斎藤一、沖田総司と対決し、人斬りを脱するーヒラマツ・ミノル「アサギロ」6・7(ゲッサン少年サンデーコミックス)

2021年4月16日金曜日

アサギロ

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 幕末の歴史を、薩摩の西郷隆盛や長州の桂小五郎といった倒幕勢力や土佐の坂本龍馬といった維新志士たちの対抗勢力として、必殺の剛剣をふるって、京都の街を血で染め「浅葱色の狼」として恐れられた新選組のメンバーの姿を描いた「アサギロ」シリーズの第6弾から第7弾。


前巻までで、新選組の主要なキャストとなる近藤勇、沖田総司、土方歳三、山南敬助などが試衛館に参集してくるところが描かれていたのですが、この第5弾と第6弾では、新選組に加わりつつ、対立軸である御陵衛士に潜入して新選組のスパイとなったり、維新後は警察官として明治政府に出仕して西郷軍と戦ったり、と謎の多い一生をおくった斎藤一が描かれます。


構成と注目ポイント


第6巻 沖田総司は幕末一の曲者・清川八郎に出会う


第6巻の構成は


第35話 退屈な日々

第36話 騙る男

第37話 一

第38話 獣の気配

第39話 野良犬の順序

第40話 人斬り屋

第41話 斬りに来た男


となっていて、まず幕末随一の曲者「清河八郎」が登場します。


彼は、桜田門外の変に刺激されて、幕臣の山岡鉄舟たちと尊皇攘夷を行うため、幕臣薩摩藩士で組織する「虎尾の会」を組織して倒幕を企てるとともに、九州を遊説して、倒幕の志士を京都に集めた上で、松平春嶽を説得して、浪士隊を結成し、関東の佐幕派(この中には、近藤勇や芹沢鴨も含まれています。)を京都に送りこむ、という「主義主張」のかけらもないことをやってのけた人物ですね。


その清川が浪人たちに襲われていたのを、なかば巻き添え的に、清川を救ったことから、彼と試衛館との悪縁がつながっていくことになります。


清川に誘われた総司は、彼に料亭でご馳走になり、その席で清川や彼の仲間を襲う「一」と書かれた半紙を残していく刺客から護衛してくれるよう依頼をされます。この用心棒を成り行きで引き受けたことから、「一」となる刺客、後の「斎藤一」から沖田だけでなく、近くにいる近藤勇も狙われることとなり、その結果、近藤は瀕死の重症を負うこととなります。


そして、近藤が傷つけられた仇を返すため、「一」こと斎藤一と対峙する沖田総司なのですが・・・という展開です。


第7巻 近藤勇は斎藤一を心を解きほぐすが・・


第7巻の構成は


第42話 土砂降り

第43話 「一」を刻む

第44話 逆の道

第45話 居場所のない世界

第46話 山守の使い

第47話 紅いもみじ


となっていて、冒頭部分は、沖田総司と斎藤一の一騎打ちです。


両者とも、幕末の京都を震撼させた剣の腕前ですので、その対決はかなり凄まじい迫力です。


このままいけば、二人のうちどちらかが生命を落とす、という場面で意識を取り戻した近藤勇に斎藤一をつれてくるよう指示された土方や山南など試衛館の面々が、斎藤一と総司を引き離すことに成功します。


沖田と斎藤一を噛み合わせて、斎藤を始末させようした黒幕の一人は山岡鉄舟で、どうもこの人物は、幕臣の中でも胆力のある人物として知られているのですが、伊庭八郎を描いた「無尽」でも描かれているように、新選組ファンや現代の佐幕派には評判が悪いような気がします。


土方や山南たち試衛館のメンバーによって、近藤勇の面前へ連れてこられた斎藤一は、もともとは御家人の息子でありながら、義兄に嫌われ、母に殺されそうになって、家から放逐された末に、「人斬り」となった生い立ちを語ります。ここの詳細は原書のほうでご確認くださいね。


そして、斎藤一の襲撃から一命をとりとめた近藤なのですが、さらに彼を不幸が襲います。彼が天然理心流の名をあげ、幕臣となるために、賄賂も使い、幕府のお偉方を饗応した念願していた「幕府教授見習方」への取りたてが急遽取り消されます。しかも、取り消された理由というのがなんと

理由はな、・・無い!

幕府が決めることに理由など存在せんのだ

たとえあっても、その方らが知る必要はない!

ということなので、これは近藤が「精神破壊」されるのもしょうがないですね。

この後、近藤は書斎に籠もって、自分が新たに進む道を模索して、書物を読み漁るのですが・・・といった展開です。


この引き籠もりを「カチッ」と支えている「つね」さんはつくづく大した奥さんだと思いますね。


レビュアーから一言


ここまでで、試衛館道場から京都へ上洛して行くメンバーが出揃うことなるのですが、ここまでで近藤たちが出会った幕臣たち、山岡鉄舟、松平上総介、鵜殿鳩翁と、いずれも権威は振りかざすのですが、近藤の味方となって力を貸してくれる人物は見当たりません。

このあたりの反動でが、京都で、不承不承ながらも力添えをしてくれた会津藩へ急傾斜し、維新後も松平容保へ付き従っていった理由なのかもしれません。

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