白坂口の戦闘で亡き「近藤勇」の仇をとれ = 赤名修「賊軍 土方歳三 」2

2021年2月5日金曜日

幕末

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 新選組の副長として、近藤勇を支えるとともに、その冷徹さと智謀で知られ、倒幕の志士や薩長を恐れさせた「土方歳三」の、明治維新以後を描いたシリーズ「賊軍 土方歳三」の第2弾。


前巻では、通説では労咳のために維新後病死したとされている沖田総司を、千駄ヶ谷の療養先から連れ出して、会津に逃れている新選組に復帰させるとともに、新政府に処刑され、京都の三条河原に晒されている近藤勇の首を奪還し、会津へ持ち帰って供養した土方たちなのですが、戊辰戦争のうちの「東北戦争」での最大の決戦の一つ「白河口の戦い」の序盤で、白坂口で新政府軍と激突する土方たち新選組の戦いが描かれます。


構成と注目ポイント


構成は


第7話 百村発蔵

第8話 刻まれた怨

第9話 元御陵衛士

第10話 私闘の理由

第11話 進化した戦術

第12話 四月二十五日

第13話 スペンサー銃

第14話 兄妹


となっていて、まずは、「白坂口」での新政府軍と列藩同盟軍の激突で、新政府軍を率いる「百村発蔵」と「武原直枝」のプロフィール的な話が描かれます。

ざっくりと紹介しておくと、「百村発蔵」は元長州藩士なのですが、Wikipediaでも「維新後、山口県庁で兵事課長を務めた」ぐらいの簡単な表記しかないのですが、本書によると、幕末に倒幕の志士が多数殺害された「池田屋事件」の生き残りで、もし明治まで生き残っていれば「総理大臣になることまちがいなかった」と言われる長州の俊才・吉田稔麿が。目の前で沖田総司によって斬られるのを見ていた人物ですね。そのせいで、土方歳三と沖田総司をひどく恨んでいるようです。


そして、「武原直枝」のほうは、別名「清原清」といって、新選組を脱退して「御陵衛士」という別派をつくった「伊東甲子太郎」派の元新選組の隊士です。彼は、密偵として御陵衛士の内部情報を新選組本隊へ流し、伊東暗殺のお膳立てをした斎藤一と、暗殺計画のプランナー・土方歳三をひどく恨んでいます。

ただ、土方たちのほうも、甲陽鎮撫隊隊長・大久保大和と名乗って新政府に出頭した近藤勇の正体を暴いて処刑のきっかけをつくったのが「清原」であるため復讐を狙っている、という双方が敵として狙い合う関係にあります。

このへんの因縁がぶつかりあうのが「白坂口」での戦闘というわけですね。


この戦いでは、新選組の頃から、砲術の達人として知られる武川直枝(清原清)が砲術隊を中心に新選組の守る白河口の関門へ攻め込んでいくのですが、近くまで攻め込んだところで、左右から大砲と銃の一斉砲火を浴びせかけ、隊列を崩した後、抜刀攻撃がしかけられます。新選組といえば、槍と刀での攻撃重視というイメージがあるのですが、鳥羽伏見での幕軍のてひどい敗戦以後、戦術を大変化させています。このへんが、優れた戦術家でもあった土方と「凄さ」でもありますね。


白坂口の戦いの初戦で新政府軍の出鼻をくじいた土方は、元幕府陸軍奉行の竹中重固からスペンサー銃50丁を託されるのですが、残念ながら、今の新選組隊内には、それを扱える者がいません。この銃の使い方に詳しい人物を、竹中から紹介され、会津に赴いた土方が出会ったのは銃を構える、洋装の

女性なのですが。彼女はなんと・・・、という展開です。これ以上の詳細のところは、原書のほうで読んでくださいな。


レビュアーから一言


本巻では、新政府軍と、列藩同盟軍や幕府軍の生き残りとが戦戈を交えた戊辰戦争のうちの「東北戦争」が本格的に始まっているのですが、洋装に統一されている新政府軍に対し、袴姿で、丁髷を残している列藩同盟軍・旧幕府軍と、その姿も対照的です。このあたりに、個人の武術の力量で局地戦では善戦するも、セイン政府軍との兵力の差と、大量の近代兵器で押し込まれていった戦況をが読み取れるような気がします。なので、なおさら劣勢の中でも「武士の矜持」を通した新選組の人々がとりわけ、かっこよく見えるのかもしれません。

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