相続探偵ハイエナは老舗菓子舗や銭湯の相続に首をつっこむ=西荻弓絵・幾田羊「相続探偵」4~6(イブニングコミックス)

2022年12月27日火曜日

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 ほとんどの人の死後に突然おきて、「争続」とも別称される「相続」の揉め事を解決していく、遺産相続専門の探偵の活躍を描いた、前代未聞の相続ミステリ・マンガが『西荻弓絵・幾田羊「相続探偵」(イブニングコミックス)』シリーズの第4巻から第6巻をご紹介。


あらすじと注目ポイント


相続探偵 第4巻のあらすじと注目ポイント


構成は


第20話 マリー・アントワネットの相続④

第21話 京都 老舗和菓子屋の変①

第22話 京都 老舗和菓子屋の変②

第23話 京都 老舗和菓子屋の変③

第24話 京都 老舗和菓子屋の変④

第25話 京都 老舗和菓子屋の変⑤

第26話 京都 老舗和菓子屋の変⑥


となっていて、「マリー・アントワネットの相続」は前巻からの続き。前巻では「飼い猫」が露頭に迷わないように、相続人に猫の世話を頼もうとした趣旨と思われていたところが、意外にも、被相続人の意外な過去の恋愛譚がこぼれだしてきます。


「京都 老舗和菓子屋の変」は、京都の老舗和菓子店の、経営を所管する本妻・雅の息子・正臣と菓子の製造を担当するお妾さん(宮越多津子)の息子・野心との遺産相続争い。


世界一の和菓子を提供すると絶賛されている和菓子舗・鳳凰の菓子職人の頭領を務める主人が急死するのですが、彼が遺していた遺言状は、店の商標や意匠、財産のすべてを本妻とその息子に継がせるというものです。しかし、多津子が生前聞いていた遺言は、「鳳凰」というブランドは正臣に、作業場と売り場は野心に、というもの。多津子から依頼を受けた灰江は、本当の遺言書がどこかに隠されていると感づいて、ある罠を張るのですが・・というのが前段のところ。


後段からは、見つかった真物の遺言書をもとに、店の屋号と営業権は正臣、菓子づくりの作業場は野心に、と名店であった「鳳凰」が真っ二つに分かれてしまいます。


そして、正臣は店の主だった職人がいなくなったことから、「鳳凰別棟」という派生ブランドを立ち上げ、お手軽な菓子販売店を展開し、野心は「鳳凰」というブランドはつかえないながら名店で出していたものと同じ和菓子を提供する新店を展開するのですが、ブランドと技術のどちらかが欠けているため、双方ともジリ貧になっていきます。そこへ、灰江が提案したある秘策とは・・という展開です。


相続探偵 第5巻のあらすじと注目ポイント


構成は


第27話 京都 老舗和菓子屋の変⑦

第28話 京都 老舗和菓子屋の変⑧

第29話 笑福湯の生前相続①

第30話 笑福湯の生前相続②

第31話 笑福湯の生前相続③

第32話 笑福湯の生前相続④

第33話 笑福湯の生前相続⑤


となっていて、前段は前巻の「老舗和菓子屋の変」の解決編です。


中盤からの「笑福湯の生前相続」は古くから続いている「銭湯」の事業承継のお話。都内にある「笑福湯」は、創業者が関東大震災で焼け出された人々に暖かいお風呂を提供しようと始めた、大正、昭和、平成、令和と続いてきた銭湯なのですが、全国的な傾向どおり、お客のほとんどは昔からの常連客が中心で先細りの傾向です。


経営自体は、バブル景気のときに投資していったコインランドリーなどの副業でなんとか回っているのですが、主人の息子夫婦には銭湯を継ぐ気はなく、なんとか銭湯を残したい、と常連客の一人・灰江に相談がもちかけられます。そこへ名乗りをあげたのが、美大せ現代アートを専攻し、今はプータローの銭湯の孫娘「真生」で・・という筋立てで、孫娘に銭湯を継がせるべく、灰江たちの「相続プロジェクト」がスタートします。


まず手始めは、経営余力を増やすため、不要な不動産の売却をすることに決め、常連の一人である「ササヤマ」という不動産会社の若い社員に売却の手配をさせるのですが、その土地から基準以上の「ヒ素」が検出されるなど前途多難な状況です。しかし、ここにはある悪巧みが隠されていて・・という展開ですね。


相続探偵 第6巻のあらすじと注目ポイント


構成は


第34話 笑福湯の生前相続⑥

第35話 死後認知ー七人の隠し子①

第36話 死後認知ー七人の隠し子②

第37話 死後認知ー七人の隠し子③

第38話 死後認知ー七人の隠し子④

第39話 死後認知ー七人の隠し子⑤

第40話 死後認知ー八人目の隠し子①


となっていて、「死後認知ー七人の隠し子」は、病気で死亡した、児童教育学が専門で売れっ子コメンテーターでもあった東大教授・薮内に突如持ち上がった「隠し子」騒動です。


この教授には実子はいなかったのですが、死後、隠し子が七人いると女性週刊誌にタレコミがあり、DNA鑑定してみるといずれも親子関係が検証された、というスキャンダルです。


灰江が弁護士時代に世話になった、薮内と同じ職場の法律学の教授から「濡れ衣」を晴らしてくれと頼まれ、灰江は、この隠し子騒動に首を突っ込むことになるのですが・・という展開です。


このタレコミの仕掛け人は、灰江が弁護士を廃業した時に関わりのあった、ダーディーなフリーライターなのですが、じつは隠し子だと訴えた七人の男性の背後に、薮内教授を恨み、彼の名誉を貶めようと企んでいるある男の存在があって・・という筋立てです。少しネタバレしておくと、この七人の「隠し子」はすべてフェイクなのですが、DNA鑑定をどうやってゴマ化したか、というのが今話のキーでもあります。


レビュアーの一言


本シリーズも単行本が6冊となって、第1巻から第3巻までのビデオ遺言に隠された本物の遺言状、鎌倉の旧家の相続に隠された兄の悪意、後妻業による殺人事件、ペットへの遺産贈与といった話に続いて、老舗企業の相続争い、事業承継をめぐる生前贈与、死後認知といった興味深い相続ネタと人間模様が描き出されています。


もう少し、話が貯まったところで、テレビドラマ化なんてことがあるのでしょうか。

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