禁令の出た時の立ち居振る舞いに、人の本質は顕になる= 山田芳裕「へうげもの 第四服」(講談社文庫)

2017年7月25日火曜日

へうげもの

t f B! P L

 さて、引き続き、古田織部のコミックもの「へうげもの」に文庫版第4巻をレビューしよう。


年代は1586年~1587年。歴史的な出来事としては、家康の上洛、秀吉の九州攻め、禁教令の発布、聚楽第の完成と大茶会といったところで、秀吉の天下がこれから爛熟に向うところである。


ただ時代が熟していくことと比例して、今まで培われてきた人間関係が壊れていったり、不和の種が芽吹いたり、といったことはいつの世も変わらぬもので、大茶会の開催は、実は千利休を筆頭茶頭から罷免しようという秀吉の企みが隠れていたり、とかなんとも生臭い。


ただ「爛熟の時代」は人の姿もまた熟れさせ、その人となりも拡大して見せてくれるようで、キリスト教の禁教の際に、高山右近が「幾年月も培ってきた南蛮趣味を鶴の一声で変えさせられてはたまりません。」とキリスト教者と南蛮趣味の茶人の意気地を見せる一方で、織田長益(後の有楽斎)は、「南蛮趣味を控えねばならなくなった今・・・世の流れはこちらに軍配が上がるかも。」と南蛮趣味を早々に見限りながら、利休の「わびさび」の将来性を感じ取る目先のきくところを見せたりと、人様々であるな、と自分の身近な実際の人々を思い浮かべ、改めて実感する。


さて、この巻では、南蛮趣味から「わびさび」といった茶の湯で代表される日本的な価値観があちこちとでてきて、風流を解さぬ当方は、ぼーっとコミックを読む以外はないのだが、そうした価値観、流行を追うことに血道をあげている権力者が、


「詰まるところ、茶の湯には台子も何も無いのです。

全て各人それぞれの作法、趣向でもてなせば良いのです。

決まりごとなど無いというのが極意にございます」

「関白様は、その本質がわからぬゆえ、台子手前を許可制になさり、茶の湯に格をつけておられる。」


なんて様子で冷水を浴びせられたら、そりゃ打ち首にもしたくなったんだろうな、と思いつつ、権力者の好みに合わせていくのも、そりゃ草臥れるよなと、同情もしてみるのである。


さて、こういった権力者と芸術家の争いに、皆様は何を感じ取りますかね~。

このブログを検索

ブログ アーカイブ

ラベル

3月のライオン (7) 7人のシェイクスピア (17) etc (29) アウトドア (6) あおのたつき (9) あかね噺 (4) アサギロ (13) アド・アストラ (6) アルキメデスの大戦 (20) アルテ (9) イサック (9) イノサン (9) ヴィンランド・サガ (10) ヴラド・ドラクラ (4) グルメ (12) こざき亜衣 (2) スポーツもの (1) つぐもも (9) ハコヅメ (8) パパと親父のウチご飯 (14) ハンティング (3) ヒストリエ (11) フィッシング (7) ふしぎの国のバード (9) フラジャイル (14) プリニウス (12) ブルーピリオド (5) へうげもの (20) ベルセルク (13) ミステリと言う勿れ (8) ゆるキャン△ (12) リアル (4) ローズ・ベルタン (9) 阿・吽 (3) 医療コミック (8) 応天の門 (18) 乙嫁語り (12) 怪獣8号 (4) 鬼滅の刃 (1) 宮下英樹 (3) 極東事変 (2) 軍靴のバルツァー (9) 高橋葉介 (3) 高橋留美子 (2) 山と食欲と私 (11) 重版出来 (7) 諸星大二郎 (2) 信長を殺した男 (1) 信長協奏曲 (6) 新九郎奔る! (5) 推しの子 (5) 星野之宣 (22) 戦記もの (5) 惣領冬実 (1) 葬送のフリーレン (6) 達人伝 (7) 断頭のアルカンジュ (4) 賭ケグルイ (28) 土山しげる (4) 東村アキコ (10) 卑弥呼 (8) 舞妓さんちのまかないさん (7) 紛争でしたら八田まで (7) 碧いホルスの瞳 (1) 亡国のマルグリッド (4) 忘却のサチコ (7) 幕末 (11) 満州アヘンスクワッド (9) 矢口高雄 (2) 薬師寺涼子の怪奇事件簿 (10) 憂国のモリアーティ (10) 歴史コミック (37)

自己紹介

自分の写真
日本の人口最少県の住人。なりわいは行政書士。読書好き、ガジェット好きの昭和人です。

QooQ