帯の付喪神・桐葉に助けられ、一也は「すそはらい」となるー浜田よしかづ「つぐもも」1・2

2021年2月27日土曜日

つぐもも

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 母親ゆかりの帯である正絹爪掻本綴袋帯「あやさくら」が年月を経て意識をもつようになった付喪神「桐葉」と、彼女の”ご主人さま”的立ち位置のはずなのだが、完全に下僕扱いされている主人公「加賀見一也」、一也の幼馴染で学級委員長のメガネっ娘女子「近石千里」、古事記に一行しかでてこない影の薄い古代神「くくり姫」とその従者の巫女・黒曜をメインキャストにして、ひきよせられてくる妖怪や人の想いが結集した「あまそぎ」といった怪異を、加賀見一也は「すそはらい」として調伏していく、コメディータッチの「陰陽師」物語の第1弾と第2弾


構成と注目ポイント


第1巻 帯の付喪神「桐葉」登場


第1巻の構成は


第1話 母さんの形見

第2話 ご主人様!?

第3話 図書館と幼馴染

第4話 図書館と幼馴染2

第5話 呪詛


まずは一也の守護神的な役割を果たすことになる母親の形見の帯「あやさくら」の付喪神である「桐葉」が、学校の屋上で、一也に想いを寄せる男子生徒の念から生じた黒髪かつらが变化した「あまそぎ」から一也を救い出すところからスタートします。


彼女は、一也に迫っているなにかの危機から彼を護ろうとして、禁忌を破って出現しているようなのですが、詳細のところはまだ明らかになってきません。ただ、今までの帯の姿から美少女の姿に变化して


と、一也の家で暮らし始めることになるのですが、これがキッカケとなったのか、一也の周囲には、「あまぞぎ」たちが引き寄せられてくることになるます。

ちなみに、表題にもなっている「つぐもも」や「あまそぎ」というのは本書によると

ワシのように長い年月を経て昇華した付喪神を「つぐもも」

対して、今日の髪鬼もどきのように

人の想いを受けて即度に昇華した付喪神を「あまそぎ」と呼ぶ

つぐもも確固とした自我をもちー思慮深い存在じゃ

じゃが、あまそぎは生まれたての赤子のようなもの

故にこのような面倒をよく起こす

ということのようですね。


そして、一番目に引き寄せられてくる「あまそぎ」と対決する舞台となるのが「図書室」です。ここで、5限目に提出する課題を仕上げていた一也と千里は桐葉とともの閉じ込められてしまい、本の变化した「あまそぎ」に襲われることとなるのですが、この「あまそぎ」を生み出したのは千里のある「想い」で・・という展開です。千里ちゃんの純愛が可愛らしいところです。


第2巻 一也、くくり姫に「すそはらい」に任命される


第2巻の構成は


第6話 うでずもう

第7話 鎮守

第8話 荒魂

第9話 水分り

第10話 特訓

第11話 間合い


となっていて前巻で、母親の形見の帯「あやさくら」の付喪神・桐葉と一緒に暮らし始めた一也のもとに、地域の鎮守の社の守護神「くくり姫」の使いの巫女・黒曜がやってきます。


彼女の姿は「大食い女」ながらかなりグラマラスな出で立ちですね。彼女は、主神である「くくり姫」のもとに加賀見一也を連れてくるよう命令されているのですが、それに同行しようとする桐葉と「腕相撲」での対戦を行うこととなります。ただこの「腕相撲」が凄まじいバトルとなるのは、「神様」ゆえのことかと思うのですが、なぜこうなるのかはちょっと不明です。そして、このバトルのあと、くくり姫のもとへ連行されるのですが、彼女は一也に対し

この土地で起きる怪異を調伏する

”すそはらい”の役を任じます

と「陰陽師」まがいの役目を命じてきます。ちなみに、「くくり姫」という神様は、日本の国土を生んだ日本神話の最初の神である「イザナギ」と「イザナミ」が黄泉の国で再会して口論となった際に登場して、二人の仲を仲裁した、といわれる女神で、なにせ、日本書紀のこのエピソードのワンショットだけに登場するだけの神様なので、少々影が薄いのは否定できないのですが、それなりの神力をもっている女神様には違いありません。


本書では、一也が「すそはらい」の役目につくことに反対する桐葉との間で、黒曜のときとは比較にならない規模の「大バトル」を繰り広げた末に、桐葉を撃破してしまいます。ぼろぼろにやられて力を失い、すっかり「小さく」なってしまった桐葉の姿を見た一也が大反撃を開始するのですが、詳細のほうは原書で。


この後のTRPG同好会の会長がつくりあげたミノタウロスの「あまそぎ」との対決も含め、本書は多くのバトル・アクションが楽しめるつくりとなってます。


レビュアーから一言


道具や器物に注がれた長年にわたる人の想いが凝り固まって、自我をもつようになった「月最上」やその想いを集める仕掛けととなる「呪詛」あるいは、日本古来からの神々など、通常ならおどろおどろく描かれるものを、コミカルで、すこしエッチ系の要素も交えながら描かれていくのが、本シリーズのユニークなところです。

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