登山素人娘は着々レベルアップ。今回はのターゲットは雲取山と鳳凰三山=空木哲生「山を渡る」3・4(ハルタコミックス)

2022年5月10日火曜日

アウトドア

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 運動苦手のインドア娘やゲーム好きなオタクなリケジョ、そして山岳小説にロマンを抱く文学少女といった、およそ「山登り」とは縁のなさそうな三人の女子学生が、なんの間違いが大学入学と同時に「三多摩大学山岳部」に迷いこみ、ゴリラ女子と異名をとる女性部長や冒険を追い求める男子部員2人やOBたちに導かれながら、「登山ガール」に目覚めていく、山岳コミックシリーズ『空木哲生「山を渡る」(ハルタコミックス)』の第3弾と第4弾。


前巻までで、全くの素人ながら山岳部に入部した三人なのですが、登山の三種の神器も揃えて、高尾山、丹沢山系と入門コースをすませ、いよいよ本格的な登山の泥沼へと入り込んでいきます。


あらすじと注目ポイント


第3巻 素人三人娘は、初めての一泊登山で自信をつけ、真菜は日の出に感動


第3巻の構成は


第12話 尾根に向かって

第13話 たくさんの楽しい

第14話 わがままのサイズ

第15話 梅雨のサンタクロース

第16話 南北戦争、勃発


となっていて、三多摩大学山岳部の、次の新人トレーニングのための登山行は「雲取山」です。


雲取山は、東京の西のはずれである奥多摩の標高2000m超の、東京都で一番高い山で、「山ごはん」で有名なマンガ「山と食欲と私」にも登場してくる山ですね。今までは、日帰りの登山行だったのですが、今回はテント泊をして山でひと晩明かすことを計画しています。


このマンガは、大学の部活動での登山行が描かれているので、食料やテントなどの装備は分担して運び、テント張りや山ごはんづくりも共同作業というのが、ソロキャンプの多い「ゆるキャン△」や、単独登山の多い「山と食欲と私」とはかなり違うところでそのあたりが楽しい読みどころですね。


後半の最後の読みどころは、一泊しての山頂で迎える朝日のシーンです。独特の朝の山ご飯を集団で食すあたりや、夜眠れないからと、愛用のぬいぐるみを抱えて登っていたイリマーなどのエピソードを読んだ後に、雲取山頂上での日の出のシーンへと進んでくださいね、


後半部では、山岳部のベテラン三人が変形チムニーのある谷川岳でのクライミングやトラバースを経て山頂を目指すのですが、降雨のため登攀を断念する話が描かれます。前半の初心者を含めての登山とは違って、また違う魅力と自然への畏敬が描かれている短編です。


第4巻 加賀っちは高山病に罹りダウン。仲間の結束はどうなる


第4巻の構成は


第17話 何者でもない者たち

第18話 勇気の出どころ

第19話 登れるのか?

第20話 合宿は多数決

第21話 思慮深き経験者

第22話 山ごはん朝ごはん


となっていて、前半部分では前巻の最終盤で夏の合宿の行き先を「南アルプス」にするか「北アルプス」にするかで、黒木主将と金田・草場の意見んが合わなかったことから判明した、新入部員たちは高山を経験したことがない、というリスクをクリアするための、鳳凰三山の夜叉神峠から地蔵峠山頂へと向かう登山行です。


夜叉神峠から6時間歩き、山中の南御室小屋での一泊を経ての山頂行きなのですが、山岳部のベテラン三人は「二伯三日」の登山だと主張します。朝の夜叉仁峠行きのバスの乗るためには、甲府駅に前乗りしないと間に合わないための一泊が余分に付け加わっていたのですが、宿泊先は「ステーション・ビバーク」ということで、迷惑行為すれすれの防犯上大丈夫かなー、というやつなのですが、詳細は原書のほうで。


しかし、夜叉神峠から辻山山頂(標高2585m)にさしかかったところでトラブル発生。新入部員のうちの文学少女・加賀っちが、ここで急性の高山病にかかってしまいます。


今回の宿泊先である南御室小屋テント場で、休息して、加賀っちの回復を待つのですが、途中、あくびが多発したり、疲労が蓄積している様子といった高山病の兆候に気づかなかったと、いつもなら他人のことは気にかけないマイペースなリケジョ・イリマーが気に病んでいます。どうやら、山岳部新人の三人にも「山の仲間」の自覚が芽生えてきているようですね。


そして、一晩の休息と治療を経て「加賀っち」は回復し、山岳部六人は無事、山頂へと到達するのですが、実はここに、夏合宿の行き先として「南アルプス」を主張していた山岳部主将・黒木世都子の陰謀が隠されていて・・という展開です。


彼女の策略が見事成功するかどうかは、原書の読んでのお楽しみです。


レビュアーの一言


このシリーズは大学の山岳部という「集団行動」をテーマにした登山マンガなので、どうしても「ゆるキャン△」や「山と食欲と私」ででてくる「山ごはん」とは違って地味めなものが多いですね。


ただ、雲取山で食す夕食の定番「カレーライス」とか、朝食の朝ラーとか、鳳凰三山での「ニラ玉麻婆春雨丼」、さらに番外編ででてくるコッヘルの底にこびりついたお米のコゲを翌朝食べる「コゲ茶漬け」とか、荒々しくも「山」らしいものが登場するので、また違った魅力があるのは確かです。

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日本の人口最少県の住人。なりわいは行政書士。読書好き、ガジェット好きの昭和人です。

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