パミルの恋の行方は、果たしてどうなる・・・ ー 森 薫「乙嫁語り 8・9」(ビームコミックス)

2018年10月29日月曜日

乙嫁語り

t f B! P L

 アミルの一族による街の襲撃や、民俗学者のスミス氏のペルシャを通ってのアンカラへの旅の途上での様々な事件などが、このシリーズの話の華のところをとっていて、味のあるいいキャラを持ちながら、ちょっと日陰の存在であった「パリヤ」さんに「春がやってきた)的な「恋バナ」が展開されるのが『森 薫「乙嫁語り 8」(ビームコミックス)』と『森 薫「乙嫁語り 9」(ビームコミックス)』である。


【収録は】


第8巻が


第四十四話 ばらの花咲くころ

番外編 ガゼル

第四十五話 パリヤの刺繍

第四十六話 北の平野へ

第四十七話 櫛入れ

第四十八話 ウマルが来た

第四十九話 ふたりで遠駆け

第五十話 最悪の想像

第五十一話 パリヤの決意


第9巻が


番外編 いきものがたり

第五十二話 パリヤのパン

第五十三話 ウマルはどんな人?

第五十四話 語らい(前編)

第五十五話 語らい(後編)

第五十六話 盤上遊戯

第五十七話 帰途

第五十八話 仮軸

第五十九話 尋ね人

第六十話 友だち

第六十一話 これからのこと


となっていて、アミルの一族の襲撃後、壊れてしまった街の修理に、カルルク一行がスミス氏の救出に赴いたカラザの街のウマルの一家が手助けに来ている間のパミルとウマルの「恋バナ」に、アミルの兄弟たちのその後の動向が切れ目切れ目に挿入されるという構成。


【注目ポイント】


◯パミルさんの恋は進展するか?


パミルの恋の相手の、ウマルは、前巻までは、さほど個性のない描写であったのだが、今巻に入ってから、「そろばん」ができて計数に明るかったり、隊商宿を再び経営するのが将来の希望であったり、メソメソする女の子が嫌いであることがわかったり、となんともパミル向きの男性である、というのが、読むにつれわかってくる。

ただ、ここで面倒なのが、パミルが意外にシャイなところで、ツンデレの原因もそんなあたりにあるのだが、「恋」を進展させるのは邪魔になるばかりである。

もっとも、こんなあたりが「ウマル」の好みであるようで、パリヤの叔母さんへのお使いに二人が赴くあたりの展開は、不器用な二人が除々に距離を縮めていく様は、昔の映画をみるようで、妙に微笑ましい。「割れ鍋に綴じ蓋」っていうのはこんなことか、と感じさせる二人である。


◯アミルの兄弟は苦戦中


アミルの兄・アゼルは父親が死んだので一族の長を引き継ぐことになるのだが、残念ながら前途は多難である。カルルクの町の長に銘じられたとおり、北の平野に向かうのだが、そこは草も少ないし、ロシアとの国境にも近いという恵まれない土地である。

もっとも、こういうところから「遊牧の民」が台頭してくるのは、チンギス・ハンから続く伝統であるから、彼を侮ってはいけないな。


◯カルルクは「強い男」になりたがる


自分の町が襲撃されて、自分の力の無さを自覚したのと、妻のアミルの弓の腕前に命を救われたことがよほど堪えたのか、カルルクは「弓」をアミルに教えてもらうこととなる。

残念ながら、アミルがカルルクを過大評価して、張りの強すぎる弓をこしらえたせいで、カルルクはかえって自信をなくすのであるが、これが次巻の伏線になっている。作者の企みは侮りがたいな。


【レビュアーから一言】


冒頭に、前々巻の「ペルシャ編」のアニスとシーリーンのその後の物語があるのだが、申し訳ない、この二人のパターンは当方は少々苦手なのでパス。「頽廃」は結構、人の心を疲れさせますね。

まあ、8、9巻は、パリヤさんとウマルくんの掛け合いを素直に楽しんだほうがよいと思います。

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