「侍」土方歳三と「革命家」坂本龍馬の対決の行方はいかに=細川忠孝「ツワモノガタリ」6〜7

2023年7月25日火曜日

幕末

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 徳川幕府の威勢が弱まり、攘夷倒幕を主張する志士や長州や土佐、薩摩といった西国雄藩の動きが活発化する幕末の京都。新選組屯所屯所となった八木邸で、近藤勇以下新選組のメンバーが、酒を酌み交わしながら己が立ち会った剣客について語り合う、異色の幕末剣豪コミック・シリーズ『細川忠孝「ツワモノガタリ」(ヤンマガKCスペシャル)』の第6弾から第7弾。


前巻までは、芹沢鴨vs沖田総司、藤堂平助vs田中新兵衛、原田左之助vs高杉晋作、斎藤一vs河上彦斎と、伝説の人斬りや幕末の革命家たちとの斬合いが語られたのですが、今回は幕末を代表する革命家・坂本龍馬との斬合いや新撰組を一躍有名にした「池田屋事件」が語られます。


あらすじと注目ポイント


第6巻 土方歳三と坂本龍馬の「総合武術」のバトル始まる


第6巻の構成は


第44話 土方歳三

第45話 喧嘩の流儀

第46話 日本人坂本龍馬

第47話 師弟

第48話 総合武術

第49話 龍馬の剣

第50話 覇者の剣

第51話 戦場


となっていて、冒頭では新選組の「鬼の副長」といわれた土方歳三の多摩時代が描かれます。商家に奉公にでながらも、その乱暴ぶりと女癖の悪さで追い出され、実家の「石田散薬」の行商をして暮らしている土方の姿が描かれます。ただ、その「行商」も単なる移動販売ではなく、道場破りをしては、怪我をした相手に売りつけるという乱暴なものであったらしいですね。このあたりの乱暴な暮らしは、「チちるらん」や「あさぎろ」といった他の戦線組マンガと共通しているところですね。


そして、中盤からは、幕末を代表する革命家・坂本龍馬と、この土方歳三との斬合いが描かれます。永倉新八たちと市中見廻りにでていた土方が龍馬を見つけ、バトルに発展したわけですが、土方が罠をはっていたとみえなくもありません。


で、勝負のほうは、新撰組内で近藤についで「強い」といわれる土方と、北支日東流+小栗流柔術の坂本龍馬との一騎打ちで、本書では「総合武術」の戦いと表現されています。


この場面でも、高杉晋作が原田左之助を誘ったように、坂本龍馬が土方に幕府を捨てて、新しい政権で軍隊の指揮をとれ、と唆しています。

土方の軍の指揮能力は、後に東北戦争や五稜郭戦争で実証されることになるのですが、龍馬の目の付け所は流石といわざるをえません。ちなみに「ゴールデン・カムイ」では、アシリパに味方して第七師団相手に戦ったいますね。


そして、坂本の誘いに対する土方の答えは「手前ぇ(龍馬)が言う日本の未来に侍はいるか?」というものなのですが、その意図は本書のほうでご確認を。


第7巻 龍馬と土方のバトルは両者の価値観のぶつかりあい


第7巻の構成は


第52話 変化

第53話 火花

第54話 五の段 終幕

第55話 種火

第56話 風の強い日

第57話 池田屋事件

第58話 室内戦

第59話 内からの危機

第60話 命


となっていて、前半部分は、前巻から続いている坂本龍馬vs土方歳三の決着がつきます。


冒頭では前巻の最後で、龍馬に対し「侍という生き物が消えたこの国(日本)はもう日本じゃない」「(自分は)犬死にこそが本望だ」と言い切った土方の姿に、龍馬は「輝き」を感じ動揺しています。

本書では龍馬を「剣の道」から「攘夷」へ、そして「開国」「貿易」へと自らの酔って立つ思想を変化させながら、人生と日本を模索してきた人物ととらえていて、変化することを嫌い、「侍」の道に殉じようとする土方の行き方と真っ向から対立するものであったのですね。


この二人の「斬合い」が結果と龍馬に何をもたらすことになったかは原書のほうで。バトルの最後のほうでは、幕末の代表的人斬りの一人「岡田以蔵」がやけに

「理知的」な感じで登場してますので、ここも注目です。


後半では、新撰組メンバーが酒を酌み交わしながら、幕末の最強の剣士について語った「大宴会」はここでお開きとなって、物語のほうはそれから数日後の「池田屋事件」篇へと進んでいきます。


京で商いをしながら長州の密偵を務めていた「古高俊太郎」から志士たちの御所焼き討ちと京都守護職・松平容保の暗殺、そして長州への孝明天皇の拉致という大クーデターの陰謀を聞き出した、近藤や土方たちは、志士たちが池田屋に集結していることをつきとめ、そこへ乗り込むのですが・・といった展開です。


今巻では、池田屋に乗り込んだ新撰組メンバーと志士たちとのバトルが始まったところまでが描かれています。


レビュアーの一言


池田屋に新撰組が乗り込んできたところで、長州の吉田稔麿はここを単身脱出し、長州藩邸に駆け込み加勢を頼むのですが、藩士たちによって拒絶され、再び単身で池田屋に帰っていきます。長州藩の言い分は「ここで新撰組と一戦、交えれば、我々 長州は間違いなく京から追い出される」ということなのですが、当方的に勘ぐると、集まりの中心が、肥後藩の宮部鼎蔵をはじめ土佐藩や脱藩者が中心だったことも原因しているんではないでしょうか。

一枚岩のように見える倒幕派も内情は、諸藩の思惑が入り乱れてていたことは事実なので、ここに後に明治新政府内で展開された内部抗争の始まりがあるのかもしれません。

さらに、この「御所焼き討ち」の陰謀も新撰組のでっちあげではないか、という説も有力のようで、この「池田屋事件」にはまだまだ謎が多そうですね。

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