中大兄皇子の指揮する古代日本軍は、白村江で唐軍の前に壊滅す=「天智と天武ー新説・日本書紀ー」5・6

2023年2月20日月曜日

歴史コミック

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 古代史最大の暗殺事件「乙巳の変」で、その当時で一番の権力者であった蘇我氏の入鹿を殺害して実権を握り、その後、対外的には親百済政策をとって、唐・新羅と戦い、日本を初めての対外戦争の敗北に追い込んだ天智天皇と、入鹿の実子として生まれ、「乙巳の変」の混乱を生き延びて、その後皇族として復帰し、最後は帝位についた「天武天皇」との日本古代史を揺るがせた壮大な「兄弟喧嘩」を描くシリーズ『園村昌弘・中村真理子「天智と天武ー新説・日本書紀ー」(ビッグコミックス)」』の第5弾から第6弾。


前巻までで、朝鮮半島の友好国であった百済が唐・新羅連合軍に滅ぼされ、百済残党軍から日本へ応援の派兵要請を受け、中大兄皇子が戦争準備を進めます。大海人は参戦を回避するため、新羅の武烈王とのつながりを使った和平工作を講じるのですが百済残党軍の強硬派の反対によって和平案も壊れ、日本は「白村江の戦」へと突き進んでいきます。


あらすじと注目ポイント


第5巻 斉明帝崩御後、中大兄皇子は朝鮮派兵に乗り出す


第5巻の構成は


第36話 斉明崩御

第37話 大笠を着た鬼

第38話 大友皇子

第39話 豊王即位

第40話 油断

第41話 福信更迭

第42話 豊璋の兄

第43話 朝鮮出兵


となっていて、前巻の最後で、大海人皇子の意見に従って、出兵に乗り気でない斉明帝を自らの手で縊り殺した中大兄皇子は、入鹿の霊が鬼となったやってきて、斉明帝を殺して去った、と廷臣に告げ、自分が天皇となり出兵する、と宣言します。


しかし、母親の手の爪についた血と中大兄皇子の顔についた引っかき傷から、斉明帝を殺した真犯人を察知した大海人は、中大兄が即位すると口走ったことを逆手にとって、服喪のため帝自身は出陣できない、と牽制します。


このため、苦肉の策で、阿曇比羅夫を派遣軍の将軍とし、豊璋とともに朝鮮半島へわたらせます。しかし、豊璋と日本軍に主導権をとられたくない、百済復興軍の司令官・鬼室福信は、百済単独で新羅・唐連合軍に戦をしかけるのですが、今までの勝利で敵を侮っているところをつかれ、大敗を喫してしまいます。


この敗戦の責任をめぐって、豊璋と福信との対立が激化し、豊璋を殺そうとした福信を豊璋が誅するという事態になるのですが、こうした仲間割れが百済の滅亡を早めたのは間違いないですね。


そして、唐は百済を完膚なきまで叩きのめすため、百済の地理を熟知している、豊璋の兄で唐に亡命している扶余隆を、百済討伐軍の副官に据え、さらに水陸あわせて四十万の兵を動員するなど、万全の体制で日本軍を迎え撃つ布陣を敷いてきます。百済王・豊璋は、この状況にきづかず、のほほんと日本軍を迎えるため、白村江へと出向くのですが、そこはすでに敵の占領地となっていて・・という展開です。


第6巻 白村江で日本軍は壊滅し、中大兄は捕虜となる


第6巻の構成は


第44話 白村江

第45話 大海戦

第46話 帆柱

第47話 格闘

第48話 告白

第49話 悲恋

第50話 国際軍事裁判

第51話 救出作戦


となっていて、中大兄皇子は、百済復興軍の敗戦を報を受け、大軍勢で海を渡ります。どうやら彼は。百済救援に名を借りて、唐・新羅軍に大打撃を与えて、朝鮮半島に日本の橋頭堡を築くつもりのようで、このあたりは、後世の秀吉の朝鮮出兵と同じ発想ですね。


白村江に到着した日本軍は、白馬江を遡り、豊璋の居城・周留城を目指すのですが、ここで唐の水軍と遭遇します。不意打ちをくらったものの前軍百艘のうち十艘を失っただけで、唐水軍を退却させるのですが、これが次の日の白村江の海戦での日本軍の油断に結びつくこととなります。


中大兄皇子は、唐水軍を一挙に殲滅するため、早朝から全軍総攻撃を命じるのですが、突出した日本水軍が見たのは、日本船の数倍の大きさの唐の巨大戦艦です。日本軍は兵力差ではまさりながら、武器の差で、大敗北を喫してしまいます。


敗軍の将となった中大兄皇子は、敵艦に乗り込んで、唐軍の総大将・劉仁軌を討とうと捨て身の攻撃をしかけるのですが、こういう特攻隊的行動が実を結ぶはずもなく、中大兄、大海人揃って敵の捕虜となってしまいます。果たして二人の運命は・・というところで、詳細は原書で。


レビュアーの一言


白水江の海戦では、本書では、兵一万、軍船400余とされているのですが、一説には日本軍の軍船800隻、兵力4万とされているものもあります。これに対し、唐・新羅連合軍は、軍船170隻、兵力1万2千人と、数では負けているのですが、楼閣を備え、最上部には火玉や石を遠投できる「孥」と呼ばれる武器を備えていたと想像されています。これに対し、日本軍は数は多いものの小型の船が中心であったと思われ、戦艦能力の差が勝敗を分けたといえそうです。ちなみに、作画内では「マスト」が描かれているのですが、この当時、唐、日本とも帆船であったかどうかは確かめることができませんでした。

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