神楽舞の薙刀娘、天狗と対決する=砂原真琴「赫焉のヒナギク」(アクションコミックス)

2021年5月14日金曜日

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 「つぐもも」の第11巻で「足狩山」に祀ってある密教の天狗の祠の「御神体」が「あまそぎ」化しそうだということで上岡の菊理姫の命令で派遣されてきた「かずや+桐葉」のつぐももコンビと協力して「天狗」のあまそぎを調伏した大森いつきと薙刀「散華の雛菊」の守護狐「初雪」のコンビの誕生話などが描かれているのが、この『砂原真琴「赫焉のヒナギク」(アクションコミックス)1~2』です。


構成と注目ポイント


第1巻 薙刀少女は、伝説の退魔の薙刀に出会う


第1巻では、まず、祖母から幼い頃から薙刀を学んでいて、相当、プライドがあるのですが、周囲からは全く薙刀の腕を認めてもらえない少女「大森いつき」のもとへ、天台の本山から退魔の薙刀「散華の雛菊」の守護妖である「初雪」が突然やってくるところから始まります。


まあ、ここは間違って「神の使い」がやってきて主人公に力を授けちゃうっていうパターンの典型で、「いつき」が祖母から教わった「神嶺流」と、「初雪」の探す「心嶺流」の間違い。ただ、これがもとで、襲ってくる「天狗」から身を守るため、「初雪」の力を借りて、襲ってくる天狗たちを調伏してしまう、という筋立てです。


急に手にした薙刀で天狗を調伏してしまうので、かなりの遣い手では、と期待されるところなのですが、実は「いつき」は幼い頃から祖母に教わっていた薙刀の腕前が自慢で、薙刀の大会に出場したのですが、初心者の同い年の子にボロ負けするという「負の歴史」の持ち主で、それ以来、人目に立つことは一切やめてしまった、というネガティブ少女です。


なので、「散華の雛菊」の所有者となって天狗の調伏を行ってくれという「初雪」の願いを断念させるため、彼女と祖母を会わせて「いつき」自身の無力さを教えようとするんですが、そこで彼女が教わってきた薙刀術が武道というより「魔」を調伏する「神楽舞」の伝統を継ぐ、特殊な薙刀術であることがわかり・・・という展開ですね。


第1巻では、この後、「散華の雛菊」の本来の持ち主である「心嶺流」の継承者と、彼を守護する「初雪」の姉妹「銀雲」と出会います。

「銀雲」は「掟」に従い、「いつき」から薙刀「散華の雛菊」を取り戻し、さらに「初雪」を始末しようとするのですが、その裏には実は天狗との裏取引があって・・・というとおころですが、ここから先は原書のほうで。


第2巻 神嶺流薙刀の秘伝の奥義復活


第2巻は、第1巻の最後で、「心嶺流」の継承者・真之介にコテンコテンに打ち負かされて、自信を失ってしまった「いつき」が「初雪」の

いつまで、そうやっていじけてるんですか

いつきさんは。私が正しいと信じることをやればいいって言ってくれたじゃないですか

という言葉に奮起します。


そして、「神嶺流」の弱点をあれこれ考えるのですが、そこで妙な夢を見始めます。これが、彼女が自分の本当の力を見出していくきっかけとなるのですが、まず第一番目のリミッターが解除されるのは、心嶺流の継承者・真之介と立ち会う場面。激しい勢いで打ち掛かる真之介に対し、「巫女の目」が開いた「いつき」は相手の”気の流れ”を読んでの攻撃の技を身に付けることとなります。


そして第二のリミッターが解除されるのは、「真之介」が敗れたのを見て襲ってきた体術を使う天狗「禄鳶仙抜虚坊」との対戦のときです。「散華の雛菊」の散華の技を封じる方法を知っている「抜虚坊」に対し、「いつき」は神嶺流の奥義「神嶺流大祓舞」を繰り出し相手を粉砕するのでした・・・という筋立てです。


これと並行して、天狗勢と密約を結んだ銀雲と初雪との姉妹対決のバトルシーンが繰り広げられているのですが、ここは原書のほうでお楽しみください。


レビュアーから一言


この「赫焉のヒナギク」シリーズは全2巻で打ち切られていて、正直、生煮えの状態で終わっているのは間違いないです。主人公の「いつき」も守護狐の「初雪」もそこそこいいキャラに仕立ててあるのですが、敵キャラの「天狗」というのがちょっとイマイチだったのかもしれません。「ゾンビ」やら「死霊」やら「使徒」やら、強力な「人類の敵」たちがマンガの世界に出現している今日では、ちょっとインパクトとおどろおどろしさが不足しているところは否めせんね。


天狗の背後にいるに違いない、日本の古来からの魔物といった根源的な邪悪なものを引っ張り出すことができていたら大化けしていたかもしれないな、とちょっと残念です。

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