地政学コンサルは、旧友の公演トラブルと韓国の若者の恋物語を解決=「紛争でしたら八田まで」7〜8(モーニングKC)

2023年5月6日土曜日

紛争でしたら八田まで

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 目まぐるしく動く国際情勢や、他国人にはわからない民族対立が原因でおこる様々な揉め事を、「地政学」的知識と、無鉄砲な行動力+プロレス技で解決していくリスク・コンサルタント「八田百合」の活躍を描く、紛争解決マンガ・シリーズ『田素弘「紛争でしたら八田まで」(モーニングコミックス)』の第7弾と第8弾。


あらすじと注目ポイント


第7巻 旧友の公演トラブルにはシンガポールの国際情勢が絡んでいた


第7巻の収録は 


第53話 ナウル、グローバル社会の嵐とワタリドリと情【完結】 

第54話 シンガポール、夢と管理は終わらない① 

第55話 シンガポール、夢と管理は終わらない② 

第56話 シンガポール、夢と管理は終わらない③ 

第57話 シンガポール、夢と管理は終わらない④ 

第58話 シンガポール、夢と管理は終わらない⑤ 

第59話 シンガポール、夢と管理は終わらない【完結】 

第60話 新・日本不良抗争編① 

第61話 新・日本不良抗争編②


となっていて、「シンガポール編」では、高校時代の同級生「アイシャ」の頼みで、シンガポールへひさびさに帰国しています。


アイシャは現在、地元の貧乏劇団の脚本家兼俳優をやっているのですが、もともとは百合と同じ国費で海外留学をしたシンガポールのスーパーエリートで、帰国後、留学組のお決まりであるシンガポールの官僚の途を選ばなかったという、変わり種です。


今回、彼女が書いた脚本による公演が評判になり、マレーシアに住むアイシャの親戚の円で、マレーシアとインドネシアでのネット配信による劇場上映もされる予定になっていたのですが、スポンサーの政府系シンガポール企業が突然、企画中止を要請してきたのをなんとかしてくれ、というものです。


どうやら、アイシャの書いた脚本が、「政権にとって危険」と判断され、スポンサー企業に出資元の政府から内々にプレッシャーがかけられたようなのですが、それを先導したのが、百合やアイシャが高校時代、世話になっていたインド人家族の一人で、現在はシンガポール政府の開発官僚をしている「イムラン」。


かつて娘同然にかわいがっていたアイシャの妨害をするイムランの態度に不審がる百合だったのですが、そこにはアイシャがシンガポールを取り巻く複雑な国際関係に巻き込まれることを心配したイムランの配慮があったのですが、それは・・という展開です。


この巻の後半から、次巻の前半にかけては第3巻で丸くおさめたはずの、妹の友人のレディース抗争が再び勃発しています。妹に気に入られるため、再び調停に乗り出す百合なのですが、ここは地政学の「お勉強」にもなるお話です。今回のテーマは「ハイブリッド戦争」です。


第8巻 不安定な半島情勢に翻弄される若者二人の恋の行方は?


第8巻の収録は 


第62話 新・日本不良抗争編③ 

第63話 新・日本不良抗争編④ 

第64話 新・日本不良抗争編【完結】 

第65話 名探偵八田百合の事件簿【前編】 

第66話 名探偵八田百合の事件簿【後編】 

第67話 大韓民国、愛と情熱と南北① 

第68話 大韓民国、愛と情熱と南北② 

第69話 大韓民国、愛と情熱と南北③ 

第70話 大韓民国、愛と情熱と南北【完結】


となっていて、前半の「名探偵八田百合の事件簿」では、第7巻に引き続いた長野での中学生レディースの抗争を調停した後、東京でウクライナからやってきたプロレスラー・オルセンと彼のマネージャーで大学時代の同級生・オクサナ(この二人との出会いについては第3巻の「ウクライナ編」参照)と東京で合流した百合は、オルセンを招いたプロレス事務所の後援会の会長の経営する旅館「凌天閣」に宿泊しています。


ここにはオルセンと一緒に来日した外国人プロレスラーも多数泊まっているのですが、ここで、宿屋の主人が大切にしている先祖伝来の釈迦像が盗まれてしまうという事件に遭遇します。仏像が安置されていた棚には、「偶像崇拝は許さない」という犯人からのメッセージが残されていたのですが・・という展開です。


プロレスラーたちの信仰する様々な宗教と、日本流にカスタマイズされた「法前仏教」との隙間で生まれた事件といえます。


後半の「大韓民国、愛と情熱と南北」では、スマホや携帯電話関連の部品製造で急成長したのですが、価格面で優位な中国企業の追い上げと内需拡大路線に切り替えた中国政府の方針変換で苦戦する韓国メーカーの業績改善を依頼された百合なのですが、依頼主の二代目社長は、漢江の川べりで知り合った就職浪人中の女子大生と恋愛のほうが優先事項という状況です。


その女子大生の住居が近郊の高いところにあるタルドンネの半地下の家であることから、あることに気づき・・・という筋立てです。


若者の就職難、南北問題、中国企業の追い上げによる景気減速といった韓国の現在の課題が集まったような物語になっています。そして、百合が、この企業の経営不振と二代目社長の恋愛の2つを同時に解決するプランを考えつくのですが、この当事はタイムリーで有望なプランだったのですが、2023年現在の国際情勢では残念ながら先行き暗い状況に変わっています。国際ビジネスはこのあたりがコワイところですね。


レビュアーの一言


このシリーズおなじみの各国の民族料理登場シーンですが、シンガポール編では、ココナッツミルクで炊いたご飯に上げた小魚やナッツを盛り付け、唐辛子やニンニク・玉ねぎを主体としたサンバルという辛味調味料を混ぜながら食べる「ナシレマ」、豆入りのかき氷に、練乳や赤いバラのシロップ、茶色の黒糖シロップをかけて食べる「アイスカチャン」、「日本・長野編 第二幕」では、トビケラ・カワゲラの幼虫を佃煮にした「ざざむし」が特徴的です。


「大韓民国、愛と情熱と南北」では、豚足をタレで煮込んだものを野菜の葉でくるんだ「チョッパル」、細かく刻んだ玉ねぎ、ニンニク、生姜を黒い味噌(チュンジャン)で炒めた「チャジャンミョン)、豚の血・もち米・刻んだ香味野菜・唐麺を練り上げたものを詰めた腸詰め「スンデ」や酢ではなく、ごま油を使い、キムチなどを具材にした「キムパブ」が登場。焼肉系でない、韓国の民衆料理も美味そうです。

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