浅草とナポリの下町っ子が、モツ煮勝負を繰り広げる=阿部潤「忘却のサチコ」13・14(ビッグコミックス)

2023年3月31日金曜日

忘却のサチコ

t f B! P L

 一流文芸誌の敏腕編集者「佐々木幸子」、通称「鉄の女・サチコ」が、結婚式の披露宴会場から、新郎・俊吾に逃亡されたショックを忘れるためにはまり込んだのが「忘却のグルメ道」。次から次へとやってくる仕事の難題を解決し、担当作家や上司のわがままを処理するため、このグルメ道に邁進し、日本各地の「名物」と東京の隠れた「うまいもの」を探求するグルメ漫画シリーズ『阿部潤「忘却のサチコ」(ビッグコミックス)』の第13弾から第14弾。


あらすじと注目ポイント


第13巻 浅草の名物は江戸っ子好みの「もつ煮込み」

第13巻の収録は

第117話 浅草! かっちけねえー、煮込み盛り
第118話 一発必中! ホールインワンのしょうが焼き
第119話 謎解きは”忘却”のあとで・前編
第120話 謎解きは”忘却”のあとで・中編
第121話 謎解きは”忘却”のあとで・後編
第122話 マジ卍杜の都で恋の”あげぽよ”縁結び・前編
第123話 マジ卍杜の都で恋の”あげぽよ”縁結び・後編
第124話 大感激!! レッツ♪観劇五目釜飯ショー!
第125話 撃ち方はじめ! 迷える森のヘッドハント・前編
第126話 撃ち方はじめ! 迷える森のヘッドハント・後編

となっていて、冒頭の「浅草! かっちけねえー、煮込み盛り」では、珍しく東京の地元飯。居酒屋記事が人気のブロガー「ヨシ坊」に短編小説を依頼するため、依頼をすると、浅草の「ホッピー通りで飲んでるから会いたきゃ勝手に来い!!」という返信メールが入ります。早速出向くサチコなのですが、相手は覆面ブロガー、誰がその「ヨシ坊」なのかブログに出ていた居酒屋で昼間から呑んでいる女性と、ブロガー探しを始めるのですが・・という筋立てです。下町らしい「味噌味の豚モツ」「塩味の牛モツ」「醤油味の牛すじ」の「煮込み三品盛り」がホッピーを誘います

なかほどの「謎解きは”忘却”のあとで」は、恋愛小説家・有村の奥さんが家出をしてしまい、その捜索に奔るサチコなのですが、その理由が有村の「浮気」にあると聞かされます。しかし、有村にはまったく見登絵がないため、その真相を明らかにするため、あちこちを調べた結果は。。という筋立てです。調査の途中で、「ビーフとタンのミックスシチュー」、上野「うさぎや」の「どらやき」といった東京らしいグルメを堪能しています。

後半の「撃ち方はじめ! 迷える森のヘッドハント」では、20年近く行方がわからなくなっているかつての大人気SF作家を見つけ出し、彼にノンフィクションを書かせるため、彼の棲む山のロッジへ交渉に出かけるサチコが描かれます。ここでは、野性味あふれる「イノシシの背ロース」「キョンのハツ」「アナグマのお肉」といった焼肉を堪能しています。

このほか、尾野真由美とゴルフ勝負を繰り広げた後の「カレー屋のしょうが焼き」川端アリサの恋を取り持った後の「穴子丼」と「ずんだシェイク」、慣れない子守りの後の「鶏五目の釜飯」といったメニューが提供されています。


第14巻 サチコは山口の「ふく料理」で新作ミステリーの出版権をゲット

第14巻の収録は

第127話 突撃! かっちけねえ!、隣の浅草ごはん・前編
第128話 突撃! かっちけねえ!、隣の浅草ごはん・後編
第129話 大発表! 凝縮ホルモン進化論!!
第130話 心身へ-んしん! 魔法の燻製ローストビーフ
第131話 名探偵サチコ 迷宮の疾走路・前編(山口)
第132話 名探偵サチコ 迷宮の疾走路・中編(山口)
第133話 名探偵サチコ 迷宮の疾走路・後編(山口)
第134話 駆け抜けろ! 礼節尽くすサンドイッチリレー!!
第135話 出発進行! 戦国トレインレール!!・前編
第136話 出発進行! 戦国トレインレール!!・後編

となっていて、冒頭の「突撃! かっちけねえ!、隣の浅草ごはん」では、第9巻と第11巻で登場したイタリア人児童文学者のロッシ先生と、前巻で登場した居酒屋記事で人気のブロガー「ヨシ坊」先生という、ナポリと浅草の下町っ子の共同ルポです、最初は和気あいあいと「メロンパン」なぞを食べて盛り上がっていたのですが、意地っ張りでは負けない下町っ子同士、モツ煮と一緒に飲む酒がホッピーがあうか赤ワインがあうかで大喧嘩を始めてしまいます。

このモツ煮勝負の熱気は次話の「大発表! 凝縮ホルモン進化論!!」の「韓国風特上ホルモン」へとなだれ込んでいきます。

中ほどの「名探偵サチコ 迷宮の疾走路」では、出版社に自分の考えた暗号の手紙を送り付け、それをいちはやく解いて、自分がいるところに一番初めにやってきた出版社に新作の出版権を与えるというの趣味にしているミステリー作家からの謎解きにサチコが挑戦します。サチコの所属は文芸誌なので、ミステリーはジャンル違いかなと思っていたら、彼女は「純文学ミステリー」なるものをつくるのも夢だそうです。

そして、暗号を解いて「山口」へやってきた彼女が食すのは「瓦そば」「フクの薄造り」「とらふく鍋」「クジラの三種盛り」といったメニューなのですが、最後の謎を解くヒントは、福岡発祥とほとんどの人が思っているある海産加工物です。

このほか、手違いで金髪にイメージチェンジしたサチコが所属文芸誌の創刊300号記念祝賀会で歌いあげた後に食す「燻製ビール」と「燻製ローストビーフ」、先輩編集部員・小野寺のジオラマデビューを果たした後の、彼の作った模型のモデルの洋食店のおおぶりのエビフライとアジフライ,

蟹クリームコロッケというラインナップの「ミックスフライ定食」が提供されています。


レビュアーの一言

第13巻と第14巻、どちらにも顔を出す「浅草のモツ煮込み」ですが、浅草でモツ煮込みが名物になった理由は、この「なぜ下町はどんな酒場にも「もつ煮」があるのか」の記事が参考になるかと思います。

とはいっても、「モツ煮込み」自体は浅草や東京の独占物ではなくて、名古屋の「どて煮」、甲府の「鶏もつ煮」、長野・伊那谷の「おたぐり」など、各地それそれに特徴のあるモツ料理が存在しています。

第128話でも喧嘩になったように、ナポリではズッパフォルテ(豚モツのトマトと唐辛子煮込み)というモツ料理が有名ですね。安価で栄養価の高いモツ料理は庶民の貴重な栄養源というところでしょうか。

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