沖田総司、新選組初代局長・芹沢鴨を斃す = 「ちるらん 新撰組鎮魂歌」10〜13

2021年12月8日水曜日

ちるらん

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 幕末を彩る「新撰組」を、副長・土方歳三をメインキャストに、幕末の京都から戊辰戦争・函館戦争へと続く激動の時代を「ヤンキー漫画」テイストで描く「橋本エイジ・梅村真也「ちるらん 新撰組鎮魂歌」」のシリーズの第10弾から第13弾。


前巻までで、阿比留鋭三郎粛清や佐々木愛次郎を殺した佐伯又三郎の黒幕で、浪士組を牛耳ろうとしていた、夜盗あがりの陰謀家・新見錦を倒した近藤勇たち試衛館派だったのですが、いよいよ浪士組を二分していた「芹沢鴨」たちとの最終対決の局面に入ります。


あらすじと注目ポイント


第10巻 試衛館派の屯所を目掛けて水戸天狗党七鬼衆、襲来


第10巻の構成は


第四十三話 魂の共鳴

第四十四話 出陣

第四十五話 秘技

第四十六話 師弟


となっていて、芹沢鴨の幼少期から浪士組参加までが紹介されているのですが、大和屋焼き討ちや、大阪での力士たちとのトラブルなど乱暴な側面ばかり強調される通説とは違った解釈がされているのが注目点ですね。


そして、自らを標的にするため、京の遊郭・島原の「角屋」に愛妾の”お梅”と一緒に陣取り、配下の水戸天狗党七鬼衆を近藤勇を葬るため、試衛館派の屯所・前川邸に向けて進軍させてきます。史実では、この角屋で大宴会をした後、壬生の屯所である八木家に帰り、そこで殺害されたことになっているので、ここからはこのシリーズの演出です。


今巻では、前川邸へ向かってくる水戸天狗党七鬼衆を、土方歳三、沖田総司、斎藤一たちが迎え撃ち、その勢いで芹沢を討つという作戦を開始します。


まず第一番目は、斎藤一と神速の居合術を操る下村眉山との対決です。「明治剣客浪漫譚 るろうに剣心」では、「牙突」という瞬速の突き技をもつ新選組きっての斎藤一の剣技なのですが、今回は自身の身体を斬らせて、眉山の太刀筋を見切っています。


この緒戦をきっかけに、原田左之助と彼の槍の師匠である荒俣一空との闘い、永倉新八と薬物の力で肉体改造をした粟田幻斎との闘いが始まります。


第11巻 左之助と山南は水戸天狗党七鬼衆の二鬼を斃す


第11巻の構成は


第四十七話 秘めたる思い

第四十八話 死合

第四十九話 武士道

第五十話  再会


となっていて、まず原田左之助vs荒俣一空の闘いは、師匠・一空の左之助に対する愛情を左之助が断ち切っていく戦いですね。


一空の愛情からくる「ためらい」が勝負の分かれ目となりますね。


永倉新八vs粟田幻斎は、筋肉強化薬という当時の先端科学で武装した幻斎の身体を、新八の拳が打ち抜けるか、といったところですが、いままで多くの「壁」を自分の努力で壊してきた新八の敵ではなかったようです。


三番目の闘いでは、山南敬助+井上源三郎が、フランス軍あがりのアーチェリー使いのシェル・ドワーフと対決します。剣技とは違う弓の名手を山南の「智謀」がどう料理するか、注目されるところです。


四番目は藤堂平助+島田甲斐が、榊一児・二児の兄弟と対決します。この兄弟は芹沢の命令で、新選組の隊服を着て薩摩侍を襲って、今回の試衛館派vs水戸派の対決のお膳立てをした者たちなのですが、このせいで、押し気味で進めたいた戦いの最中に、薩摩の人斬り・中村半次郎の乱入を招いてしまいます。


第12巻 水戸派の副長・平山五郎を土方が斃し、中村半次郎は藤堂に恐怖を植え付ける


第12巻の構成は


第五十一話 渇望

第五十二話 真実の嘘

第五十三話 左眼の物語

第五十四話 約束


となっていて、冒頭では、芹沢の腹心で水戸派の重鎮・平山五郎と土方歳三との一騎打ちです。


平山は神道無念流の免許皆伝の腕前なのですが、花火の事故で左目が潰れ、隻眼の剣士といわれているのですが、本シリーズでは、その左目で、人の脳から筋肉に流れる「生体電流」を感知して、人の動きを事前に察知するという能力を獲得しています。


まるで未来が読めるような、平山五郎の動きに対し、土方の対応は・・といった展開です。

一方、藤堂平助+島田魁と榊兄弟の闘いは、乱入した薩摩藩の中村半次郎と榊兄弟との対決に変わっています。虐待する実母を殺して故郷を捨てて以来、固い絆を誇っている榊兄弟のコンビネーション攻撃は絶妙なのですが、中村半次郎の壮絶な薩摩示現流のもとには敵ではなかったようです。ただ、ここで半次郎の剣が、藤堂平助の精神に打撃を与え、薩摩示現流への恐怖心を植え付けてしまったことは、新選組にとって予想外の痛手ですね。


第13巻 沖田総司、新選組初代局長・芹沢鴨を斃す


第13巻の構成は


第五十五話 鬼子、再び

第五十六話 覚醒

第五十七話 華や散るらん

第五十八話 英雄


となっていて、今巻では沖田総司と芹沢鴨の最終対決が描かれます。最初の出会いの時に、芹沢に圧倒され、今回も初手では芹沢の検圧に押されることへの劣等感が、彼の「鬼子」としての狂気を呼び覚ますことになります。


「鬼子」となることによって、心臓の動きが3倍化し、筋肉細胞が最大に活性化し、超人的な瞬発力が発揮されるのですが、理性を失い、闘争本能だけに支配されることとなるため、近藤勇は総司が「鬼子」となることを最後まで防ぎたかったようです。


このため、総司と芹沢との闘いに割って入り、戦いを冷却化させようとするのですが、芹沢の猛攻撃によって頓挫してしまいます。しかし、この中断によって、総司が自らの「鬼子」を取り込んだ新たな進化を果たし・・という展開です。


新・鬼子となった沖田総司と芹沢鴨との最後のバトルシーンが描かれていますので、しっかりと原書でお楽しみください。


レビュアーの一言


浪士組の初代総局長・芹沢鴨の前半生については不明なことも多いのですが、今シリーズでは水戸藩の郷士の家に生まれ、幼少期からその知力、ブ力いずれも優れていた人物とされています。

その優秀さゆえ、普通の人が味わう努力した後の達成感を経験せず、そこからくる極度の退屈感を解消するため、水戸天狗党に入り、幹部として水戸藩軍と戦っていた夜盗勢を殲滅したとされています。


しかし、その後も精神的飢餓感は解消されず、死に場所を求めて京都へやってきた、といった設定です。芹沢鴨の暗殺事件には多くの謎が残っている上に、近藤たち試衛館派も相当苦戦したようなので、こうした「芹沢怪物説」も納得できるところかもしれません

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