西村ミツル・梶川卓郎「信長のシェフ 5」(芳文社コミックス)

2016年9月1日木曜日

信長のシェフ

t f B! P L

戦国時代、信長の元にタイムスリップしたシェフが主人公の「信長のシェフ」の5巻目。この巻では、鉄砲の買い付けに森可成とともに堺へ赴き、信長に面従腹背の堺の納屋衆たちとの交渉から本願寺顕如のその料理人、そして本願寺と信長の抗争の始まりと宇佐山の城に籠もる森可成のもとに千利休とともにたどり着くまで。


戦国時代の信長の活動は、司馬遼太郎氏の歴史小説やその係累の小説群でしか知らないもので、桶狭間→姉川の合戦→本願寺との抗争開始→本能寺と、点と点でしか認識していないのが正直なところ。


そのあたりから考えると、信長の天下統一の流れを丁寧に辿ることができる(作者の歴史観のフィルターがかかっていてもだね)のは、本書の貴重なところで、戦国タイムスリップものとしての面白さも、多くの読者の歴史的な知識の狭間をついているところにもあるといっていい。


さらに、主人公が過去に生きる現代人で、その過去の時代では生活面では赤子に近い能力しかないのが通例で、その面白さを高めるのは、主人公の周辺に如何に魅力的(好ましいという点でなく、悪役も)なキャストがどれだけ揃えることができるかということも肝要で、そのあたり戦国時代という湯が沸き立っている時代は舞台として絶好でもある。


で、この巻は、信長が浅井朝倉の反撃から脱したといっても、京都の三好衆との戦いや本願寺との抗争の開始の時で、暗雲がたれこめる天下一統という麺からみると陰鬱な時代が続いているところで勝ち戦の晴れ渡るような爽快感は望めない分、森可成の信長への忠義さ・律儀さとか、納屋衆の商売優先の嫌らしさとその中で目立つ利休の筋の立った姿とか、本願寺顕如の根っからの貴顕階級のもつ冷たさとかといった人々の動きが、本書を読む楽しみの中心か。


あと、これからどういう使い方をするのかよくわからない、現代からケンと同じようにタイムスリップした女性シェフも登場するのだが、詳細は本書をご覧あれ。

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