京都炎上を狙う浪士たちが池田屋集結。新撰組の動きは?=「アサギロ」23・24(ゲッサン少年サンデーコミックス)

2021年12月18日土曜日

アサギロ

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 幕末の歴史を、薩摩の西郷隆盛や長州の桂小五郎といった倒幕勢力や土佐の坂本龍馬といった維新志士たちの対抗勢力として、必殺の剛剣をふるって、京都の街を血で染め「浅葱色の狼」として恐れられた新選組の近藤勇や土方歳三、沖田総司の姿を描いた「アサギロ」シリーズの第23弾から第24弾。


前巻まで山崎烝や武田観柳斎など新メンバーの入隊も相次ぎ、大組織となっていった新撰組なのですが、一方で、あの悪名高い「局中法度」の制定により、長州藩の密偵が次々と血祭りに挙げられたほか、「士道不覚悟」として新入隊士たちの粛清が相次いでいたのですが、今回は、新撰組の凄まじさを京都中に轟かせた「池田屋事件」前夜までが描かれます。


あらすじと注目ポイント


第23巻 勤王の薪炭商・桝屋が隠している秘密を暴け


第23巻の構成は


第139話 嫌われ者

第140話 三十両の命

第141話 炭薪商 桝屋

第142話 兆し

第143話 天才の来所

第144話 松門の無逸


となっていて、冒頭のところで松平容保から、幕府が旗本御家人の次男や三男を中心にした「見廻組」の創設を始めたことが知らされます。


見廻組は、小太刀日本一といわれた佐々木只三郎が参加をしていて、彼は坂本龍馬の暗殺に関与したと言われています。


新撰組と見廻組は、その出身が町人・百姓と旗本・御家人と異なっていた上に、歓楽街・町人街と御所・官庁街と管轄する場所も異なっていたため、対立することはあっても、共同戦線を張ることはほとんどなかったようです。ただ、漫画「ちるらん」あたりでは、鳥羽伏見の戦のところでは、会津の「別撰組」や新撰組とともに新政府軍と戦っていますね。


物語のほうは、第140話で、幕末四大人斬りの一人、土佐の岡田以蔵が、1年前に怪我をした「佐々木愛次郎」を町医者のところへ運び込んだエピソードが描かれているのですが、ここから池田屋事件の発端となった薪炭と古道具を商う「桝屋」があぶりだされてくることになります。


その医者の聞き取りで山崎が桝屋に疑惑を抱き、谷三十郎が捜査に行くのですが、持ち前のガサツさで桝屋喜右衛門こと古高俊太郎の軽蔑を招くのですが、ここが新撰組のつけ目でです。


相手の侮りを呼んで、隠していた秘密を嗅ぎつけるのが彼らの作戦ですね。案の定、桝屋の商売に不審な点を見つけていきます。


巻の後半では、幕末の奇才・佐久間象山と近藤勇の面談の様子であるとか、西郷吉之助に会おうとする長州藩の吉田稔麿が大久保一蔵や西郷の弟・信吾に

  そん前に

  おはん、三べん回ってワンと鳴いてみてくやい

  吉之助どんは大の犬好きでの

  長州の侍は薩摩から見たら、犬っころも同然じゃ

  やってみせたら、特別に口を利いてやってもよかぞ

と侮られるシーンが印象的です。


このあたりを見ると、長州と薩摩の連携はまだ遠いようです。


第24巻 池田屋に集結する浪士を前に桂小五郎、窮地に立つ


第24巻の構成は


第145話 西郷吉之助

第146話 聖戦

第147話 出港

第148話 出動

第149話 闖入者

第150話 池田屋事件


となっていて、冒頭では、西郷吉之助に会おうとして、謀られて弟と面談させていた会談会場に西郷本人が乗り込んできて、大久保一蔵や西郷信吾を一喝します。


「議を言うな」と信吾をぶっ飛ばす西郷の姿が、薩摩武士の典型なんでしょうね。ただ、ここで吉田稔麿に会ったことが、長州を滅ぼしても構わんと思っていた西郷の心になにか変化のきっかけを与えたようです。


一方、佐々木愛次郎の失踪以来、桝屋の周辺を調べていた新撰組はとうとう店へ踏み込みます。不意をつかれた桝屋の主人・喜右衛門こと古高俊太郎は捕縛され、店からは志士たちとの書簡や銃器が押収されることとなります。そしてこの後、古高を待っていたのは拷問なのですが、彼は自らの名前以外は白状しません。


この状況の中で近藤たち新撰組がやったのは、「俺達にとって大事なものは、俺達の手でつくるまでだ」と、証拠の捏造ですね。


彼らは、押収した書簡によって、宮部鼎蔵らの労使が御所などへの放火と、その混乱につけ込んでの「帝」の拉致、倒幕の企みが明らかになったとして浪士たちの大捜索と捕縛に向けて動き始めます。ここらは、新撰組ファンにとっては異論のあるところかもしれません。


ただ、本シリーズでは全くの捏造ではなく、宮部鼎蔵ほかの浪士たちは、池田屋の集結し、御所の襲撃と立て籠もりをして、そこで長州軍が京都へ攻め込むのを待つという作戦を計画していることとなっていて、しかも、桂小五郎を池田屋に招いて長州藩の決起を促します。さらに、御所内の有栖川宮邸に河上彦斎を忍びこませ、御所に火をつけて内応するよう宮様を脅迫するという手段に出ているので確信犯であるのは間違いないですね。


そして、宮部たちに詰め寄られる桂のいる池田屋へ、坂本龍馬が乗り込み、血気に流行る浪士たちに向かって

  攘夷じゃ、倒幕じゃいうても、

  しょせん侍同士がいがみ合うとるだけやないか

  この国には侍しかおらんのかえ?

  侍なんぞ、ほんの僅かなもんぜよ

  けんど、西郷には民がついちゅう

  島流しになっちょった男が軍賦役になりゆうがは

  つまり、そういうことやき

と疑問を呈します。頭でっかちな浪士たちの言動に根っこからの疑問をぶつけたわけですね。


坂本龍馬はこの疑問をぶつけた後、池田屋を去るのですが龍馬の誘いを断って残留したことが吉田稔麿の生死を分けることとなります。


この後、浪士たちの集結する池田屋に近藤たち新撰組が乱入し、バトルが始まるのですが詳細は原書のほうでどうぞ。


レビュアーの一言


浪士たちの集結する池田屋に乗り込んできた坂本龍馬がやったのは、浪士たちに彼らの主張する攘夷が民衆の支持を得ているかという疑問をぶつけることと、集結している浪士に糾弾されている桂小五郎に、西郷吉之助に会ってみないか、という、のちの薩長同盟のきっかけになるような誘いをかけるためのようですね。

ただ、浪士たちの反応は寒々しいもので、特に宮本であるせいか、薩摩の西郷への評価はかなり厳しいようですね。

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