信長への第1次包囲網成立。強敵の本願寺が姿を表す = 宮下英樹「センゴク 6」

2019年10月16日水曜日

宮下英樹ーセンゴク

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 美濃・斎藤家の落ち武者から国持大名にまで出世したのに、自らの突出によって島津との戦に敗戦して改易。一家離散のどん底から再び国持大名まで出世。さらには徳川二代将軍のときには「秀忠付」に任命されるなど徳川幕府の重鎮となった「仙石久秀」のジェットコースター人生を描く「センゴク」シリーズの第1Seasonの第6巻。


前巻で、浅井勢の奇襲をうけて、あわや全滅という危機から、センゴクが浅井勢の先駆け大将・山崎新平を討ち果たしてことによって、一挙に戦局を逆転した織田軍であったのだが、この快挙がボスキャラを呼び出すっていうのが、RPGでも戦国ものでもお決まりで、織田勢の包囲網が形成されるともに、織田信長の仇敵・石山本願寺が信長勢の前に現れるのが本巻。


構成と注目ポイント


構成は


VOL.50 蠢動

VOL.51 聖地・比叡山

VOL.52 謀略の夜

VOL.53 本願寺 下間頼廉

VOL.54 信長包囲陣

VOL.55 野田・福島総攻撃

VOL.56 水蜘蛛のごとく

VOL.57 女郎蜘蛛の計

VOL.58 包囲陣完成

VOL.59 本願寺顕如


となっていて、まずは斎藤龍興が稲葉山城をおわれた後、復帰を虎視眈々と企んでいる「京都」からスタート。

 ここには、龍興が愛人や侍女たちも連れてきていて、センゴクの想い人「お蝶」もその中の一人です。ただ、お蝶は、自分の愛人にする気はなくて、行儀作法を身に付けさせて、美しい「兵器」として使う予定ですね。


 ここで、お蝶と仲のよい「素破」(忍者)の「お鹿」が登場するのですが、彼女は比叡山の焼き討ちの頃まで、センゴクのお蝶の間で重要な役割を果たしますのでお見知りおきのほどを。


で、斎藤龍興が企むのは、朝倉、浅井、細川、斎藤、そして本願寺による「信長包囲網」の形成です。


こういった包囲網は、本願寺をメインにしながら、参加する陣営を変えながら何度も信長を苦しめることになりますね。

 で、斎藤龍興にしてみれば、この「包囲作戦」を企画したのは自分だ、という自負があるのですが本願寺の下間頼廉が「主役は本願寺」と釘をさします。ここは美濃を追われてから、他人の勢力を借りなければならない「陣借り」の辛さですね。


そして、この包囲陣は、1570年(元亀元年)に、細川・斎藤の軍勢が挙兵したことで火の手をあげます。当然、信長はこれを討伐するため、軍をすすめるのですが、淀川の近くの福島城で包囲陣をしいたところから、本願寺勢が本気の「攻め」を見せ始めます。


まずは、堤防を切って信長の陣の周囲を水で囲み、そこで形成された湿地帯に本願寺勢の鉄砲部隊を展開させます。作戦としては、織田信長の本本隊の周囲を織田軍で固めさせるのですが、彼らの気づかない小さな水路を使って、本隊近くに忍び寄り、一挙に本隊を叩く、「小魚も一つに集えば龍の鱗になる。鱗が絡まりあえば臥龍がおこる」という「臥龍鱗の計」です。


この計略で福島城を包囲して盤石と思われた織田軍は一挙に混乱するのですが、ここで、織田軍を救うのは「黄金色(こんじきいろ)の頭脳」を有する明智光秀の考案する「女郎蜘蛛の計」とこれを使った「殺し間」なのですが、詳しいところは原書で。


そして、信長本隊が本願寺勢と浅井・朝倉軍の挟撃に苦戦している中、横山城を守る羽柴藤吉郎にも、浅井軍が攻めかかってきます。織田軍の撤退経路を封鎖する狙いで、この横山城が陥落すれば織田軍は挟み撃ちにあって全滅の危機を再び迎えることになります。


藤吉郎としてはなんとしても城を守らないといけないわけですが、ここで名軍師・竹中半兵衛が、「センゴク」が浅井の勇将・山崎新平を倒したことをフルにつかった策を考案するのですが

馬暴れの計というものが・・・

こんどは逆に味方を陥れるのです

という、その中身は・・・、という展開です。


【レビュアーから一言】


織田信長といえば、父親の葬式で抹香をつかんでなげつけたり、比叡山を焼き討ちしたり、と神仏を信じないことで有名なのですが、本巻での包囲陣で、本願寺勢に攻められ、あわや全滅というところでも

たわけっ

神仏奇跡を信ずるな!!

といった発言をしています。たしかに、姉川の戦をはじめ次から次へと襲ってくる敵を撃破していくのは、「神仏」よりも「自分」と「部下」たちを信じないとやっていけなかったのでしょう。何かを信じて頼ると、そこの隙が生まれる、といったことでしょうが、

此度の合戦に我らが勝利すれば

必ずや信長様にも希望の光が差すことになりましょう

織田家の後詰とは

互いの才を信じあうことにござりまする

といったトップと部下をつなぐ信頼感あってのことなんでしょう。

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