楊端和は、橑陽で犬戎王の圧政を降す = キングダム51〜53「趙「鄴」城攻略戦」その3

2021年9月26日日曜日

キングダム

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 中国の春秋戦国時代の末期、戦国七雄と呼ばれる七カ国同士の攻防が続く中、中華統一を目指す秦王「嬴政」と、戦争孤児の下僕から、天下一の大将軍を目指す「信」が、ともにその夢の実現を目指していく歴史大スペクタクル「キングダム」シリーズ第51弾~第53弾を総解説します。


前巻では、橑陽と朱海平原に、楊端和、王翦本軍がそれぞれ軍を進めたものの、李牧の策略や、暁雲、趙我龍といった趙の亡き名臣・藺相如の遺臣たちや、かつて周を滅ぼした犬戎族の王・ロゾ軍による猛攻を跳ね返す楊端和と山の民軍と、信ほかの飛信隊の逆転劇が展開されます。


あらすじと注目ポイント


第51巻 犬戎王軍へ楊端和と壁が総攻撃を仕掛けるが・・


第51巻の構成は


第548話 乱戦下の策

第549話 三つの誤算

第550話 期限の知らせ

第551話 伝者の報告

第552話 身を切る作戦

第553話 ルーディン

第554話 壁軍の攻防

第555話 個別撃破

第556話 王翦の守り

第557話 関節粉砕

第558話 人外の武


となっていて、李牧のもとに秦の兵糧の残りが後十日分、「鄴」のほうはあと二十日分あるという報告が入ります。趙軍としては兵糧の面で圧倒的優位にあることを確信するのですが、これが後になってダブルパンチになって返ってくるのですが、これはまた後巻で。


前半部分では、尭雲軍に二箇所同時に攻め込まれた飛信隊が、信と羌瘣の活躍で趙軍を撃退していく様子が描かれます。数で大幅に上回る敵をほぼ一人で撃退した羌瘣の姿に、堯雲は

一瞬、かつての六将の一人の姿が頭をよぎり

飛信隊が想像していた以上に厄介な相手だと思いを改めた

こんな感想をもらしています。「かつての六将の一人」というのは王騎の恋人のあの人のことでしょうか?


中盤は橑陽戦です。


そして、食糧が乏しくなっているのは橑陽を攻める楊端和+壁軍のほうでも同じで、とりわけこちらは、趙の舜水樹によって兵糧が焼かれているのでより深刻です。ここで楊端和は、犬戎王の血族で犬戎軍の柱となっている三兄弟「ゴバ」「ブネン」「トアク」の首を、山の民軍+壁軍を三派に分けて取りにいく作戦にでます。


兵糧を焼かれた汚名挽回を図るため、「壁」は楊端和に頼みこみ、三軍のうちの主攻めの一つとなります。


彼が主攻となることで、従攻となった「メラ族」がそれを遺恨と思わず、「壁」に協力することを宣言し、「壁」は「メラ族」の言葉で出陣の雄叫びをあげるあたりは、秦の民族融和の一面を示していて、このあたりが「趙」の異民族政策とはちょっと違うところだと思います。


しかし実は、この攻撃は、敵の犬戎王「ロゾ」と趙将・舜水樹の予測していたところで・・という展開が後に続きます。


もっとも、進軍の前に、楊端和が「猿手族」の長老を呼んでなにかを頼んでいるのが気になるところですが・・。


後半では再び朱海平原戦にもどり、「信」たちのいる秦・右翼のほうでは、趙の左翼陣を崩すため、そのうちの一角である「岳嬰」を討って切り崩しにでる作戦をとります。しかし、これが悪手。「岳嬰」を狙っているのを見抜いた趙軍は、それを逆手にとって、秦右翼軍の主将である「亜光」将軍を狙って、堯雲、馬南慈といった強力な主力を投入してきて・・という展開です。


第52巻 舜水樹とロゾの攻撃に、楊端和ピンチ


第52巻の構成は


第559話 右翼の行方

第560話 信の間合い

第561話 一刀の衝撃

第562話 恐将

第563話 族長カタリ

第564話 落日

第565話 前線にて

第566話 端和の選択

第567話 明日の太陽

第568話 最強の戦士

第569話 バジオウの誓い


となっていて、王翦の第一武将を勤める亜光もそれなりに強いのですが、堯雲、馬南慈二人がかりでこられては敵しようもありません。ボロボロにやられてしまうのですが、ここでまず救援に入ったのが、曲者武将の亜花錦。倒れかかる亜光を抱えて騎馬で逃走し、そこへ王賁もかけつけ、亜光はなんとか命だけはとりとめます。


そして「信」のほうは、超軍の切り崩しを図るため「岳嬰」に迫ります。


岳嬰も、主君である「慶舎」を信に討たれた仇をうとうとするのですが望み虚しく、信に斃されてしまいます。


そして、同じ頃、橑陽のほうでも激戦が始まっています。犬戎王ロゾ軍の主力である三兄弟「ゴバ」「ブネン」「トアク」の軍に攻めかかっているのですが、山の民軍+壁軍はかなり押し込まれている状況です。


