信長上洛。参陣する静子が考案する作戦は? = 「戦国小町苦労譚 5 現代女子、戦場ニ立ツ」

2019年12月12日木曜日

戦国小町苦労譚

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 現役女子農業高校生が、戦国時代にタイムスリップして、持ち込んだ種子や後世の農業技術な器具を駆使して、尾張の信長のもとで大活躍する、時代改変もの「戦国小町苦労譚」のコミカライズ版の第5巻が『「戦国小町苦労譚 5」(アース・スター・コミックス)』


前巻までで織田政権内の「相談役」として、産業政策、農業政策にたくさんの成果をおさめて、政権内にしっかりと影響力を持ってしまった女子高生・静子なのだが、とうとう、織田信長の天下一統に駆り出されていくこととなるのが本巻である。


【構成と注目ポイント】


構成は


第二十一話 円卓

 第二十二話 火薬

 第二十三話 上洛

 第二十四話 計略

 第二十五話 決着


となっていて、技術街をつくり、生活技術の開発に励み。磁器をつくる準備として耐火煉瓦をつくり、蒸溜酒をつくるために蒸留器を開発しているうちに、信長からアルコールを大量につくるよう命令されるところからスタート。このアルコールが、京都上洛で大きく役に立つことになります。


そして綿花の栽培を尾張・三河で共同栽培することとなり、両者の話し合いの機会がもたれる。三河方のメンバーは本田忠勝ほか3名なのだが、なかに白頭巾の男がいる、この正体はあとで明らかになります。


ここで、綿花や木綿づくりの技術をおしげもなく、隣国・三河の武将に教える静子の態度に不審を抱く三河勢です。


それに対し静子は

綿花を早く広め、子供の死亡率を減らし

百姓一揆を防ぐことです

と答えるのですが、たぶん、当時では想像もつかない「概念」だったことは想像にかたくありません。


ここで、静子が布団を本田忠勝と白覆面の武将に進めるのですが、白覆面は深い眠りに落ちる前に跳ね起きるのですが、忠勝は爆睡してしまいます。もともと静子のことを信用していることもあるのですが、布団に象徴される「温かさ」が人の寿命の長さに関係するということは想像できますね、


綿花栽培の交渉を上手くまとめた後、信長の次の命令をこなすために、静子が集めたのは、ひえ、あわ、きび、蚕の糞、人の尿といったもので、これによって「硝石」をつくるのですが、当時、南蛮からの輸入に頼っていたものを自家製造できることとなり、信長軍の戦闘力のUPはとんでもないことになりますね。硝石の自家製造は、史実では、江戸時代の後半にならないとできなかったような気がします。


話のほうはいよいよ信長の上洛へ。

 静子の方は、綿花栽培や硝石の製造も成功させ、ご褒美として農作業に専念することを期待するのですが、信長から「甲冑」が届き、上洛戦に参陣しろ、という命令が下されます。


当時、女性は、戦に参陣することはよほどの例外でない限り「タブー」とされていたことなので、このあたりには、信長の先進性を感じます。


「戦」のほうは、信長の上洛戦の第一関門である「六角勢」との戦いの場面に移ります。


印象的には、信長が攻めあがる勢いに六角勢がどっと退却したようなイメージがあるのですが、本書によれば、観音寺城、和田山城、箕作城といいう天然の要害の城をつかいながら、もともと兵力が集まらない地域であるために、早期に退却して、相手の守りのスキをつきながら挽回するという戦法が常套手段だったようで、信長が今まで攻め込んで上洛しようとしても果たせなかたことは、単なる力攻めではうまくいかないことを示しているようですね。


ここで、今回、信長軍が一日で六角勢を崩壊させてしまったのは、静子が信長の命令で大量生産した「アルコール」と、現代からの知識をもとにつくった「ファイアー・ピストン」です。


これらをつかって信長のとった作戦は、六角勢を城に籠らせたうえで、退出口を封鎖します。そして、城近くまで密かに自軍のゲリラ部隊を近寄らせ、アルコールを詰めた壺を投げ入れ現場でファイアー・ピストンによって火を点けた火矢を打ち込みます。アルコールに引火した火勢はアッという間に広がって大混乱に陥るスキに攻め込む、といった先夫ですね。アルコールに点火した火はしばらく待てば収まるのですが、六角勢はそんな知識もない上に、当時、「火種」を大事にもちはこぶことでしかおこせなかった「火」を城のすぐ近くで大量におこすことができた、といったあたりは現代の知識を悪用した部類に入るのかもしれません。


【レビュアーからひと言】


岐阜から上洛の途につき、近江・高宮に到着した信長軍は、ここに陣を構えるのですが、ここで、静子は「兵站」の概念を織田信長の配下の武将たちに

「兵站」を導入すれば話はガラリと変わってきます

継続的に物資が供給されれば延々と戦闘可能で

小荷駄側はやがて食料が尽き、敗北は必至

とレクチャーします。

当時、荷駄に積めるだけの食糧をもっていき、食い尽くせば「退却」といった戦い方をしていた戦国武将たちにとっては、革新的な理論であったことは間違いないですね。

 兵站を整えるということは、長期に亘る終わりのない戦闘が可能な体制を整えるということで、信長軍が兵農分離した「戦を専門に行う」近代軍隊に生まれ変わる大前提となるのですが、一方で、当時、農繁期になれば自動終結していた「戦乱」を一年中継続させることになることにもつながっていますね。


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