ガッツは、グリフィスと出会い、傭兵団の切り込み隊長として重鎮となる=山根建太郎「ベルセルク」 黄金時代篇 4~8 (ヤングアニマルコミックス)

2023年5月13日土曜日

ベルセルク

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中世ヨーロッパを思わせる、キリスト教に似た宗教が強大な力を持ち、貴族階級と王権が支配する「ミッドランド」を舞台に、身の丈を超える巨大な剣を武器に、悪魔となった上に恋人を陵辱した、かつての盟友への復讐を志して旅を続ける死人から生まれた男「ガッツ」と、自らの国をこの世界につくりあげようと、暗黒の世界に身を売り、蘇った男「グリフィス」を軸に、剣と悪魔と魔獣が戦う「ダークファンター」シリーズの名作・三浦建太郎「ベルセルク」シリーズの黄金時代篇の第4弾から第8弾。


第1巻から第3巻までの「黒い剣士篇」では、邪教の虜となった妻を生贄にさしだし、自らも魔道に落ち込んだ領主と、巨大な剣を使う剣士「ガッツ」との闘いが描かれ、このシリーズの枠組みが描かれたのですが今回は、ガッツの幼少期から「鷹の団」という傭兵団に参画し、ガッツが崇拝するとともに、仇敵となった「グリフィス」との出会いが描かれます。


あらすじと注目ポイント


第4巻 「親殺し」ガッツは、傭兵・鷹の団の団長「グリフィス」と出会う


第4巻の構成は


黄金時代(2)

黄金時代(3)

黄金時代(4)

黄金時代(5)

黄金時代(6)


となっていて、第3巻の最後半で、処刑された女から生まれ、泥中に死にそうになっているところをガンビーノという傭兵隊長に拾われ、剣の技を教えられて傭兵の卵として成長した「ガッツ」の生い立ちが描かれていたのですが、冒頭では、育ての親ともいうべきガンビーノに売られ、他の傭兵に凌辱されるガッツの姿があります。

しかし、ガンビーノを親同然に思うガッツはそのことで彼に復讐する気は起きず、凌辱した相手を戦いに紛れて殺害するのですが、負傷したガンビーノを助け、その後養っていくことになります。

しかし、彼のガンビーノに対する愛情も再び裏切られることとなり、ガッツが「親殺し」として独立し・・という展開です。


中盤部分では、それから4年経過し、傭兵として成長したガッツの姿へと場面が変わります。彼は「灰色の騎士」として勇名をはせるバズーソという戦士を仕留めるほどの腕前になっているのですが、この戦士を斃した報奨金を、ある傭兵集団に狙われます。

この傭兵集団の団長が、これからこのシリーズで「ガッツ」の仇敵となる「グリフィス」で、ガッツに撃退された仲間を救おうとするグリフィスとガッツとは激しいバトルを繰り広げるのですが、勝負の行方は原書のほうで。


この時点では、ガッツは、グリフィスに対抗心をむき出しにするものの、力の差を感じていて、グリフィスの強さに憧れを抱き始めている、といった筋立てです。


第5巻 ガッツは「鷹の団」の切り込み隊長に昇格。そして不死の傭兵「ゾッド」と立ち会う


第5巻の構成は


黄金時代(7)

黄金時代(8)

剣風

不死のゾッド(1)

不死のゾッド(2)

不死のゾッド(3)

不死のゾッド(4)

剣の主(1)


となっていて、グリフィスに剣の腕を認められ、傭兵集団「鷹の団」に入ったガッツなのですが、徐々のその力を認められ、傭兵仲間とも馴染んできています。そんな生活の中で、グリフィスから、後にこの世と魔界をつなぐ「ベヘリット」を見せられ、彼の「自分の国をつくる」という野望を聞かされるのですが、これがガッツの運命を乱流に中に放り込むことはこの時点ではまだwからないところなのですが、ガッツはグリフィスへの信頼感を増していっています。


中盤では、ミッドランドの敵国「チューダー」の軍勢を蹴散らすグリフィス率いる「鷹の団」の姿が描かれるのですが、ガッツは「鷹の団」の切り込み隊長として、グリフィスに継ぐ重要なポジションとなっています。ただ、彼がグリフィスに気に入られていくのが気に食わないのが、この団に古くからいる褐色の美女戦士「キャスカ」で、何かとガッツと対立するのですが、まあ、これは後の恋バナのお決まりの前ぶりでしょう。


後半部分では、敵国の城攻めに苦戦するガッツたち切り込み隊の前に現れたのが「不死のゾッド」と呼ばれる傭兵です。彼は死んだという噂が流れるたびに再び別の戦場に姿を現し、その武勇伝はここ百年近く語られているため、「ノスフェラトウ(不死者)」と呼ばれている謎の多い剣士です。

そのゾッドが敵城の守り固めていて、ガッツたちの繰り出す鷹の団の兵士を血祭にあげています。劣勢を感じたガッツは自らの魯込み、ゾッドに闘いを挑み、激しいバトルを繰り広げるのですが、相手の強さは半端ありません。

そして、バトルの中で、ゾッドは、ある不吉な予言をガッツに投げかけるのですが・・と言う展開です。


第6巻 王国の主柱となる「鷹の団」グリフィスへ暗殺の手が伸びる


第6巻の構成は


剣の主(2)

暗殺者(1)

暗殺者(2)

暗殺者(3)

暗殺者(4)

貴きもの

出陣

合戦

キャスカ(1)

