美濃・斎藤家の落ち武者から国持大名にまで出世したのに、自らの突出によって島津との戦に敗戦して改易。一家離散のどん底から再び国持大名まで出世。さらには徳川二代将軍のときには「秀忠付」に任命されるなど徳川幕府の重鎮となった「仙石久秀」のジェットコースター人生を描く「センゴク」シリーズの第4Seasonの第11巻。
戸次川の戦で、島津勢の前に大敗し、娘婿の田宮四郎や土佐の貴公子・長宗我部信親を戦死させたセンゴクの処置と彼や彼の一族のその後が描かれるのが本巻。
少々、ネタバレすると、仙石久秀は に復帰を認められて、になっているので、今回の大失敗でセンゴクが何を学んで、さらに大きくなったかが、今巻から次巻にかけてのテーマですね、
【構成と注目ポイント】
構成は
VOL.82 昇官の宴
VOL.83 帰還
VOL.84 汚名
VOL.85 改易
VOL.86 移りゆく世
VOL.87 故郷
VOL.88 懊悩
VOL.89 淀の丸様
VOL.90 一万石
となっていて、まずは、秀吉の関白太政大臣昇任のシーンからスタート。位人臣を極めるってな具合で最初は機嫌がとてつもなく良かったのですが、「秀吉の偽の弟出現」の知らせの後だったせいか、センゴク大敗の知らせを聞いて、とてつもなく腹をたてることとなります。
その頃、センゴクは讃岐に生き残った家臣と帰還してきます。奥方の「お藤」は感情が高ぶって膳をひっくり返すという行動に出るのは出るのですが、全体的に、この奥方「お藤」の健気さが目立つ対応です。
そして、いよいよセンゴクの敗戦の責任を問う裁きの場面。秀吉の
結果、大敗のみならず
残兵をまとめもせず
挙句、行方をくらますたァ、言語道断
という怒りの様子を見ると、斬首か、といった予測もされるのですが、改易でおさまります。このあたりは、秀吉の演技も含まれてますね(秀長と石田三成は見抜いていたようですが)。もっとも、評定の後の、
・・要は仙石が、戦ろうが戦るまいが
局地戦で勝とうが負けようが悔いのなきようにと
こうして筆をなめなめ
軍資金(ゼニ)勘定しとるわけじゃ
という秀吉の「センゴク」などの恩顧の武将を「駒」のように見る冷たい物言いに弟の秀長が
兄者、
権兵衛は子飼いの、謂わば家族
銭と代替の能うものではござらぬ
と忠告するのですが、忠告してくれる家臣が彼一人というところに秀吉政権の危うさを感じます。また、このセンゴクの処断の場面では、戦地で生死をかける武将たちと、側近の官僚群たちとの思いも隔っていく気配を感じますね。ここらは、権力が陥る現場と本部とのすれ違いという罠に豊臣政権もかかりはじめている気がします。
そして、ここで舞台が大きく転換します。改易された仙石家は離散。センゴクも故郷へ帰ります。
一方、秀吉の周囲の出来事では、淀君となる茶々が登場。
彼女が、秀吉を誑かしていく様子は、そんじょそこらの姫様では到底できない所業の数々です。特に、秀吉とはじめていたすところでは、「これが演技だったのかー」と空恐ろしくなります。これ以上はネタバレが過ぎるので、原書で確認して下さい。
さらに、秀吉から一万石の 捨て扶持の沙汰が出て、家族の生活の心配がなくなったセンゴクは自分の身の処し方について、ある重要な決断をします。さて、それは・・・、というところも原書で。
【レビュアーからひと言】
戸次川の戦は、長宗我部家と島津家にも、大きな傷痕を残しているようで、長宗我部家では、信親の奥方の
阿翁(ちちうえ)様
何故、御自身の苦しみをさしおき周囲ばかりを慮るのです?
という質問に対し、元親の
・・・それが大名だ
という返答をみると、家中の仙石家あるいはその背後にある豊臣家への恨みを噴出させないために、元親が怨恨を自らの体に押し込めていて。これがこれからの長宗我部家の迷走の原因となったのかもしれないですね。
そして、島津家久のほうも戦の後は体調を崩して寝込んでいて、なおかつ、豊後まで総力で攻め入ったことで、島津軍も陣が伸び切って戦局が思わしくなくなります。ただ、家久の精力が
合戦の世ば、終わりじゃっど・・・
といった風になくなっているのは、当方は、戸次川でのセンゴクとの対決で、精気を吐き出してしまったせいと思うのですが。いかがでしょうか。
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