ストーン・ヘンジを盗み出した犯人の狙いはロゼッタ・ストーン?=「宗像教授異考録」14・15(ビッグコミックス)

2023年11月5日日曜日

星野之宣

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 圧倒的な歴史的知識と猪突猛進といってもいい探求心、そして、制約をもたない独自の理論構築と考察力で、古代史・人類史の謎解きに挑み続ける異端の民族学者「宗像伝奇」の活躍を描いた「宗像教授」シリーズの第2シリーズ『星野之宣「宗像教授異考録」(ビッグコミックス)』の第14弾から第15弾。


あらすじと注目ポイント


第14巻 琵琶湖に沈められた信長の巨船の秘密を暴け


第14巻の収録は


第1話 湖成鉄

第2話 天狗の爪

第3話 大英博物館の大冒険(前編)


の3話。


一番目の「湖成鉄」は、この「異考録」シリーズで宗像の調査活動のパトロンになってきた、オキナガ鉄鋼の会長で新興宗教の教祖・息長帯麻妃が今度は琵琶湖の湖底遺跡・葛籠尾崎遺跡の調査に乗り出します。


この調査に絡んでくるのは、宗像をいつも悩ませる「忌部捷一郎」で彼とともに潜水艇に乗り込んだ宗像は、水流に流され湖底へと流れ着いてくる縄文土器や、弥生土器の発掘とともに、織田信長が作らせ全長60mの大軍船・大安宅船を探り当て、その軍船が制作後すぐに解体され、何隻かの早舟につくりかえられた原因を明らかにしていきます。


二番目の「天狗の爪」では、熊野に伝わる「天狗伝説」の取材中にどこかに連れ去られた忌部捷一郎を探して、古代人の心の底に残る、人類がまだちさなサルだったころの記憶の存在と、古代人の生贄儀式の底にあるものをつきとめていきます。


三番目の物語は、次巻にかけてのイギリスの巨石遺跡・ストーンヘンジの消失事件の謎解きの前編です。


特別講演で大英博物館に招かれた宗像なのですが、その滞在中にイギリスのストーンヘンジ遺跡が消失するという事件に遭遇します。そして、その犯行証明のように、大英博物館所蔵のスコットランドの砂浜で発掘された中世のチェス駒の「ボーン(歩卒)」にそっくりのものが置かれていて、という筋立てです。そして、パルテノン神殿に飾られていた彫像の前に「僧正」の駒がおかれ、このほかにもナイジェリアのペニン王国の真鍮工芸やイラクの古代アッシリアの壁画の前にも、同じようにチェスの駒がおかれていることが判明します。


そして、「2週間以内に、展示物の元の国に変換する手続きをせよ。さもなければストーンヘンジの巨石を破壊する」という脅迫文を刻んだ石板が国会議事堂に届きます。


さらに、犯行を宣言するかのように、大英博物館に隣接したホテルの宗像の宿泊する3Fの部屋の窓際に「キング」の駒が置かれます。犯人の本当の目的は何なのか?、という展開ですね。


第15巻 ストーンヘンジ盗難犯からロゼッタ・ストーンを守れ


第15巻の収録は


第1話 大英博物館の大冒険(後編)

第2話 水鏡


の二話。


一番目は、前巻からの続きです。


犯人のターゲットが、イギリスがフランスから奪ったロゼッタ・ストーンであることに気づいた宗像たちは、エジプト展示室周辺を特別警戒するのですが、それに挑戦するかのように犯人グループの一人が裏口あたりに「女王」の駒を置く所を目撃します。


犯人を追った宗像たちは、エジプトのミイラ室の下の物品庫のさらに下に地下通路があり、旧リーディングルームの下につくられた秘密の地下室に繋がっていることを発見します。


そこは旧リーディングルームを設計したレナード・ピューリンが密かに造ったもののようで、宗像は今回の犯行は、彼に由来する一族の計画ではと推理し、さらに、このもともとの黒幕は、ロゼッタストーンをエジプトから持ち帰り、後にイギリスとの海戦でそれを奪われた、フランス皇帝・ナポレオン1世では、と考え・・という展開です。


ここから、19世紀以来、ロゼッタ・ストーンの奪還を企んでいたピューリン一族と宗像との知恵比べが始まっていきます。


二番目の「水鏡」は、このシリーズの最終話となります。ロゼッタ・ストーンの盗難を防いだ宗像は、その事件の際に若い研究者が殉職したショックから抜け出せない状態なのですが、そこへロンドンのグレート・ブリテン大学から客員教授の口がかかります。山形県の月山にある弥陀ケ原の池からでた鏡と蛇行剣を前に、宗像の決断は・・という展開です。


この話、シリーズで長く、宗像研究室の助手を務めていた宗像瀧も新たな道に踏み出すこととなります。


レビュアーの一言


「大英博物館の大冒険」は、植民地を多く抱え、太陽の沈まない帝国といわれる栄華を誇り、植民地や影響国からたくさんの遺跡を、自国へ運び込み、元の国から遺跡・遺物の返還請求に苦慮しているイギリスの姿が描かれているのですが、なんともモヤモヤするのは、ロゼッタ・ストーンの奪還を目指しているのが、エジプトではなくてフランスの関係者というところですね。

まあ、こういう問題は、理屈でないさまざまな感情が絡んでいそうで、ここはコメントを控えておきましょうか。

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