政の暗殺未遂を経て、信・貂は新たな道を目指す = キングダム8~10「秦王暗殺編」

2021年9月12日日曜日

キングダム

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 中国の春秋戦国時代の末期、乱立していた諸国も秦、趙、魏、韓、斉、楚、燕の七カ国体制が長く続く中、中華統一を目指す秦王「嬴政」と、戦争孤児の下僕から、天下一の大将軍を目指す「信」が、ともにその夢の実現を目指していく歴史大スペクタクル「キングダム」シリーズの第8弾から第10弾までを総解説します。


魏領の蛇甘平原攻略戦で、歩兵デビューを果たし、さらには敵の副将の首級をあげる活躍をした「信」なのですが、このタームでは、秦王朝の混乱を狙う呂不韋による秦王・政の暗殺事件に遭遇します


あらすじと注目ポイント>「秦王暗殺編」


第8巻 政の超脱出には美貌の闇商の犠牲があった


第8巻の構成は


第75話 過去

第76話 闇商

第77話 関所抜け

第78話 孤独

第79話 亡霊

第80話 決別

第81話 別離

第82話 百将

第83話 蚩尤

第84話 剣客急襲

第85話 羌瘣舞う


となって、前半部分では、趙の国都に取り残されていた「政」の趙脱出の際の悲話が、秦国王として即位した政によって側室の「向」に語られるところからスタートします。


当時、政の父であった子楚が秦国の太子となったため、子楚即位後は太子となる政を秦へ連れ帰るプロジェクトが動き始めます。しかし、趙国では、白起による「坑殺40万」によって家族・縁者を失い、秦を恨んでいる者が多く、残された政と母の趙姫は彼らによって酷い仕打ちを受けています。もし、政が帰国し、将来、王位に即いたとしたら、趙に対して報復に出るのは間違いないので、趙としてぜひともこの脱出は阻止したいところ。


この趙の国をあげての妨害間違いなしの政の脱出行を、「闇商」紫夏が引き受けます。


彼女は戦争孤児あがりで、放っておけば趙王に殺されてしまうであろう、異国の少年を見捨てておけなかったというところなのですが、その少年は長年の趙の民衆による苛めで、五感を失っていることがわかります。


趙軍の追手がかかる中、紫夏の「政」脱出作戦の行方は・・といった筋立てです。彼女の犠牲が、政の感情と感覚を蘇らせ、彼の施政方針の基礎をつくったようです。


巻の後半では、政の腹心である昌文君の政治的盟友たちが次々と暗殺される、という事件がおきます。この暗殺には、暗殺集団として有名な「号馬」「堅仙」「朱凶」という一族が絡んでいるらしく、単純な強盗事件ではないと推測されます。


そして、一見すると、昌文君の力を削ぐためと思われた「連続暗殺」ですが、犠牲となったのが王宮の警備を担当している者ばかりということがわかります。どうやら、暗殺者の狙いは、昌文君ではなくて、秦王なのでは・・といった展開ですね。


さらに、この暗殺集団の中に「羌瘣」も雇われていることと、彼女が暗殺者としては最も歴史が古く、「魔物」として恐れられてきた「蚩尤」の一族であることも判明し・・という展開です。


第9巻 暗殺集団から「政」の命を守れ


第9巻の構成は


第86話 黒幕

第87話 千年の名

第88話 戦友

第89話 弱点

第90話 時間稼ぎ

第91話 本領

第92話 秘密

第93話 正体

第94話 祭

第95話 掟

第96話 呂氏派


となっていて、いよいよ暗殺集団が宮中に入り込み、衛兵たちを倒していきます。


そして、とうとう政の寝室に侵入、政の守るために駆けつけた信と刺客たちとの闘いが始まるのですが、信が相手にするのは、蛇甘平原攻略戦で戦友として戦った「羌瘣」です。


彼女との激しいバトルや、羌瘣と他の暗殺集団が斬り広げる戦闘の様子は、原書のほうでお確かめください。


そして、戦いの終わった後、彼女の強さと秘密と、その強さを身につけるために、故郷の蚩尤族の村で行われる、一族の優れた者同士が殺し合う「祭」という陰惨な儀式で羌瘣が経験した悲劇の様子が描かれます。


第10巻 呂不韋の迫力に圧倒された信と貂は新たな道へ踏み出す


構成は


第97話 未知なる男

第98話 上奏

第99話 六大将軍

第100話 二人

第101話 新たな道

第102話 オレ次第

第103話 軍師

第104話 夜語り

第105話 裸の付き合い

第106話 修行願い

第107話 無国籍地帯


となっていて、前巻での「秦王・政」暗殺未遂事件の黒幕である呂不韋が宮中へ参内してきます。彼は前王の子楚を擁立した立役者であり、「政」の実父ではないかという噂の実力者で、秦国の実権を握っていると言われている人物です。


この時の参内でも、蔡沢、昌平君、蒙武、李斯といった錚々たる人物を食客として従えての参内で、張り合える腹心といえるのは昌文君や竭丞相の右腕だった肆氏ぐらいしかいない「政」の陣営とは人材の厚みからして相当の違いがあります。暗殺未遂事件の黒幕であることが明らかでも、それを咎めることができないぐらいの、勢力差が「政」と「呂不韋」の間には存在しているのは否定しようがないですね。


この力の差を見せつけられて、信と貂はそれぞれに自分の能力を磨くために、新しい道へ踏み出すことを決意します。


まず貂は、剣の腕を身につけようと思い、羌瘣に蚩尤の技を教えてくれるよう頼むのですが、これは即座に却下されます。代わりに彼女が提示したのが「軍師」となる道だったのですが、貂が羌瘣の推薦で弟子入りした先は、なんと、呂不韋の食客である「昌平君」のところで、という展開です。貂は、蒙武の息子・蒙毅の妹弟子となって、軍師としての修行を開始します。


一方、信は武将としての力量を磨くため、王騎将軍に弟子入りしようと企みます。この当時、王騎将軍は秦の役職からはすべて退いているのですが、強大な私兵軍を抱え、ほぼ独立勢力的な立ち位置になっています。

信は無謀にも、この王騎将軍に「弟子にしろ」と申し込むのですが、王騎が弟子入りの条件として、信に命じたのは、戦で土地を追われたり、国が滅ぼされて亡命してきた少数民族が流れ着いてくる荒れ地の「無国籍地帯」を、一番勢力の弱い部族をまとめて「平定」しろというものだったのです・・という展開です。


レビュアーの一言>秦の昌平君の正体は?


河了貂が軍師修行をする「昌平君」はもとは楚国の王族出身で、秦王・政の腹心である昌文君の甥っ子にあたります。この時は呂不韋に仕えていたのですが、後に呂不韋から離れて政に仕え丞相となったり、王翦の罷免を巡って政を諌めて怒りをかって、一緒に罷免されたり、秦が楚を滅ぼした後に楚の遺臣に担がれて楚王となったり、とかなり複雑な動きをした人物です。


このシリーズでは秦国を支える大軍師として存在感を出しているのですが、本当は一筋縄ではいかなかった人物のように思えます。

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