趙の李牧、合従軍を結成。秦の野望を砕け = キングダム24・25「五カ国合従軍戦」その1

2021年9月16日木曜日

キングダム

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 中国の春秋戦国時代の末期、戦国七雄と呼ばれる七カ国同士の攻防が続く中、中華統一を目指す秦王「嬴政」と、戦争孤児の下僕から、天下一の大将軍を目指す「信」が、ともにその夢の実現を目指していく歴史大スペクタクル「キングダム」シリーズ第24弾と第25弾を総解説します。


前巻までで、魏の山陽地方を攻略し、中原へ打って出る要地を確保した秦国だったのですが、これが秦が中原を席巻していくきっかけとなることに気づいた趙の宰相・李牧によって、六カ国の連合軍が結成され、秦国の興亡をかけた大戦争へと発展していきます。


あらすじと注目ポイント>趙の李牧、合従軍を結成。秦の野望を砕け


第24巻 趙丞相・李牧の謀略、密かに動き始める


第24巻の構成は


第251話 燕の将軍

第252話 劇辛の戦

第253話 下らぬ戦

第254話 楚の同世代

第255話 相国

第256話 左丞相

第257話 小国

第258話 徐の生業

第259話 楚趙

第260話 武人の肉体

第261話 嵐の兆し


となっていて、 秦・魏の山陽地方攻略戦が終結した頃、燕との戦争を始めていた趙軍の総大将として、あの龐煖が戦場にでてきます。


相手となるのはかつて斉に攻められて亡国の危機にあった燕を救った救国の英雄「劇辛」。彼は中国の戦国時代中期を代表する武将・楽毅のもとで戦っていて、楽毅の戦術を全て身に付けたといわれています。

しかし、馬陽での戦以後、さらに武道者としての修行を積んだ龐煖の前には敵ではありません。一刀のもとに切り捨てられてしまいます。

ただ、このエピソードは、ひとまずは、五カ国合従軍の集合局面での、燕のオルド将軍と趙の李牧丞相の雑談ネタぐらいの役割までで、龐煖の活躍場面はもう少し後です。


一方、秦王・政のほうは、宮中での勢力争いに変化が起きています。趙太后との密通がもとで勢力を減じていた呂不韋のもとに再び、秦王側から寝返る廷臣が増えています。この頃、呂不韋の手配で嫪 毐という巨根の男を趙太后のもとに偽宦官として出仕させ、彼女の性の相手をさせていたのですが、これが趙太后のお気に入りとなり、後宮勢力が呂不韋の味方に雪崩をうった、というのが背後にあります。


この勢力拡大をもとに、「俺は丞相を卒業するぞ」と、呂不韋は今の首相に相当する臣下の最高位「相国」に昇格します。この「相国」という地位は、その権限と権力の大きさから、下手をすると君主の地位を脅かす恐れが高いので、あまり任命されることのない職なのですが、この時期の呂不韋に反対する者はいなかったのでしょうな。


政は、呂不韋の専横をくいとめるため、かつて自分に反乱を起こした「成蟜」を、自分に武方することを」条件に釈放して王族たちをまとめ上げ、呂不韋が相国となると同時に、自らの腹心・昌文君を「左丞相」に任命します。政vs呂不韋のひそやかな権力闘争は水面下でバチバチ言わせています。


ここで物語は戦場の方へ移ります。馬陽の戦の後、楚の国境警備に配置換えされた信は、同じ世代の楚の千人将「項翼」「白麗」と小競り合いを重ねているのですが、ある時、魏・趙・韓・楚・秦5カ国の国境が入り混じっているところで、負傷した子どもを保護します。


その子は、「徐」という聞きなれない国の出身で、その国は周辺国に「情報」を売ることで国を保っているとのこと。徐の国を攻める韓の軍隊を退けることで、この地域の詳細な地図をもらうことができたのですが、一番の儲けものだったのは、楚の宰相・春申君と趙の宰相・李牧が会談しているところに出くわしたこと。ここで、「楚・趙同盟」の臭いをかぎつけます。貂がそのことを李牧に問いただすと、彼は