というのも、犬戎兵のほとんどはロゾによって家族を人質にとられていて、手柄をあげれば報奨が出ますが、命令に逆らったり失敗すると、一族もろとも皆殺しにされるという恐怖支配が続いているため、決死の覚悟でむかってくるわけですね。特に、壁軍・メラ族連合軍が戦う「ブネン」は、味方も平気で犠牲にする残虐な将で、メラ族の族長カタリもブネンの副将ジリもろとも串刺しにされてしまいます。


山の民軍はフィゴやバジオウたちの活躍で、三兄弟のうち「トアク」を討ち取り、「ゴバ」を追い詰めるのですが、ここで待ち構えていたのが、今まで戦力を温存してきた舜水樹率いる趙軍と犬戎王ロゾの本軍です。今まで立て籠もっていた橑陽城からほとんどの兵を出して、楊端和軍に猛攻撃をしかけてきます。


趙軍とロゾ軍に山の民の兵を削られていき、崖下に追い詰められた楊端和はバジオウと脱出を図るのですが・・・という展開です。


第53巻 楊端和の秘策により橑陽城陥落。犬戎王ロゾ敗れる。


第53巻の構成は


第570話 完璧なる遭遇

第571話 挽回の機

第572話 カタリの仇

第573話 立つ向かう者

第574話 解放者

第575話 届かない指示

第576話 王翦の下知

第577話 赤の他人

第578話 明日までに

第579話 十二日の朝

第580話 最強の瞬間


となっていて、犬戎兵から逃れた楊端和のもとへ、タジフほかの残った山の民軍や犬戎の「トアク」を斃したフィゴ族の軍も集まります。


さらに族長・カタリを騙し討ちされて復讐の念に燃えるメラ族の新族長となった妹・キタリが率いるメラ族、名誉挽回に燃える「壁」軍などが次々と結集し、犬戎王ロゾとの最終決戦に臨みます。


兄の仇である犬戎の将「ブネン」に挑みかかり、「ブネン」を切り刻むキタリの疾速の剣技や、苦戦しながらも「ロゾ」を斃して男を上げる「壁」の勇姿はぜひ本書のほうでお読みください。


そして、この最終決戦が始まる前、フィゴ族の族長・ダントが「確かに追い詰められている。お前達の城から遠く離れたこの地でな」と奇妙なことを言い出します。

この言葉を聞いた舜水樹はなにかに気づき、あわてて軍を橑陽城へ引き返させます。城の近くまで来た彼らが見たのは、山の民軍のうちの「猿手族」に占拠された橑陽城の姿です。


趙軍と犬戎王の本軍は、楊端和を追い詰めるために出陣したつもりが、まんまと彼女の誘い出されていたわけですね。


この後、楊端和は、残った兵と家族の命を保障し、犬戎族の独立を約束したため、犬戎族は楊端和に降伏し、彼女の軍に加わると約束し、橑陽の地域は楊端和たち秦軍の手に陥ちることとなります。


ここで物語は朱海平原の秦右翼軍に戻ります。


右翼軍の主将を務める亜光が趙の堯雲たちの攻撃で重傷を負い、指揮をとることが不可能となったため、亜光軍の将兵は王翦の子供である王賁に、亜光に代わって指揮をとってもらうよう王翦将軍に何度も要請するのですが、王翦は無視を続けます(この原因は、王賁の出生の秘密が絡んでいるようですが、詳しくは本書の方で)。


兵糧も底をつきはじめ、あと2日のうちに趙左翼軍を撃破しないと食い物不足から総崩れが予測される中、王賁は信に

もはや必要なのは戦術ではない

明日までに必要なのは

隊の”覚醒”だ

という提案を申し出ます。


その方法は王賁にも信にも皆目見当がつかないのですが、迎えた十二日目の朝、期せずして、二人はそれぞれの隊の隊士に向かって語りかけはじめ・・という展開です。ここから再び秦右翼軍の快進撃が始まっていきます。


レビュアーの一言>橑陽の敗戦は、趙の異民族政策の失敗の証


犬戎族の残兵に楊端和に降伏したことを告げられた舜水樹は、抵抗し兵をあげるよう説得するのですが、「我らはロゾ様に圧政を敷かれていたが、趙のお前たちはそれを知っていて無視していた」と拒絶され、鄴ではない方向、秦軍のいない方向へ行くよう言われます。さもないと犬戎が趙の敵となる、とも。


今まで李牧や舜水樹たちは、ロゾ王を通じて犬戎族を恐怖支配することでこの地域の治安を維持してきたと推測され、おそらくこのやり方は匈奴に対しても同じだろうと思います。この橑陽での敗戦は、李牧の異民族対策の失敗を現しているとも言えますね。もっとも、犬戎族も楊端和に従っているので、秦に服属したわけではないのは昌平君たち秦の首脳陣は心しておかないといけないでしょう。

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