キャスカ(2)


となっていて、武功をあげる「鷹の団」の団長・グリフィスなのですが、頭角を現してきた若きイケメンリーダーに対して、旧勢力のやることは昔から決まっているようで、王族の一人・ユリウス将軍を唆しての「暗殺計画」の決行です。

その方法は、宮廷をあげて行われる「狩り」の行事を利用して、グリフィスに毒矢を射かけるという方法で、暗殺者はグリフィスと王女が親しく話をしている隙を狙って矢を放つのですが、偶然にも矢はグリフィスが胸に下げているベヘリットに当たってそれ、一命をとりとめます。


そして、その毒矢による暗殺計画が王族ユリウス将軍の企みであることを見抜いたグリフィスは、ガッツにあることを依頼します。ここは、目的のためには手段を選ばない「グリフィス」誕生の瞬間ですね。


後半部分では、敵国「チューダー」へ向けてミッドランドの大軍が派遣されるのですが、その先鋒となるのが「鷹の団」。さらにその先兵がキャスカ率いる一隊なのですが、彼女はちょうど月経の時で、体調不良のため、敵軍の騎士に捕まってしまいます。そこに駆け付けたのがガッツだったのですが、男から逃れようとして崖から落ちそうになるキャスカを助けようとして、ガッツも巻き添えになり・・という展開です。


崖下に転落して、敵の目をから逃れるための潜伏行の中で、キャスカの過去とグリフィスとの出会いと彼への想いが語られていきます。


第7巻 キャスカはガッツに心を開く。そして、ドルドレイ要塞をめぐる攻防戦開始。


第7巻の構成は


キャスカ(3)

決死行(1)

行(3)

生還

夢のかがり人

ドルドレイ攻略戦(1)

ドルドレイ攻略戦(2)

ドルドレイ攻略戦(3)

ドルドレイ攻略戦(4)


となっていて、前半では、敵陣の真っただ中に潜伏し、「鷹の団」の駐屯地へ脱出を目指す、ガッツとキャスカが描かれます。己の体を張ってキャスカをかばい、彼女をグリフィスの元へ帰そうとする彼の姿に、いままで敵愾心を思えていたキャスカの心も変わっていくこととなります。


後半では、チューダー帝国の守りの拠点「ドルドレイ要塞」をめぐる攻防戦が開始します。この要塞は、チューダー帝国一の難攻不落の要塞として知られていて、ミッドランド帝国の二大騎士団の一つ「白虎騎士団」がすでに壊滅状態にされています。そして、王国軍の本軍の前に現れたのが、チューダー帝国最強の騎士団「紫犀聖騎士団」です。ミッドランド国王は、グリフィスたち、「鷹の団」の名を改めて「白い鷹団」の面々に総攻撃を命じ、双方ががっぷりと組んでの大バトルが始まります。


第8巻 「鷹の団」は騎士団に昇格するが、ガッツは団を去る


第8巻の構成は


ドルドレイ攻略戦(5)

ドルドレイ攻略戦(6)

凱旋

栄光の瞬間

炎の墓標(1)

炎の墓標(2)

ある雪の夜に

旅立ちの朝(1)

旅立ちの朝(2)

旅立ちの朝(3)


となっていて、前半では、前巻のドルドレイ攻防戦の決着がつきます。

「紫犀聖騎士団」のボスコーン団長の鉄棍に剣をへし折られたガッツだったのですが、謎の剣士から突如投げ渡された剣を使って九死に一生を得ることとなります。

そして、ガッツたちの激闘が進んでいる中、キャスカたちの別動隊が要塞内に潜入。主力が城外に出し、手薄になっている要塞内の兵を斃して、要塞の占拠に成功します。

ドルドレイ攻略戦は、グリフィス率いる「白い鷹団」の圧倒的勝利に終わり、この戦いで、グリフィスは若い頃の「汚点」を清算することにも成功します。


しかし、勝利をかち取ったグリフィスを待っているのは、愛人のユリウス将軍を殺された恨みにかられる王妃とフォス大臣の陰謀です。グリフィスへの白鳳将軍の称号授与と「白い鷹団」の騎士団昇格の発表と同時に、グリフィス毒殺の仕掛けが発動していくのですが、実はグリフィスは既に気づいていて、返り討ちにあったのは・・という筋立てです。


後半部分では、国内の反対派を粛清し、国の実権をほぼ手中にしたグリフィスと、軍事関係の功績によって、高位の官職に登用され始めた「白い鷹騎士団」のメンバーから離れ、王国を去ろうとするガッツの姿が描かれます。

彼を去っていくのを止めようとするキャスカにガッツがいう「あいつの夢に埋もれるわけにはいかねえんだ」の意味は原書のほうでお確かめくださいね。

そして、キャスカの報せを受けかけつけたグリフィスとの間で「別れ」を賭けた剣での一騎打ちが始まりますが、その結末は・・という展開です。


レビュアーの一言


グリフィス率いる「鷹の団」は、金で雇われて戦争をする「傭兵集団」なのですが、この物語の基礎であるヨーロッパ中世でもおなじみの存在で、当時の国王や貴族の兵士が、荘園の農民が主体であったため、動員にも限りがあったことがその根っこにあります。

とりわけ、スイスは山岳地帯で耕地が少なく、穀物生産量が少なかったため、人口が増加すると余剰労働力が傭兵として出稼ぎに出る、といった形態が一般化していたようで、スイス人傭兵は「強兵」としても有名でした。

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