ナニワグルメはシェアハウス住人の心を繋ぐ=「ナニワめし暮らし おいしてたまらんわぁ 2~4」(アクションコミックス)

2020年7月23日木曜日

グルメ

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 東京でのデザイナー暮らしで心身ともつかれてしまったとデザイナー「茶谷正彦」が、先輩の口車にのって東京から大阪にやってきて、一癖も二癖もある住人たちが住む、元お好み焼き屋のボロボロシェアハウス「しまき」の管理人兼フリー・デザイナーをしながら、「ナニワめし」に魅力に取り囲まれて、「ナニワ暮らし」に魅了されていく、「ナニワ自慢」の物語『はたのさとし「ナニワめし暮らし おいしてたまらんわぁ」(アクションコミックス)』の第2弾から第4弾。


【収録と注目ポイント】


第2巻の収録は


第8話 「ちりとり鍋」が取り持つ仲

第9話 家庭円満の「おでん入りお好み焼き」

第10話 ふたりをつなぐ「鉄板イタリアン」

第11話 「かすうどん」が誘うでっかい夢

第12話 可愛い新顔と「一銭洋食」

第13話 「パパイヤトースト」からのプレゼント

第14話 親子の「いか焼き」


となっていて、殊造形師の「須山秋」、大工の「富吉圭蔵」、漫才コンビ・スーパーノヴァーズの「長谷川康太」「藪渉」以外の住人たちとのエピソードを中心に語られます。


主人公の茶谷(ちゃた)やんが、いつものおせっかいを発揮して、第8話では、「秋」や「富吉」たちとコミュニケーションをとろうとしない103号室の無愛想な学生「刈屋崎周」が実は人見知りで、性格を変えようと思ってシェアハウスにやってきたことを知り、彼の料理の腕を見出して、「ちりとり鍋」でシェアハウスの皆と仲良くさせたり、第9話ではキャバクラでの馬鹿騒ぎで家を追い出されて転がり込んできた中年サラリーマン・水戸健一と家族との仲を取り持ったり、シェハウスの住人たちのわだかまっている人間関係を解きほぐしていきます。


第11話の「須山秋」から頼まれて、装飾の手伝いに行くのですが、作業の難しさにへたりそうになったり、ヘマをしかけて、そこの会社の人たちに助けられたり、といった「ナニワ」を彷彿とさせる人情話がいいですね。この話で食す「かすうどん」も温かさを増してくれるようです。


さらに、漫才師の「藪」のバイト先の女の子に恋をして「痩せよう」としたり、茶谷くんが行きつけの喫茶店で知り合った、花壇の設営会社に努めているデザイナー見習いの女の子の新企画のために大奮闘したり、といった「恋バナ」も収録されています。


第3巻の収録は


第15話 人の和を繋ぐラジオ焼き

第16話 甘くてホロ苦いみるくせんべい

第17話 逆転の「おじやうどん」

第18話 新天地への「ホルモン丼」

第19話 「せち焼き」のような役者人生


となっていて、今巻の特徴の一つは、「ナニワめし」の中でも「昔懐かしい」的なものがとりあげられているところでしょうか。


第15話で、茶谷くんのTシャツデザインの仕事を以前手伝った「なるみ」ちゃんが、ファンのバンドの隙間風を埋めるために一緒に食する、たこ焼きの元祖である、たこではなく甘辛く味をつけたすじ肉とこんにゃくを入れた「ラジオ焼き」とか、第17話でライバルに差をつけられた落ち込む漫才師の長谷川を元気づけるために、刈谷崎くんがつくる、うどんとごはんを煮込んだ「おじやうどん」とか、ソースこてこてとはまた違ったナニワの味を教えてくれます。


そして、ちょっと変わり種なのは、第19話にでてくる、和歌山のご当地めしの数々で、「おにぎり」を高菜の葉の浅漬けでくるんだ「めはり寿司」や


ソース焼きそばにつなぎの卵を入れ、ソースとマヨネーズで仕上げた「せち焼き」とか、大阪のご当地メシとは、ちょっと一味違うものがでてきて、関西の幅広さを教えてくれます。


この第19話で登場する「硲(はざま)」さんは小さな劇団に属する役者なのですが、チンピラ役になりきって街のごろつきと喧嘩したり、女性にモテながらも飲んだくれて愛想をつかされたり、とか破滅的な典型的な役者バカで、これからのシリーズ展開での役割が楽しみです。


第4巻の収録は


第20話 千福万来の「芭蕉せんべい」

第21話 歩み合いの「コロッケサンド」

第22話 初心の「たこ焼き」三昧

第23話 大人への階段「コーヒーぜんざい」

第24話 原点回帰の「たこせん」


となっていて、今巻から「なるみ」ちゃんが正式にボロボロシェアハウス「しまき」の住人となります。


もともとは、第20話で、高校を卒業する年となった彼女が、就職先を探していたのですが、なかなかうまくいかず凹んでいたところを、茶谷やんが、今宮戎で行われる「えべっさん」に連れて行くことに。そこで彼が、デザインを頼まれている会社の社長に出会ったのが縁で、そのアパレル会社に就職することとなります。まあ、このあたりは「ナニワ」らしい「軽いノリ」でありますが、チャンスと人の縁というのはそういう偶然性ばかりなのかもしれません。ここで食する「芭蕉せんべい」はよその地ではあまり見かけないもののように思いますがどうでしょうか。


そして、第23話では、いよいよ「なるみ」ちゃんが社会人としてデビューです。ただ。敬語もできず、ビジネスマナーなんてことは意識の外、といった天然系の彼女なので、入社したアパレル会社でも失敗続きですね。ただ、昔の頃を懐かしがって、ファンだったバンドのライブに行くのですが、なぜか乗り切れない、変わっていく自分を感じることになります。そこで茶谷やんと彼女が食すのが「コーヒーぜんざい」


コーヒーの苦味とあんこの甘みと溶け出すアイスクリームという「ナニワ」らしい混沌さが、大人になっていく「なるみ」を象徴しているようですね。


そして、第24話は、大学時代の同級生でメーカーに就職している友人を大阪でもてなす話なのですが、新世界の串カツ、どて焼き、たこやきをエビせんべいで挟んだ「たこせん」など、「ナニワぐるめ」の食べ歩きをしているうちに、自分がどこへ行こうとしているのか自分探しに悩み始めた「茶谷やん」が改めて、「ナニワ」での居場所を再認識する話で、シリーズも巻を重ね、ちょっと中だるみのところを引き締める意味もあるのかもしれません。


【レビュアーから一言】


「ナニワまし暮らし」も4巻となって、ここで重要な役割を果たし始めたのだが、第2巻で、コミュ障のためになかなかシェアハウスの他の濃い住民たちに馴染めず苦労していた「刈谷崎」くんです。

第2巻の「ちりとり鍋」、第3巻の「おじやうどん」、さらには、「しまき」の住人となった「なるみ」の頼みに応じて気軽につくるホルモンチャーハンの旨そうなところは、家庭で食べる「なにわメシ」の担当として秀逸の配役となってきていますね。

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日本の人口最少県の住人。なりわいは行政書士。読書好き、ガジェット好きの昭和人です。

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