関西・日光の山ご飯は魅力的だが、冬山は・・ー信濃川日出雄「山と食欲と私」7・8(バンチコミックス)

2020年11月7日土曜日

山と食欲と私

t f B! P L

 都会でセキュリティ会社の会社員をしながら、休みのときはほとんど「山」に登っているという、「山ガール」と呼ばれたくない「単独登山女子」の日々野鮎美の、単独(ときどき団体)での登山と「山ご飯」を描いたシリーズ『信濃川日出雄「山と食欲と私」(バンチコミックス)』の第7弾と第8弾。


前巻では、実の母親との「母娘」登山のシーンが多かったのですが、今回は、今まで知りあった「山仲間」たちと再開しての山行が中心となります。


構成と注目ポイント


第7巻 鮎美は、奈良山中で家をつくる


第7巻の構成は


70話 金剛山&吉野山編① ポールウィンナー好きやねん

71話 金剛山&吉野山編② 桜薫るスピードスモークステーキ

72話 自由の女神マキネッタ

73話 闇抜けの肉じゃが甘酒うどん

74話 プライドのりんごソテー

75話 日光白根山キャンプ編① 自家製ピーナッツ味噌おにぎり

76話 日光白根山キャンプ編② 秋の味覚のレモンロースト

77話 日光白根山キャンプ編③ 幻惑のガーリックチップス

78話 整頓のリメイクビスコッティ

79話 決断のコンビーフポテト

80話 一人きりのお正月スペシャル


となっていて、大阪で開催された会社の大坂支店の記念パーティーの機会を使って、関西での「登山」行です。まず目指したのは、「金剛山」。楠木正成が鎌倉幕府と戦をした「千早城」の史跡があったり、と歴史の風格のあるところですね。


ここの山頂広場で「鮎美」が食するのが近畿・中四国限定で販売されている袋麺「好きやねん」をクッカーで調理し、それにウィンナーをポール状に突き立てた「好きやねんポールウィンナー麺」です。かなりインパクトのある姿かたちですが、鶏ガラと鰹出汁のスープであっさりとしていて食べやすいそうです。


そして、金剛山の後は、第4巻で出会った「単独登山女子」兼「単独キャンプ女子」黒蓮七実が現在拠点をつくっている奈良・吉野山山中での建設手伝いに従事。吉野杉の柱を建てるところから始まる、かなり本格的な建築作業に、鮎美の意外な才能が開花しそうです。今回は大和牛に桜の香り付けをしたステーキが山ご飯です。


第73話では、鮎美のリアル人生での嫌なことを忘れるための「単独行」です、「大岳山」という道標のある山頂でつくる山ご飯は、甘酒、だし入りインスタント味噌汁、生うどん、惣菜の肉じゃがを入れて煮た「肉じゃが甘酒うどん」という妙な料理ですね。お味のほうも微妙なようなのですが、この変な味が「コミュ障の病」には効くようです。


今話の連続ものは、日光白根山へのグループ登山なのですが、瀧本・瀧夫妻のコーディネートする合コン・キャンプです。山男は山にいるときは不思議な魅力を振りまくようですね。小松原さんに「恋の女神」が舞い降りたのかもしれません。これには、栃木産ポークのダッチオーブンローストの力も影響しているのかもしれません。


そして、今巻で、鮎美の会社に派遣されてきて一緒に働いてきた「瀧サヨリ」が突如、長野県へ移住します。この唐突さも「山の魅力に憑かれた人たち」らしいところでしょうか。


第8巻 鮎美は北海道と八ヶ岳の冬山に挑戦


第8巻の構成は


81話 北海道札幌・藻岩山編① ジャズとカクテルと私

82話 北海道札幌・藻岩山編② 雪荒ぶスープカレー

83話 北海道札幌・藻岩山編③ 答え合わせのジンギスカン

84話 鶏胸肉のメスティン蒸し

85話 菜の花ラーメン

86話 厳冬期八ヶ岳編① 新宿・鳥めし・あずさ1号

87話 厳冬期八ヶ岳編② 生き返りのビーフシチュー

88話 厳冬期八ヶ岳編③ 羊羹といりこだし

89話 厳冬期八ヶ岳編④ 愛のラッセル改悛の夜

90話 自家製ベーコンVSこども

91話 冷凍の炒飯&餃子セット


となっていて、前巻に引き続いての「都外編」ですね。


まず81話から83話では、父方の祖父の住む「北海道」へとでかけます。作家兼ジャズピアニストをしているという「イケてる」おじいさんなのですが、彼のガールフレンドと称する女性と札幌市郊外の公園や藻岩山でのアウトドアなのですが、今回はちょっと「山ご飯」というより「ご当地めし」の様相です。

