「ゆきちゃん」と「おかあさん」の心がほっこりと温まる物語をどうぞ = ながしまひろみ「やさしく、つよく、おもしろく」(株式会社ほぼ日)

2018年12月22日土曜日

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 「ほぼ日刊イトイ新聞」に連載され、離婚したて(?)の「おかあさん」と小学校1年生の「ゆきちゃん」の一年を描き、「こころをふるわせる」マンガとして評判をとっていたものが書籍化されたのが本書「やさしく、つよく、おもしろく」。


一話ごとの終わりには糸井重里さんのことばがはさまっていて、これがまたそれぞれの話をきちんと締めくくっているので、一話で二度楽しめる、というつくりになっている。


【収録は】


ひとりぼっちは北極星の光/変わる/ほんとに話かったのは/ぼくの夢/青春は/

ありがとうを受け取る耳/Only is not Lonely./ともだちとは/

『こどものときには言えなかった。』/美しいもの/ツリーハウスの精神/

口角をあげろ/おにいちゃんのように/寝ちゃう/みんなが持てるもの/記憶/

まだ名付けられていない肯定的な感情/無敵の人/「じぶん」という作品/

てらだくん/ちゃんと食ってるかい/目を自分から離さないと/うまく言えないこ/

やみくもに変わろうとするな/カッパは待っている/夢は、ほらに似ていて/

「がんばれ」/おかあさん/好きも嫌いも/まずは、ボールだ/世の中を嘆かず/

なんども、思わず/be動詞/誕生日も結婚記念日も/そのやさしさを/愛がなくて/

こころを引き受けろ/ちかちゃん/あとあとのために/平凡に美しい季節/紙一重/

暗闇なんかない/あらゆるものごとは生きもの/哀しき王様/伝わらない荒野の面積/

弱気と勇気/さよなら/未来のじぶんが/じぶんが誠実かどうか/はたらこう/

冬の雨/肯定的どっちでもいい/ことばがきれいなほうが/とても当たり前のこと/

ハッピーエンド


となっていて、Webの連載に加えて、何作かのかきおろし版も加えられているので、Web版で読んだよ、という人にも「お得」なつくりとなっている。


「ゆきちゃん」の一年生の一年間を扱った、収録されている掌編の数々の前後に、プロローグとエピローグのような話がセットされている。

プロローグは、離婚して娘との新生活を始めたばかりのようで、新入生にとなる「ゆきちゃん」と新しい職場に勤める「おかあさん」の不安な雰囲気を漂わせていているのだが、エピローグは、当方的には、成長した「ゆきちゃん」が新しい職場に勤め、「雪」の降りそうな夜空を見上げているように解釈した。

成長した「ゆきちゃん」が幼い頃を回想したのが、この一冊という展開で、それまでのゆきちゃんとおかあさんの二人の一所懸命で健やかな年月を思わせて、最終話の「ハッピーエンド」の暗転する舞台からの大団円のような展開とあわせると、最後に「ふぅ」と安堵させてくれる。


【注目ポイント】


まずは、「うるっ」とくるのは最初のプロローグのところ。

新入生でともだちができるか不安な「ゆきちゃん」に向かって、おかあさんも新しい職場なのだが、「ともだちできると思う?」と聞いて安心させた「お母さん」。翌朝、自分の出勤に不安になったのか、自分のバッグを指して「お母さんのカバンに中にへ行ってく?」と涙目で、ゆきちゃんに聞いて、「だから、はいんないってばー」とゆきちゃんに笑われるシーン。

親子が助け合って、新しい暮らしにチャレンジしていく姿が健気ですね〜。


このほか、「犬が飼いたい」となきじゃくるゆきちゃんに、自分も動物好きであるのだがそこを堪えて、娘を説得するのだが、泣き止まないゆきちゃんの姿にぐらっときそうな自分を「なくもんか」とぐっとこらえる「おかあさん」の姿を描いた「おにいちゃんのように」


とか


学校で喧嘩して、そのせいで、好物のハンバーグの晩御飯も美味しくなくてないてしまった「ゆきちゃん」と、誕生日のプレゼントをもらってもうれしくない「ちかちゃん」の二人を描いた「こころを引き受けろ」と「ちかちゃん」


のように、涙腺を刺激しつつも、自分のいろんなところがさっぱりと洗ってくれるような話が満載なのである。


【レビュアーから一言】


人はみんな必ず一作以上、人前で読むと、涙腺がとてもゆるくなってしまって、人前では読まない本があると思う。当方の場合、重松清の「ともだち」あたりのそういう種類の本なのだが、どうやらこのコミックもその一冊になりそうだ。でも、しんみりしたものだけではなく、しっとりと元気づけてくれる。ちかちゃんの日常を描いた「無敵の人」の話末のイトイシゲサトさんの


三度三度のめしを、よく噛んで、おいしく食べて

決まった時間に気分よくうんこして、

たのしみのひとつとしてお風呂にゆっくりとつかって、

よく寝て、すっきり起きて、

いつもおだやかに笑顔でいるような人に、

だれも勝てるとは思わないほうがいい


といった言葉を、しっかり刻んで生きていけば、自分も「無敵」になれそうな気がしますね。

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