「かずや+桐葉」は、”異世界RPG”の蔵凍りへ潜入する=浜田よしかづ「つぐもも」23〜26(アクションコミックス)

2021年5月8日土曜日

つぐもも

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 母親ゆかりの帯である正絹爪掻本綴袋帯「あやさくら」が年月を経て意識をもつようになった付喪神「桐葉」と、彼女の”ご主人さま”的立ち位置のはずなのだが、完全に下僕扱いされている主人公「加賀見一也(かずや)」が、ひきよせられてくる妖怪や人の呪詛や想いが結集した怪異「あまそぎ」を調伏していく、お色気満載の現代版「陰陽師」物語の第23弾から第26弾が「つづら殿」編の外伝となる「異世界RPG編」です。


「つづら殿」編の最後のほうで、「迷い家」の生き残りの「針」の付喪神。糸信の技によって蘇った「桐葉」や「鏡」のみまねたちと、パワーアップの修行を短期間かつ速攻で効果を出すための「蔵凍り」となっているあまそぎ化した小説世界に入り込んでの物語となります。


構成と注目ポイント


第23巻 「かずや」と「桐葉」はファンタジー冒険小説の「あまそぎ」世界に潜入


第23巻の構成は


第113話 響華のかずやわずらい

第114話 異世界へようこそ

第115話 異世界奴隷生活

第116話 古き壁の洞窟ミナドナリ

第117話 階くらい上昇と触手


となっていて、まず第一番目の第113話「響華のかずやわずらい」は「つづら殿」の政権争いの「九殿武闘会」に勝利するために、臨時的に「かずや」を所有者としていた笛の「響華」なのですが、どうやら本心から「かずや」に愛着が湧いてきたようなのです。

「ツンデレ」系の付喪神なので、なかなか素直になれず・・・といった葛藤の様子が描かれるのですが、作者が響華のサービスシーンが描きたいだけでは、というところも見えるようですね。


第114話以降は、ファンタジー冒険小説に、所有者の「何らかの願い」がこもって「あまそぎ」化し、所有者が食事や排泄は自発的にするものの、それ以外は意識を失った夢遊病状態になっているのを救出するため、その小説世界に入り込んで、所有者の願いをかなえて「あまそぎ」を破壊することとなります。

潜入するのか、かずやと桐葉、そしてその後方支援として「迷い家」の生き残り、「響華」「みまね」「糸信」「そそぐ」といったメンバーなのですが、今回の主要な目的は、この「蔵凍り」を退治する修行をすることによって、「かずや」たちのパワーが短期間でUPする、と水晶玉の「あるみ」の占いによるものです。奏歌復活まであと3年あるとはいえ、「かずや」たちのパワーアップを相当急いでいるようです。


本筋の話のほうでは、物語世界への潜入を首尾よく果たした「かずや」たちなのですが、その世界の基礎情報や、「あまそぎ」の所有者情報をほとんど仕入れずに行き当たりばったりで潜入したため、物語世界の住人である半獣族の「ティルト」に騙されて奴隷商人のダバダ=ダバハールに売っぱらわれてしまいます。しかも、同行してきた「みまね」は休眠状態、「響華」「糸信」「そそぐ」は鏡の中で待機中で、連絡もままならない、という状況に陥ります。


この奴隷商人ダバダから自身を買い戻して自由の身になるために、数々のミッションをこなしていく、というのがこの「異世界RPG編」のおおままな筋立てとなります。

この23巻では、初級編のミッションとして、レベル上げをしようとする4人のパーティーの従者として、洞窟のダンジョンに挑戦です。

ここで、「かずや」と「桐葉」のレベルを上げたり、持っている技の数々を、この世界用にチューニングしなおすことができたのですが、詳細は原書のほうで。


第24巻 半獣族・ティルトの陰謀で、糸信たちも奴隷に売られる


第24巻の構成は


第118話 ダバダの黒い噂

第119話 魔王軍討伐隊

第120話 魔苑茸

第121話 糸信立案

第122話 ティルト共闘


となっていて、最初のところは、「かずや」と離れ離れになっているため霊力補充ができない響華の様子や、依頼者から勝手に報酬を受けとったりしたため、拷問にあう「桐葉」と「かずや」の姿があるのですが、ここはもう、作者の趣味が出まくり状態です。


そして本筋の話のほうでは、「かずや」と「桐葉」は次のミッションである国王軍が募集する「魔王軍討伐隊」の傭兵メンバーに選抜されて、魔王軍討伐に向かいます。しかし、そこには人間世界に魔物たちを転送してくる「魔苑茸」が生えていて大量の魔物をおくりこんでくるところに遭遇します。


幸い雑魚キャラばかりなので、選抜された4人のメンバーだけで撃退するのですが、近くに「魔苑茸」がわらわら生えているのを発見し・・という筋立てです。


一方、「かずや」たちを奴隷商人に売っぱらった半獣族「ティルト」は、妹ティーニャを人質にされ、商売の場所代を二重取りされそうになるところを、みまねたち「迷い家」の付喪神の助けで切り抜けるのですが、ここで、この4人を騙して、奴隷商人に売っぱらうところがまた悪どいところです。


