「鄴」攻略戦、決着。さらに龐煖との戦いも最終決着 = キングダム57〜59「趙「鄴」城攻略戦」その5

2021年9月28日火曜日

キングダム

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 中国の春秋戦国時代の末期、戦国七雄と呼ばれる七カ国同士の攻防が続く中、中華統一を目指す秦王「嬴政」と、戦争孤児の下僕から、天下一の大将軍を目指す「信」が、ともにその夢の実現を目指していく歴史大スペクタクル「キングダム」シリーズ第57弾~第59弾を総解説します。


前巻で、亡き趙の名臣・藺相如の遺臣・堯雲や趙我龍を失い、信や王賁の属する秦右翼軍が優勢となるなか、王翦軍と李牧軍の本陣の最終決戦が繰り広げられるとともに、武神・龐煖と信とが最終対決のバトルを繰り広げます。


あらすじと注目ポイント>「鄴」攻略戦、決着。さらに龐煖との戦いも最終決着


第57話 趙の本陣、秦の前に屈し、龐煖との最終対決開始


第57巻の構成は


第614話 挟撃戦

第615話 本陣の危機

第616話 王翦の退路

第617話 飛信隊の止め方

第618話 戦場への思い

第619話 李牧本陣

第620話 武神の咆哮

第621話 堕とす者

第622話 龐煖とは

第623話 模を示す

第624話 人の代表


となっていて、趙の左翼陣をかわし李巻本陣へ飛信隊が迫る一方で、李牧は。傅抵に秦の倉央・田里弥軍の隙間をぬけて直進させ王翦本陣へ正面からぶちあてます。


ここに本陣の注意を向けたところで、秦の右翼軍の後ろを追撃していたと思われた馬南慈軍が右翼軍をスルーし、そのまま王翦本陣を真横から攻め、秦・趙の両本陣がともに挟撃の攻撃を受けるということになります。


ここでものをいうのが兵力差と破壊力の差で、兵力に勝り、補給も十分な趙軍のほうが有利で、王翦本軍はじりじりと削られていきます。ここに救援に入ったのが、王翦の息子・王賁で、馬南慈軍の後を追っていたら王翦軍が挟撃されているところに出くわし、数騎で割り込んできたというわけ。わだかまりのある親子ですが、ここは父親の危機を見過ごせなかったということで、父親のほうもそのあたりを感じているようです。


さらに、ここには蒙恬軍もかけつけ、馬南慈、共伯といった趙軍の猛者たちが次々と討ち取られて行きます。


一方で危機が迫っていたのは、飛信隊のほうで、信の突撃をやり過ごした趙の金毛は、後続する河了貂の姿を見つけ、彼女を標的にして矢を射かけてきます。


落馬し、手を射抜かれ絶対絶命の危機に陥ります。貂を救おうとして弓を壊してしまい、趙兵に襲われる仁と貂のダブル危機を助けたのが、今まで人を射ることができなかった弓矢兄弟の弟・淡です。兄・仁の命を救おうと、彼の「弓」が覚醒し、金毛を射抜いて斃す大金星をあげます。


しかし、秦軍が盛り返す中で出現したのが武神「龐煖」です。趙軍全体の意思とは関わりなく、秦兵を殺戮する彼に、羌瘣が立ち向かい、技の限りを尽くすのですが、やはり龐煖には敵いませんね。何度か斬りつけることに成功するのですが、最後は跳ね返され、体を掴まれて地面に何度も投げつけられボコボコにされてしまいます。


ここで信がかけつけ、龐煖との最終勝負が始まります。


ちなみに、この巻の最後のほうで、李牧と龐煖との出会いや、李牧の推理する「龐煖の正体」が描かれています。


第58巻 信は命をかけて、武神「龐煖」を斃す


第58巻の構成は


第625話 矛盾の答え

第626話 残酷な現実

第627話 道の行方

第628話 命の火

第629話 信の夢

第630話 天地の間

第631話 朱い階段

第632話 再始動

第633話 十のニ

第634話 戦略の破綻

第635話 宝の山


となっていて、前巻に引き続いて、信vs龐煖の戦いが続いています。


龐煖の思想と、信が背負っているものとの勝負みたいな感じでバトルシーンが展開していき、最後は、信は自らの命と引き換えに龐煖を斃すことに成功します。


死んでしまった信を羌瘣が。先祖から伝わる「蚩尤の秘術」で蘇らせるあたりについては原書のほうでお読みくださいね。


龐煖vs信の戦いの帰趨は別として、王賁や蒙恬が馬南慈の横からの攻撃をくい止め、正面の倉央・糸凌(しりょう)の攻撃で趙本陣の攻めをしのぎ、本陣同士の対決は秦優位で進み、龐煖の死を見届けた李牧は趙軍を撤退させます。


これ以上、朱海平原での戦いが長引けば「鄴」の救援に間に合わないからなのですが、趙軍の撤退により「朱海平原戦」は秦側の勝利。これで橑陽と合わせて二つの大事な戦いに勝利したことになります。


李牧の向かった「鄴」のほうでは食料不足から内部で反乱が起き始めています。しかも、外に脱出しようとする民衆を、城兵が武器で脅して城内へ留めるという形になっていて、典型的な負けパターンですね。


