスピア」の半生記と彼の創作の秘密を描く「七人のシェイクスピア」Part2の第8巻。


前巻でマーロウに対して喧嘩を売ったシェイクスピアであったのだが、海軍大臣一座との差は現段階で60ポンド以上あって、このままでは敗北するのは必須です。ここで、なんとか起死回生の手をうたないといけないところで、なんとエリザベス女王との手づるをつくり、これからの大逆転劇への布石が打たれる巻であります。                      


【構成と注目ポイント】


構成は


第67話 QUEEN

第68話 ホワイトホール宮殿

第69話 不機嫌な薔薇①

第70話 不機嫌な薔薇②

第71話 ヘンリー六世

第72話 万能の天才

第73話 特別な日

第74話 錬金術

第75話 蝋燭の灯

第76話 女王陛下の名の下に


となっていて、エリザベス女王がストレンジ卿一座へ来るという噂だったが、突然の歯痛でとりやめになります。ワースはスタンレーの奥方アリスの従姉妹で女王付きの侍女をしているマーガーレットを紹介してもらい、女王とのコネクションをつけてもらいます。すると、彼女から、「女王は芝居よりも作家に興味をもっている。作家に会いたいと言っている」という情報が入ります。


シェイクスピアは女王の招きで「ホワイトホール宮殿」へ参上するのですが、ストレンジ卿夫人アリスから女王陛下の

気まぐれで癇癪もち

一度機嫌を損ねたら、二度と見向きもされなくなる

という「コワイ」情報を聞いたり、さらにその日、イタリア人軽業師が酔って面会にきたため、女王の機嫌はよくないことや、マーガレットが女王のドレスにビールをこぼしてナイフで手の甲を刺されたエピソードを聞いて、ちょっとビビることになりますね。やはり、気が強く厳格な人であることは間違いないようです。


そして、女王との面会の場面。最初、シェイクスピアの芝居は「なんだかモヤッとする」という発言なので低い評価かと思いきや「あなたの芝居はなぜか胸に残る、そして、また観たくなる」と意外な高評価です。

ここで、女王は第二部の続きである「リチャード三世」の上演を命令するのですが、シェイクスピアは断ります(ケインとの約束を守ったわけですね)。


当然、激怒する女王に対し、シェイクスピアは「新作」があると言います。面会の前にケインが喋っていた「ジャンヌ・ダルク」のアイデアです。しかも、「フランス女の物語など」という女王に、シェイクスピアは魔女ジャンヌを正義のイングランド軍が打ち破る物語だと説明し、女王を大喜びさせるあたりは、さすが、絶品の口の巧みさです。


なんとか新作をつくることで女王を喜ばせたシェイクスピアは、「ジャンヌ・ダルク」の創作に取りかかりながら、女王のアドバイスで「ヨーク・ランカスター両名家の戦い第二部」を「ヘンリー六世第三部」と名称変更して上演します。そして、この上演には女王がお忍びで観劇に来ていたのですが、上演後、マントのフードをとって顔をさらしてのスタンディングオーベーションです。


興行的には大成功なのですが、終了後、女王からフランス語で喋りかけられたり、リュートの演奏を求められたり、女王の随臣から劇中のラテン語の出典を聞かれたりとピンチを迎えます。

シェイクスピアの演劇は、シェイクスピア個人でつくっているわけでなく、リー、ケイン、ミル、アン、ロビン、トマス・ソープを加えた七人のチームで作っているのですから、こういうシチュエーションになるとボロが出まくりですね。

この失敗は、女王の侍女のジョウン・ブラントの探索を招くことになるのですが、これがどんな結果を招くかは、本書のほうでご確認を。


【レビュアーから一言】


シェイクスピア・チームを守り、ストレンジ卿一座が海軍大臣一座に勝利するため、ワースが、その「ビジネス」の才能を存分に発揮し始めます。

劇場で売っている酒を、イングランドが劇的な勝利をおさめた「無敵艦隊(アルマダ)」の戦利品のワインだといって売ったり、「ヨーク・ランカスター両名家の戦い」でそれぞれの家を象徴する「白薔薇パン」と「紅薔薇パン」を売り出したり、とランカシャーの塩商売で名をあげたマーケティングの才能が爆発いたしますね。もっとも、作者を俳優として登場させると観客が喜ぶというアイデアが、ジョウンの探索を招いたのではありますが・・・。

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