ホームズはワトソンの婚約者の謎を解き、モリアーティと脅迫王を斃す=「憂国のモリアーティ」11・12(ジャンプコミックス)

2023年3月17日金曜日

憂国のモリアーティ

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 若干21歳でイギリスの名門・ダラム大学の数学教授に抜擢されたほどの類まれな頭脳と、あらゆる分野にわたる知識をもち、世界一有名な名探偵「シャーロック・ホームズ」の最大の敵役で、ロンドンで迷宮入りする事件の過半数は彼の犯行と噂される犯罪卿「モリアーティ教授」の犯罪と彼らの真の目的を描く、クライム・ストーリー「憂国のモリアーティ」の第11弾~第12弾。


前巻で、イギリスの選挙制度を改革して、労働者階級まで選挙権を広げようとする庶民院議員が、反対派に依頼された脅迫王・ミルヴァートンによって仕掛けらた罠によって失脚しそうになるところを、彼の死を代償にして、そのシンボル性を守ったモリアーティたちなのですが、今回は、ワトソンの婚約者に贈られてくる財宝の秘密を明らかにするとともに、脅迫王・ミルヴァートンとの最終対決に臨みます。


あらすじと注目ポイント


第11巻 ワトソンの婚約者メアリに毎年送られてくる真珠の謎を解け


第11巻の構成は


#40 四つの署名 第一幕

#41 四つの署名 第二幕

#42 四つの署名 第三幕

#43 四つの署名 第四幕


となっていて、前巻の終盤で登場した、ワトソンの婚約者「メアリー・モースタン」に起きている奇妙な贈物の謎の解明です。


彼女は、フォレスター夫人という富裕な家の住み込みの家庭教師をしているのですが、今回、ワトソンが婚約の報告とあわせて、彼女に6年前から大きな真珠の珠が、毎年同じ日に差出人不明で送られてくる謎を解いてやってほしい、とホームズへ依頼してきます。彼女の父は、インドに赴任していた軍人で、アンダマン諸島の囚人警備隊に勤めていたのですが10年前に休暇を取って娘のいるロンドンに帰国し、そのまま行方不明になっていて、メアリーはこのことと、真珠が送られてくるのが関係しているのでは、と考えています。


そして、この度、真珠の送り人と同一の筆跡で、メアリーが不当な目にあっている埋め合わせをしたいので、ライシアム劇場で待ち合わせたい、という手紙が届いたという経緯です。


その場所にメアリーとともに出向いたホームズたちは、ショルトーと名乗る大金持ちの邸宅へ連れていかれるのですが、そこでショルトーから、自分の父が、メアリーの父から横取りした「アグラの財宝」を譲りたいという申し出を受けます。


そして、その財宝を再発見したショルトーの兄に正当なメアリーの分け前を受け取ろうと、兄の屋敷に言ってみると、密室の中で、その兄が死んでいるのが発見され、しかも財宝がはいっていた箱の中は空っぽで・・という展開です。


殺人までおきた「アグラの財宝」の謎と、金に困っているわけでもないのに訳アリの財宝に執着するメアリー、という二つの謎を軸に物語が進んでいきます。


第12巻 他人の不幸を楽しむ脅迫王ミルヴァートンを始末せよ。


第12巻の設定は


#44 犯人は二人 第一幕

#45 犯人は二人 第二幕

#46 犯人は二人 第三幕

#47 犯人は二人 第四幕


となっていて、前巻でアグラの財宝がテムズ川に沈んでしまったことに大ショックを受けていた、メアリーが実は、若い頃の留学中に反政府組織に関わっていたことをネタに、アグラの財宝を自分に渡さなければミルヴァートンに脅迫されていたことがわかります。


親友の婚約者への脅迫を止めるため、シャーロックは自らミルヴァートンに面会して、財宝に代わるものを提供するので脅迫をやめ、証拠物件の引き渡しを交渉するのですが、はなっからミルヴァートンは交渉に応ずる気持ちはなく、ホームズたちをさんざん嘲って帰っていきます。


これ以上交渉の余地はない、と判断したホームズは、彼の邸宅に忍び込んで、証拠書類を盗み出すことを計画するのですが・・という展開です。屋敷に忍び込むために、ホームズたちが水道工事屋に変装したり、泥棒のまねごとをしたり、といったところをお楽しみください。


そして、その証拠書類が、人里離れた海沿いの崖地に建つミルヴァートンの別宅にあることを突きとめたシャーロックはその別宅に忍び込むのですが、そこで待っていたのはミルヴァートン本人。しかもミルヴァートンは、ウィリアム・モリアーティも同じときにおびき寄せていて、シャーロックにモリアーティを逮捕させるよう仕掛けを講じていたわけですね。


二人を罠にかけたと思い、高笑いをするミルヴァートンなのですが、二人の反応は彼の予想をはるかに裏切るもので、それは彼の破滅を意味していて・・という展開です。


シャーロックとウィリアムを通常の人と同じ思考回路の人間と思ったのが、彼の破滅要因ですね。まあ、人が不幸になることを楽しむ脅迫王・ミルヴァートンの厭らしさには、読者もイライラしていると思いますので、この結末はスッキリすること請け合いです。


レビュアーの一言


第11巻ででてくる「アグラの秘宝」は、コナン・ドイルの原書「四つの署名」によると、以前は「セポイの反乱」、現在では「インド大反乱」(インド側の呼び名は「インド第一次独立戦争」というらしいですが)の時に、北方の州のマハラジャ(藩王)が反乱から財産を守るために密かに、宝石と真珠を箱に詰めて信頼できる召使に託して避難させたものを、召使を殺して奪ったイギリスのインド派遣軍の兵士・スモールやインド兵から、隠し場所を聞き出したショルトーの父親たちがさらに横取りした、という設定になっています。


ちなみに、メアリーの父親が駐在していたアンダマン諸島は、インド大反乱に加わった政治犯が多数収監された刑務所があったところなのですが、ショルトーたちが財宝を横取りした者たちは、インド大反乱の終了後、その召使殺しで捕まり、アンダマンの監獄へ移送されてきていて、そこでショルトーやメアリーの父親に出会った、という設定のようですね。


実際、財宝を横取りして独り占めしたのはショルトーの父親なのですが、メアリーの父親も、スモールの脱獄に協力して報酬をもらおうとしていたので、まあ共犯みたいなものですかね。

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