この「鄴」内部からの瓦解を止めるため、李牧はフルスロットルで軍を走らせていくのですが、後ろから王翦軍の精鋭部隊が追撃してくるので、その対応もせざるをえず、全速力といかないのが彼の悩みです。これは結局、「鄴」到着まで影響し、結果として「鄴」城は内部から門を開いて、桓騎軍の侵入を許してしまいます。


結局、李牧は「鄴」城から脱出した民衆と城兵を吸収して「鄴」を離れるのですが、これで彼の「プラン」が全部潰えたわけではありません。秦軍は、ここでこの「鄴」攻略戦のもう一つの「敵」である兵糧問題に直面することになります。


第59話 王翦の食糧補給の奇策により趙西南部は秦の手中に落ちる


第59巻の構成は


第636話 補給軍の行方

第637話 鄴の命

第638話 水路

第639話 吉報

第640話 国の要

第641話 深刻な問題

第642話 第一等の特別功

第643話 覚悟の通達

第644話 桃泉殿

第645話 趙王の命

第646話 雁門以来


となっていて、「鄴」から趙軍も追い出し、無事、朱海平原に残した後続軍も合流し、橑陽に籠る楊端和と壁軍以外の全軍が終結し、いよいよ兵糧問題は深刻になってきます。


この危機を回避するため、秦本国から昌平君の側近・介億を大将として、補給軍が出発しています。列尾を越えて食料を届けるつもりですが、この行路はすでに趙によって探知済み。李牧の側近・舜水樹によって撃退されてしまいます。


しかし、この補給部隊は実はフェイク。黄河をつたって水軍による大補給部隊が「鄴」に向かっています。李牧の裏をかいたつもりだったのですが、趙の領内に入ったところで秦軍を上回る趙の水軍が待ち構えていて・・という展開です。


まさに「策」の読み合いというところで、今回は李牧の「読み」が勝ったか、と思われてのですが、実は王翦将軍は、最初の出陣前に昌平君に対して、秦水軍が壊滅し、食料が奪われたときの対応策をすでに頼んでいて・・というところで、その内容は原書のほうでご確認ください。


李牧はこの策にも気づくのですが、その時は、朱海平原での敗戦の責任を追及され、審問のため王都・邯鄲へ護送中だったので、有効な妨害策をうつことができなかったですね。国王・悼襄王との対立がここでも響いてきていますね。


この結果、「鄴」攻略戦は秦軍の完全勝利。趙の西南部は秦の支配下にはいることとなり、戦後行われた論功行賞で、信は「将軍」に昇格しています。将軍となるにあたり、「信」は名字を「漂」と同じ「李」と名乗ることにします。ちなみに「李」は「王」「張」と並んでその名字を名乗る人の多い中国三大姓の一つですね。


一方、趙都・邯鄲に護送された李牧は獄につながれ、彼の反対派である郭開によって刑死されそうになるのですが、ここで李牧を警戒し嫌っていた悼襄王が風呂場で変死します。暗君と言われた悼襄王の突然死により、名君の器と言われ、次の後継者と思われていた太子の「嘉」によって李牧ほかの政治犯も釈放され、ここから趙の国政も刷新するか、と思われたのですが・・という展開です。


実は、悼襄王は諫言を繰り返す「嘉」を嫌って、生前に彼を廃し、末子の「遷」を悼襄王の後継の王にする遺言を遺していたんですね。大臣の郭開は王后である江姫の協力を得て、「遷」を即位させ、「嘉」を反逆者として捕らえてしまいます。「江姫」というのは史書に見当たらないのですが、「遷」の実母で、嘉の実母を失脚させて后となった「倡姫」のことだと思われます。


この王位継承のゴタゴタで、太子「嘉」は燕国の近くの「代」に逃れそこに亡命政権をつくり、李牧も北方へ逃亡することとなります。


レビュアーの一言>「趙」衰亡の遠因は秦の白起将軍


今回の「鄴」城攻略戦で敗れ、鄴・橑陽・列尾で構成する西南部を失い、国力を大きく下げた「趙」国。今回の敗戦の原因を秦軍の総大将・王翦は第58巻の後半部分で「手駒の差だ」として、趙軍では堯雲、趙我龍の戦死後、これを補う武将が出てこなかったに対し、秦軍では麻鉱戦死、亜光負傷の穴を、

そこから若き三人の駒が台頭し

軍の力は失墜するどころか

結局、神がかった粘りと強さを見せた

あの三人の戦いぶりが

李牧の描いた戦いの絵を

大きく狂わせたことは間違いない

と王賁、蒙恬、信といった若き武将が急成長して埋めたことをあげています。


この攻略戦の結果としてはそうなのですが、その遠因として、20数年前の「長平の戦」で白起将軍によって趙兵40万が坑殺されたことがあるのでは、と思っています。

中国全土の人口は資料が残っている前漢末期で約6000万人とされていて、このシリーズの舞台となる戦国時代は、おそらく2000万人とされているので、「40万人が穴埋めにされ殺された」というのは誇張がかなり混じっているとは思いますが、多くの趙軍の主力となる将兵が殺されたことは間違いないでしょう。秦将・白起によるこの蛮行がなければ、中国の歴史も全く違ったものになっていたのかもしれません

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