美濃・斎藤家の落ち武者から国持大名にまで出世したのに、自らの突出によって島津との戦に敗戦して改易。一家離散のどん底から再び国持大名まで出世。さらには徳川二代将軍のときには「秀忠付」に任命されるなど徳川幕府の重鎮となった「仙石久秀」のジェットコースター人生を描く「センゴク」シリーズの第4Seasonの第17巻。
前巻で小田原に参陣したものの、秀吉からは声もかけられることなく少々くさり気味であったセンゴクが、徳川家康の跡継ぎ・秀忠に出会い、まだ幼いながらも聡い彼と心を通わせた後の展開が描かれるのが本巻。
【構成と注目ポイント】
構成は
VOL.136 試し合戦
VOL.137 軍使権兵衛
VOL.138 力攻め
VOL.139 ヤマイヌ集め
VOL.140 川渡し
VOL.141 早川に臨む
VOL.142 闇夜の仕寄り
VOL.143 友を見る目
VOL.144 どう生きる
となっていて、大軍で、小田原城を包囲している秀吉軍ではあるのだが、陣借り先もないせいか、すでに陥落した横山城で「試し合戦」こと、攻城戦の練習をするところからスタート。センゴクのいうことには
先の城攻めで、赤土やら堀障子に阻まれて何人死んだと思うとる
もし小田原で、力攻めになったら、えらいこっちゃぞ
ということで、横山城より堅い守りの小田原城攻略での犠牲を減らすため、という理屈をつけています。一見、荒唐無稽のように思えるのですが、黒田官兵衛が評価をしていることを見るとあながち的外れではないようです。
そして、ここで今までセンゴクが関連してきた様々な「縁」が結びつこうとしています。相模湾では、淡路でセンゴクと争った菅平右衛門、根来で彼と別れた鉄砲の名手・津田妙算(らしき人物。津田妙算との別れはこのシリーズの第一巻や第二巻をみてくださいね)、そして、三方ヶ原での出会いを思い出した徳川家康といった面々ですね。
ここで、徳川家康によって、陣借りを許され、徳川の臨時軍使を務めることになるのですが、この顛末は原書のほうで。
そして、小田原攻めのほうは、秀吉が4月のはじめに包囲陣を形成したものの食料も豊富で、民衆の戦意も衰えない北条勢に対し、秀吉軍はなすすべもなく時間だけが経過していくことになります。
このため、戦況打開のために、「力攻め」を計画するのですが、横山城の攻略で多くの犠牲を出した諸隊が渋る中、徳川が力攻めを買ってでます。条件は、徳川が攻め入るために、四方から豊臣勢が攻め立て、北条勢を混乱させるよう調整をとるということ。
北条勢の守りの固さに躊躇する諸将ばかりなのですが、堀秀久だけは承知をしてくれます。ただ、承知はするがセンゴクとも官兵衛とも会わないということで、徳川勢は当然不審を抱きます。しかし、今まで堀秀久こと「ホリキュー」とシリーズ開始の稲葉山城の落ち武者として信長に会った時以来のつきあいであるセンゴクは
あのクソヤロウが
裏切るこたぁ、あり得んからです
と彼への信頼が揺るがないのは流石の「腐れ縁」ですね。
そして、センゴクは堀隊ととともに「早川口」に、闇夜に紛れて「仕寄り」という攻撃のための足場をつくる攻撃に参加します。
荒れる波濤のなか、仕寄りをつくりあげ、夜明けを待つセンゴク隊に、堀秀久隊から、あっと驚く報せが届くのですが・・・、という展開なのですが、ここから先の詳細は原書のほうでお楽しみを。
【レビュアーから一言】
この巻で、小田原合戦で彼が「鈴鳴り武者」と異名をとった、高野山でもらった鈴を一面に縫い付けた陣羽織が登場しています。
敵兵を引きつけるために身に着けたといわれるもので、本書では「早川口」の夜襲のときも身につけた設定になってますね。
当時、改易されて浪人の身の上のセンゴクなので、とにかく目立って「ここにいる」という証をたてることが必要であったのでしょう。
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