トルフィンはアイスランドに帰還し、ヴィンランド開拓団を募集する=幸村誠「ヴィンランド・サガ」23・24(アフタヌーンKC)

2023年1月30日月曜日

ヴィンランド・サガ

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 11世紀のイングランドからノルウェー・デンマークにかけたヨーロッパ北部で、その猛々しさと強さで巨大な北海勢力圏を築き上げたヴァイキングたちの中で勇名を馳せた父を殺され、その復讐のため、クヌート王の軍に参加するが、仇の死をきっかけに「ヴィンランド」に楽園を築こうとするアイスランド生まれのヴァイキング「トルフィン」の軌跡を描いたシリーズ『幸村誠「ヴィンランド・サガ」(アフタヌーンコミックス)』の第23弾から第24弾。


前巻までで、ヨーム戦士団の内訌から始まったバルト海戦役を終結させ、戦士団の次期団長に就くと、この最強の軍団の解散を命じたトールズだったのですが、このタームでは、戦役後のハーフダンの息子・シグルトがどういう選択をしたか、とトルフィンたちがいよいよヴィンランドへ向けての航海が始まります。


あらすじと注目ポイント


第23巻 シグルトは父・ハーフダンから独立する


第161話 シグルドの決断

第162話 シグルドの帰郷

第163話 シグやんとハトちゃん

第164話 シグルトの反抗

第165話 シグルトの出立

第166話 結婚

さようならが近いので


となっていて、ヨムズボルグ砦陥落のときにした、シグルドと一緒にアイスランドへ帰るので生き延びろ、という約束を履行するため、グズリーズはシグルトの船へとやってきます。

しかし、グズリーズの気持ちをすでに知っているシグルトとしては、ここで無理強いしては男がすたる、とばかりに彼女をトルフィンのもとへと送り出します。

彼には前巻で仲間が彼に言った「自分のやりたいことをやりな」という言葉どおり、彼が本当にやりたかったこと「父・ハーフダンから自由になること」を実行しようと故郷に帰還するのですが・・という展開です。


少しネタバレしておくと、島の大権力者でもある父にかなうはずもなく、あっとという間に捕まえられて納屋に監禁されることとなり、自分の力だけでの独立は無理。

ここは幼馴染の「ハトルゲルド」の登場を待たないといけないようです。

彼女は第15巻でも登場していて、もともとハーフダンがヴィンランドからの木材輸入の中継基地を確保するため、レイフの農場に足がかりをつくろうと考えて、グズリーズに嫁取りの話をもってこなければ、シグルドの妻になっていたであろう女性なので、まあ穏当な落ち着きどころではあります。


そして、シグルドが旅立ってから2年後、今度はトルフィンたちが帰還します。彼らはギリシアまで到達して、そこでイッカクの角を売り払って6隻もの大船団を組織しての帰還です。

彼らは、けじめをつけるため、ハーフダンのところへわびを入れにいくのですが、そこではシグルドが故郷を去る前に父に残していた依頼が活きてきて・・という展開です。


第24巻 ヴィンランド開拓団募集のネックは刀剣禁止?


第24巻の構成は

第167話 西方航路①

第168話 西方航路②

第169話 西方航路③

第170話 西方航路④

第171話 西方航路⑤

第172話 西方航路⑥

第173話 西方航路⑦

第174話 西方航路⑧

第175話 西方航路⑨


となっていて、ハーフダンからグズリーズを奪ったことを許されたトルフィンはいよいよヴィンランド開拓団の団員の募集を始めます。


ここで参加の条件としてトルフィンが出したのが「剣をもっていかないこと」です。

当時、剣は敵や賊から自身や家族を守る重要な武器であったこと以上に、一人前の男の象徴のようなものでしたので、これは後々までいろんな影響をもたらすことになります。


で、募集の方なのですが、ここで「ハルヴァル」という大力の大男が参加を希望してきます。彼はその風貌からどうやら、トルケルの子供のようなのですが、体は男性でも心は女性というLGBTです。これだけなら参加に支障はないのですが、ハーフダンの農場からの逃亡奴隷という課題を抱えています。

ハルヴァルは普通人の10倍の力持ちで、しかも品がよくて従順、という気質の優れた使用人であったため、ハーフダンは解放のためには「羊80頭」の代価が必要だとふっかけてきます。これに対して、トルフィンが出したハルヴァル解放のために出した提案は、かつてノルウェーの農場で学んだ仕組みと、ハーフダンの事業拡大欲をくすぐるもので・・という展開です。


最後のほうでは、トルフィンの事業の才能の目をつけたハーフダンが、自分の養子となって事業を引き継がないかと提案してきます。ヴィンランド開拓のほうは、アイスランドから後方支援すればいいのではないか、という提案で非常に魅力的なのですが・・という筋立てです。少しネタバレしておくと、ここでシグルドがある人物を連れて故郷へ立ち寄ったことで見事解決していくのですが、その人物の正体については原書のほうで


レビュアーの一言


トルフィンがヴィンランド開拓団の募集をする説明会を開催するのが、アイスランドの「民会」(シング)という組織です。

アイスランドはもともとノルウェーの圧政から逃れてきた人々を母体とした移民の島で、それぞれの出身国の法律や規則を用いる組織が成立していきました。それが「民会」(シング)と呼ばれるもので、930年には全島のシングの代表者が集まって統一議会ともいえる「アルシング」が開催され全島統一の意思決定帰還として発展した、といわれています。

「アルシング」開催期間中は全島から集まった人々がテントをはり、宴会、スポーツ競技会、詩の朗読会なども開催されていたようですので、トルフィンはこの機会を狙ったのだと思われます。

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