もし、見事に殺せたら

私の悪巧み

そのものをつぶすことができますよ

と答えます。何かもっと大きな「仕掛け」を目論んでいるようですね。


第25巻 李牧の大秘策・六カ国合従軍、秦へ侵攻開始


第25巻の構成は


第262話 超大国の侵攻

第263話 想像の埒外

第264話 迫りくる合従軍

第265話 外交の仕事

第266話 因縁の子

第267話 詰んだ盤面

第268話 一堂に会す

第269話 戦国四君

第270話 函谷関集結

第271話 開戦の口火

第272話 麃公突貫


となっていて、趙の宰相・李牧の動きに触発されてのか、南方の超大国・楚が秦との南部国境に侵攻してきます。ここの守備には、蒙武、張唐の二人が配置されていたのですが、この両軍の隙間を突く攻撃で、一挙に秦国内へ入り込む計画のようですが、ここを亡き王騎の副将・騰の率いる王騎残党軍が阻止します。


しかし、危機はこれでおさまりません。今度は魏軍が国境を侵犯し、国境の最前線・剛陵城を陥とし、さらに軍を進めてきます。

二つの国の同時期の侵攻に、楚と魏が連動していることが推測されるのですが、ここで、馬陽に趙軍が侵攻してきているとの報が入ります。三カ国が連合してきたかと慌てて防衛線を確認する秦宮廷には、さらに北方で燕軍が侵攻を開始、韓軍が秦国中央の国境線から侵入、という報せが入ります。さらに直接国境を接していない、東の大国・斉も大軍を趙を通って秦へ向けて進軍中という報告も。


かつて、中原に覇を唱える一歩手前だった斉を粉砕した、「六カ国合従軍」の登場に、秦国宮廷は、戦う前から戦意喪失状態になるのですが、これを挽回したのは、「戦うぞ」という政の言葉ですね。


ただ、気になるのは妙に冷静な呂不韋の態度で、このおっちゃんはまた何か腹の中に陰謀を蓄えているのかもしれません。


それはともかく、この危機に、軍師・昌平君は、この六カ国連合に楔を打ち込む一手をすでに考えついています。それは、秦と国境を接していないたった一つの国、斉を連合軍から離脱させるという手で、秦国有数の外交官・蔡沢。彼は、斉王・田建を説き、多額の謝礼を積んで了解させます。史実では、王母の一族が賄賂をうけとって国王を説得したようなのですが、田建自体も、六カ国合従軍に斉の国を滅ぼされた時の幼少時の記憶が残っていると思われるので、秦以外の五カ国への反発もあったかもしれません。


戦のほうは、まず魏軍との戦いが激烈化しています。魏軍を指揮しているのは秦将・麃公に父・呉慶将軍を斃された呉鳳明で、父の弔い合戦の様相も呈しています。この戦いで呉鳳明は新しい戦術を試してみるつもりだったようですが、麃公は「野性の勘」でこれを察知し、難を免れます。


麃公と信は、昌平君や昌文君たちが合従軍撃退の策を練るための時間稼ぎをするために、魏軍など合従軍の邪魔をするのですが、焼け石に水。合従軍は粛々と兵を進め、集結地点である「風万平原」に斉を除く五カ国の宰相、将軍が集まります。ここで、戦国四君の一人・春申君を合従軍の総大将に定め、咸陽侵攻戦を開始します。


圧倒的に兵力差で劣る秦軍は、すべての将軍と兵士を、今まで破られたことがなく、秦国を外国勢力から守る最後のよりどころである国門「函谷関」に集め、いよいよ秦vs五カ国合従軍の、秦国の興亡をかけた戦いの開幕です。


レビュアーの一言>合従軍による秦国侵攻は四度目


実は、戦国時代の七雄の諸国が共同して一つの国を攻めたのは、東帝と呼ばれた「斉」を攻めた事例だけではありません。

秦もこの紀元前241年の五カ国連合軍と函谷関で死闘を演じたこの戦だけでなく、過去に、紀元前318年、紀元前298年、紀元前247年に諸国の連合軍と戦っています。そのうち、紀元前298年、紀元前247年の戦いでは秦は連合軍に敗北を喫していて、特に紀元前247年の「河北の戦い」では、魏の信陵君の指揮のもと、秦軍は敗退を続け、函谷関を堅守して、ようやく合従軍に兵を退かせることに成功しています。

今回、昌平君が、函谷関までの城の守備をすべて諦め、函谷関での決戦を考えたのは、旋先回のことがあったせいかもしれません。

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