美濃・斎藤家の落ち武者から国持大名にまで出世したのに、自らの突出によって島津との戦に敗戦して改易。一家離散のどん底から再び国持大名まで出世。さらには徳川二代将軍のときには「秀忠付」に任命されるなど徳川幕府の重鎮となった「仙石久秀」のジェットコースター人生を描く「センゴク」シリーズの第1Seasonの第10巻。
第1Seasonでは、稲葉山城落城から浅井家滅亡までが描かれるのですが、三方ヶ原の戦の全貌が描かれるのが本巻。
【構成と注目ポイント】
構成は
VOL.91 開戦
VOL.92 戦(や)らいでか
VOL.93 一の槍
VOL.94 波状攻撃
VOL.95 捨て石
VOL.96 家康討ち死に
VOL.97 家康との約束
VOL.98 高坂弾正の諫言
VOL.99 三方ケ原始末
となっていて、通説では、武田軍の背後を衝くため徳川家康軍が城を出たところ、武田軍が反転し、両軍激突ということになっているのですが、本書では、信玄が小山田信茂を使った陽動作戦に家康がまんまとひっかかり、武田勢3万の前におびき寄せられたという設定になっています。
待ち構える態勢の武田軍に対し
死にたくねえならっ
前に出ぃ!!!
と家康が自軍を鼓舞するのですが、迎え撃つ武田勢は、魚鱗の陣から鶴翼の陣に転じ、突進してくる徳川軍を囲い込み殲滅を図ってきます。しかも、徳川軍の成瀬正義隊、酒井忠次隊と突き崩され、だんだんと包囲網を縮められていきます。
この包囲網の中にセンゴクが属する佐久間信盛隊も閉じ込められてしまうのですが、センゴクの作戦は
総大将があきらめん限り光はありますっ
家康様に賭けるんです!!
といったもので、彼らしい正面突破ですね。そして、危機のときにはあれかれ考えて策を弄するより、こうした単純行動が危地を逃れることに結びつくことはあって、佐久間信盛の甥・佐久間玄蕃にもセンゴク流が伝染して、まさにこの先駆けが佐久間隊の逆転脱出劇のきっかけとなり、理性型で慎重派の主将・佐久間信盛へも
佐久間隊の誉れは一兵も失わずに退くことにある
(しかし)我らが先駆けが退く時にあらずと判断したとあれば
佐久間隊すべて退くことまかりならぬ
とセンゴクの熱が憑依することとなります。
このセンゴクと佐久間隊が無茶な戦いをする中、突如、武田軍撤退の太鼓が鳴り響きます。歴史好きの方ならご存知のように武田信玄が倒れた瞬間ですね。
幸運だった、と言えなくもないのですが、他の織田軍で全滅した部隊もある中で、一人の死者も出さずに撤退した佐久間隊は、「逃き佐久間」と呼ばれた佐久間信盛の采配があるにせよ、死地にあって生きることを諦めなかったセンゴクの力も大きかったのではないでしょうか。
【レビュアーから一言】
武田軍の猛攻を逃れ、三方ヶ原から浜松城へ辛くも生還した家康は、武田の標的となると躊躇する家臣の心配をどやしつけて、開門した上に篝火を焚いて、引き上げてくる味方を迎え入れるのですが、その中にセンゴク属する「佐久間隊」もあります。そこで、
お前もそのひとりだ
いつか借りは返す
とセンゴクと家康は結束を確かめ合うのですが、この大敗戦を共同で切り抜けたということが、後にセンゴクの復活を家康が助けたり、センゴクが徳川へ味方していくことにもつながっているんでしょうね。
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