しかし、この後、奴隷商人ダバダに騙され、妹は魔苑茸の宿主とされ、本人は奴隷たちの最後の憂さばらしの対象とされてボコボコにされてしまうのですが、悪いことはできないものです。


巻の後半部分では、このティルトと糸信・響華・みなね・そそぐの4人が手を組んで「ダバダ打倒」に乗り出すのですが、その詳細は原書でどうぞ。


第25巻 再生「D.ダバダ」と「かずや+桐葉」の最終対決の行方は?


第25巻の構成は


第123話 ダバダ対決

第124話 ダバダ対決2

第125話 かずや対D.ダバダ

第126話 かずや対D.ダバダ2

第127話 かずや対D.ダバダ3

第128話 糸信さんごきげんななめ


となっていて、前半部分は、ティルト+糸信・響華・みなね・そそぐのチームで「ダバダ打倒」を決行の結果です。


最初の頭部攻撃では、ダバダの復活力の前に失敗したのですが、「みまね」の血鏡の分身を使った第二攻撃で見事にダバダを破壊、全員を束縛していた「奴隷紋章」を消すことに成功します。


しかし、ここで魔苑茸の大量復活の恩賞で、ダバダは魔族・D.ダバダとして復活します。この魔族・D.ダバダと、「かずや+桐葉」が対決するのが後半部分の中心となります。

ここでは、若返った上にパワーを増強したD.ダバダの攻撃や彼女の硬質化した触手攻撃に対して、「かずや」がどういう技を繰り出すのかが焦点になるのですが、ここでは、魔王軍討伐遠征で一緒になった「ウルバ」や「魔女・ディオーサ」の教わった新たな必殺技が決め手となっていくのですが、バトルシーンや、その習得方法とかについては「ご禁制」にふれそうなところもあるので、このレビューでは詳細は割愛しておきましょう。原書のほうでしっかり読んでくださいな。


第26巻 「斑井」は生きていた。そして「菊理姫」の復活は?


第26巻の構成は


第129話 ただいまつづら殿

第130話 まあちゃんとたぐり

第131話 そそぐとかずや1

第132話 そそぐとかずや2

第133話 おそなえ泥棒1

第134話 おそなえ泥棒2


となっていて、位置づけ的には、つづら殿での修行の「蔵凍り」の幕間のお弁当という感じです。

一番の注目は、第130話で、つづら殿のクーデターで敗れ、傀儡帯の過度利用のせいで体が変形し、死を選んだかと思われていた斑井が実は生存していたことが明らかになります。

場面は、「菊理姫」の悪友で金貸しの金山たぐりが祭神を務める「金羅神社」の下働きをしている「まあちゃん」の雑巾がけのシーンから始まります。働かせ方が厳しすぎると文句をいう「まあちゃん」に対し、金山毘売神・金山たぐりは、「あなたが今も生きていられるのは、だあれのおかげかしらね」なんて脅しをかけますね。

というのも、実は「まあちゃん」の正体は九殿武闘会で敗れた上に、変形してしまった「斑井」が、織小花央姫に依頼された館壌神社祭神・館壌はにやによって、傀儡帯の呪いを除去して再生された姿だったのですねー。


ただ、ここで、斑井がクーデターを起こしたのは、奏歌が解放される3年後の世界におきたことを、水晶玉の付喪神・あるみが映し出した姿を回避しようとしてにことだったことが明らかになります。どうやら、自身の権勢欲のために起こしたものではなかったようです。


中盤の二話では、ネガティブ思考の典型のつぐもも「とっくり」の「そそぐ」の自信を「かずや」が取り戻してあげる話です。

もともと、「そそぐ」の得意技は、術者の治癒力を高めたり、行動速度をあげたりといった守備系・回復系のものが多いので、戦闘行為には直接関係しないものが多いので「地味」なのは仕方ないのですが、今までの所有者からも「残念系」な扱いを受け続けてきたため、すっかり思考が「ネガティブ」になっていたわけですね。これを「かずや」がどうポジティブにもっていったか、は原書のほうで。


レビュアーから一言


このタームの最後のところで、奏歌に「石片」を奪われ亡くなってしまったかと思われていた、「くくり」ちゃんが、「かずや」の姉ちゃん「かすみ」と時を扱う付喪神・砂織によって時間凍結され、さらに石片も移譲され、蘇る下準備が整えられていたことがわかります。

ただ、復活するためのの決め手となる「御霊(みたま)」が、黄泉からまだ帰ってこないということで、「かずや+桐葉」に黄泉国から「くくり」の「御霊(みたま)」を連れ帰るという新たな使命が課せられ、という感じで次巻以降へと続いていきます。

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