見習い女性病理医は、他病院から赤ちゃんを脱走させる=「フラジャイル」5~6(アフタヌーンKC)

2023年4月18日火曜日

フラジャイル

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 臨床にでることなく、生体検査や病理解剖などを通じて、病気の原因過程を診断する専門医が病理医。都会の大病院・壮望会第一総合病院の病理部診断科長・岸京一郎と女性見習い病理医・宮崎、病理部たった一人の敏腕臨床検査技師・森井を中心に、臨床をもたずに患者を治療する病理医たちが臨床医たちの誤診と傲慢、製薬会社の横暴や病院の採算のために医療を切り捨てるコンサルたちに立ち向かう活躍を描く医療コミック・シリーズ「フラジャイル 病理医岸京一郎の所見」の第5弾から第6弾。


あらすじと注目ポイント


第5巻 見習い女性病理医は、他病院から赤ちゃんを脱走させる

第5巻の構成は

第17話 岸先生、赤ちゃんが大変です!
第18話 岸先生、高柴先生も大変です!
第19話 岸先生、患者さんが待ってます!
第20話 岸先生、お待たせしました!

となっていて、冒頭では、セカンドオピニオンを求めて、赤ちゃんをつれた母親が来診してきます。その赤ちゃんは壮望会ではない大きな総合病院に、副鼻腔炎で入院したのですが、突然症状が悪化して肺炎をおこし、人工呼吸器をつなげたところ危篤状態に陥ったのですが、突然回復するという経過をたどっています。

そこの主治医からは造血細胞の移植手術をすすめられたのですが、踏み切れず壮望会病理部にやってきたというわけですね。

ここで母親が示した前の病院の検査数値をみて岸は診断に疑義を唱え、詳しい検査をするため紹介状を求めるのですが、これが主治医のプライドを痛く傷つけてしまうことになります。壮望会病理部で検査させるのを嫌がり、母親に手術の同意をするよう強行に迫ることとなります。

一方、宮崎医師の影の指導医となっている放射線科の高柴医師にも危機が訪れています。病院の経営コンサルタント・窪田の経営改善プランの標的となり勧奨退職に応じることに。

ここで、高柴医師の放射線治療の全盛期で不遇をかこつ診断医の時代から、CTの導入で診断医が脚光を浴び、診断件数が膨大になっていくまでが回想されていきます。どうやら高柴医師の退職には診断数が多いのを嫌がった放射線科の若手も一枚かんでいるようですね。

そして、赤ちゃんの再検査をいやがる主治医の杜撰な検査を見た宮崎は、その病院に乗り込んであかちゃんから血液を採取してくるという強硬手段にでようとするのですが、そこに現れた高柴医師はもっと過激なことを提案してきて・・という展開です。

最後のところでは、この赤ちゃんと母親の関係でもっと意外な事実が判明するのですが、そこは原書のほうで。

少しネタバレしておくと、高柴医師のほうは壮望会を退職するのは動かないのですが、画像診断の世界から足を洗うわけではないのでご安心を。


第6巻 ヘタレの病理医見習い・宮崎に後輩医師ができそうです

第6巻の構成は

第21話 岸先生、最大の試練です!
第22話 岸先生、検体不適正です!
第23話 岸先生、真犯人です!
第24話 岸先生、コンサルが来ます!

となっていて、第21話では、見習い病理医の宮崎医師が、医学部生を対象にした「病理の学校」へ連れて行かれ、そこで、病理学会のオーソリティたちに混じって病理医の世界へ医大生をスカウトする一役を買うこととなります。ここで出会ったのが、医大5年の「布施美玖」ちゃんです。

進路について悩んでいた彼女なのですが、宮崎の正直な言葉に病理医へと進路を変更することになります。彼女は今後、宮崎医師と並んで若手病理医(志望者)として、このシリーズの重要なキャラになっていきますので、覚えておきましょう。

第22話は病理医の研究医の第一人者・一柳教授の血痰の検査が自分の大学の附属病院に病理診断が依頼されるのですが、その付属病院の医師がビビッてしまい、教授に近しい大学の病理医何人かに意見を聞くと称して、検査片を入れたプレパラートがばらまかれたという次第です。

ただ、その標本の出来が悪くて誰も確定診断を下せない中、ある病院の病理医だけが確定診断を下すのですが、その理由は・・という展開です。いわゆる医局の人脈というやつが隠れている筋だてです。

後半部分では、救急で搬送されてきた患者が、放射線科のCTの誤診で急死するという事態が起きます。この誤診が放射線科のミスかどうか、病院の経営コンサルタント・窪田が岸に依頼をしてくるのですが、そこには彼のある企みが隠れていて・・という筋立てです。

この調査には、壮望会に実質クビを切られた元放射線科の高柴先生の見識が活きてくるわけですが、高柴先生がクビにされた本当の狙いも明らかになってきます。


レビュアーの一言

第6巻の21話では、人材確保に苦労している病理医たちの悩みが語られていて、病理を志望する宮崎や布施が「金の卵」扱いをされています。

少し古いデータですが、日医総研が2015年が現役の医大生に将来専門にしたい診療科を調査したところ、トップ3は、内科(33.8%)、小児科(19.3%)、総合診療科(14.4%)という結果だったようです。病理は第9位で、2.7%の医学生しか希望していない状況で、このマンガの病理医たちの悩みもあながちフィクションではないようですね。

ただ、収入面でみると、勤務医の場合、労働政策研究・研修機構の調査によると、①「脳神経外科」、②「産科・婦人科」、③「外科」という順番になっています。

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