甘味処の4人のイケメンがお客の悩みを癒やします=清水ゆう「鹿楓堂よついろ日和」1(バンチコミックス)

2021年2月28日日曜日

グルメ

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 東京郊外にある、古民家風の小さな甘味処を舞台に、この店で働く4人のイケメンが、店に訪れるお客の悩みを、絶品の「菓子」を使って解決していく、癒やし系スィーツストーリーが、この「鹿楓銅よついろ日和(バンチコミックス)」シリーズです。

その第1弾となる本書では、シリーズの主人公となる店主兼お茶担当の「スイ」、スィーツ担当のパティシエ「中尾つばき」、バリスタ兼ラテアート担当の「ぐれ」、料理担当のシェフ「永江ときたか」の4人の主要人物の人となりと、訪れるお客の心を和ませる姿が描かれます。


収録と注目ポイント


収録は


第一話 和風喫茶鹿楓堂

第二話 春の新メニュー

第三話 お茶屋の秘密 前編

第四話 お茶屋の秘密 後編

番外編 今日は特別な日


となっていて、まず滑り出しは東京近郊にあるこのシリーズの舞台となる鹿楓堂(ろくほうどう)に、上昇志向ガンガンのキャリアウーマンがやってくるところから始まります。第一話の「お客様」となる「つばさ」はキャリアアップを目指して自己研鑽に余念がなく、電車内での英会話学習にはじまって、ジムにヨガと自分磨きに余念のない女性なのですが、駅で鹿楓堂のラテアート担当の「グレ」とぶつかった縁から店を訪ねることとなります。


彼女の目的は、隠れた名店と言われる鹿楓堂の偵察と、英語の勉強場所として静かなところを求めていただけなのですが、ラテアートの出来はおいといてコーヒーの旨さとか、スィーツの素晴らしさからだんだんと病みつきになり、この店の雰囲気に蕩けて、この店では全く勉強がはかどらないことに気づきます。その理由を店主「スイ」に尋ねると彼は

ここは店自体が

甘みみたいなものですから

と返答するのですが、甘みや珈琲やお茶といったなくても困らないが、あるとちょっとだけほっとできる存在の価値を教えられて、彼女は今までキャリアアップを目指して「ガチガチ」になっていた精神を少しときほぐしていく、といった展開です。


第二話の「春の新メニュー」では「鹿楓堂」の春の新作について4人がそれぞれの個性を生かして、考案をする話で、まあ、位置づけ的にはシリーズの最初で、登場人物の性格描写や特徴を明らかにしておくための「箸休め」的な設定かと思います。結果できあがる新メニューは「お菓子の幕の内弁当」といったものなのですが、左党の酒呑みにはちょっと荷が重いメニューかもしれません。


第三話と第四話では、鹿楓堂で出しているお茶を卸してくれている「お茶屋さん」が廃業することとなり、その後釜を探して悪戦苦闘する話です。味に拘った甘味処なのでお茶には凝っていて、単純な市販品というわけにはいかないのですが、出入りのお茶屋さんがすすめる店は、「お客を選ぶ」が気難しい店です。その攻略法にあれこれ頭を悩ませる「スイ」なのですが、その突破口となるのが、一人で来店してきた「小鶴」という中学生の女の子です。


彼女はとても恥ずかしがり屋の女の子で、行動もやたらとビクビクしているのですが、お茶を吟味する才能は抜群という女の子です。それもぞのはず、実は「スイ」が頭を悩ませていた「お客を選ぶ」お茶屋さん「あまがみや」の孫娘だったんですね。


この縁でお茶を仕入れさせてもらおうと考える「スイ」だったのですが、「あまがみや」の頑固店主である小鶴の祖父は、取引先の多くの店が茶の味がわからなくなってきていることを嘆いて廃業する、といい出します。この店の廃業の中止と、鹿楓堂との取引開始を賭けて、「スイ」と「あまがみや」の頑固店主との勝負が始まるのでした・・・という展開です。


勝負の行方は、」あまがみや」のお茶を刻んで練り込んだシフォンケーキと、「あまがみや」の茶葉を使って「スイ」がいれたお茶を飲む「小鶴」ちゃんの笑顔がすべてを表現しています。


レビュアーから一言


カフェを始めとしたスィーツ系のマンガというと、美味の頂点を目指すレシピ自慢ものになったり、主人公の店にどういうわけか敵対心を燃やすライバルか謎の組織がでてきてバトルものになってしまうことが多くて、スィーツ系マンガはその二種しかないのかー、と言いたくなることがあるのですが、本シリーズは、甘味処のお客や取引先など周辺の人たちとの出会いや物語をうまくすくい取っていて、ほんわかとした「人情もの」のような味わいに仕立ててあるところが良いですね。「パパと親父のうちごはん」に似た雰囲気もあって、肩肘張らずに癒やされる物語が楽しめる仕上がりです。

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