これを埋め合わせるように描かれる、酒粕味噌に漬け込んだ鶏胸肉をメスティンで蒸した「鶏胸肉のぴちぴちメスティン蒸し」や河川敷を山に見立てた「菜の花キムチとんこつラーメン」がめちゃめちゃ美味そうなのでチェックしておきましょう。


厳冬期八ヶ岳編は長野の移住した瀧(瀧本)サヨリに誘われての山行なのですが、マイナス10℃の気温の中、標高2400mの目的地を目指して、ひたすら森の中を登るという、がっつりと冬山登山の話なので、このシリーズには珍しく「硬派」っぽい仕立てになってます。

なので、でてくる「山ご飯」は山小屋の朝ご飯が「ご飯、味噌汁、魚の煮付け、切り干し大根の煮物、フルーツ、梅干し、ふりかけ」、晩御飯が「ご飯、味噌汁、ハンバーグ、サラダ、おでん風煮物、漬物各種、一口サイズのお餅」といったご飯であったり、登山中の行動食として属する「ミニ羊羹」といった具合であまり「珍しく」ありませんが、こういう食事をとることが山登りでは大事なのかなと思います。

まあ、あやうく遭難しそうになった後の山小屋で暴露される、鮎尾の「高校時代の黒歴史」がかなりしょうもなく笑わせるのは間違いないのですが・・・。


レビュアーから一言


第8巻では、鮎美の単独行に時折顔を出して「イタい」行動を披露する、単独キャンプ男子・鷹桑くんが、「燻製づくり」に挑戦します。しかも初心者ながら「豚バラ・ベーコン」に挑戦ですが、通りすがりの子供のアドバイスで、いい出来で仕上がるのですが、さらに、厚切りベーコンにサイコロ状に切って、表面をカリカリに焼き、茹でたパスタとアボカド、カルボナーラソースをからめた「自家製ベーコンとアボガドのカルボナーラ」がさらに美味そうな雰囲気を醸し出してます。本格的に「熱燻」をやるとなると、本書にような燻製器が必要になるのですが、ボイルした豚肉を軽く燻蒸するレベルであれば卓上でもできるものを売っているので、そちらで試してみるのよいかもしれません。



このブログを検索

ブログ アーカイブ

ラベル

3月のライオン (7) 7人のシェイクスピア (17) etc (29) アウトドア (6) あおのたつき (9) あかね噺 (4) アサギロ (13) アド・アストラ (6) アルキメデスの大戦 (20) アルテ (9) イサック (9) イノサン (9) ヴィンランド・サガ (10) ヴラド・ドラクラ (4) グルメ (12) こざき亜衣 (2) スポーツもの (1) つぐもも (9) ハコヅメ (8) パパと親父のウチご飯 (14) ハンティング (3) ヒストリエ (11) フィッシング (7) ふしぎの国のバード (9) フラジャイル (14) プリニウス (12) ブルーピリオド (5) へうげもの (20) ベルセルク (13) ミステリと言う勿れ (8) ゆるキャン△ (12) リアル (4) ローズ・ベルタン (9) 阿・吽 (3) 医療コミック (8) 応天の門 (18) 乙嫁語り (12) 怪獣8号 (4) 鬼滅の刃 (1) 宮下英樹 (3) 極東事変 (2) 軍靴のバルツァー (9) 高橋葉介 (3) 高橋留美子 (2) 山と食欲と私 (11) 重版出来 (7) 諸星大二郎 (2) 信長を殺した男 (1) 信長協奏曲 (6) 新九郎奔る! (5) 推しの子 (5) 星野之宣 (22) 戦記もの (5) 惣領冬実 (1) 葬送のフリーレン (6) 達人伝 (7) 断頭のアルカンジュ (4) 賭ケグルイ (28) 土山しげる (4) 東村アキコ (10) 卑弥呼 (8) 舞妓さんちのまかないさん (7) 紛争でしたら八田まで (7) 碧いホルスの瞳 (1) 亡国のマルグリッド (4) 忘却のサチコ (7) 幕末 (11) 満州アヘンスクワッド (9) 矢口高雄 (2) 薬師寺涼子の怪奇事件簿 (10) 憂国のモリアーティ (10) 歴史コミック (37)

自己紹介

自分の写真
日本の人口最少県の住人。なりわいは行政書士。読書好き、ガジェット好きの昭和人です。

QooQ