土方たちは会津五武に勝利し、壬生浪士組結成 = 「ちるらん 新撰組鎮魂歌」3〜4

2021年12月4日土曜日

ちるらん

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 幕末を彩る「新撰組」を、副長・土方歳三をメインキャストに、幕末の京都から戊辰戦争・函館戦争へと続く激動の時代を「ヤンキー漫画」テイストで描く「橋本エイジ・梅村真也「ちるらん 新撰組鎮魂歌」」のシリーズの第3弾と第4弾。


前巻までで、試衛館に結集した近藤、土方、沖田、山南、藤堂といった個性はメンバーが、幕府の「浪士組」募集に応じて上京し、清河八郎の江戸帰還の誘いを断って、京都へ残留。その後、壬生浪士組を立ち上げるまでが描かれます。


あらすじと注目ポイント


第3巻 会津五流との勝負は、それぞれの背負っているものの勝負


第3巻の構成は


第十一話 破壊

第十二話 憂さ晴らし

第十三話 松平容保

第十四話 負けない漢

第十五話 刺客


となっていて、前巻の最後半で幕臣・佐々木只三郎の斡旋で会津藩預かりになるための交渉にでかけた近藤たち試衛館メンバーなのですが、ここで江戸幕府開府以来からの尚武の地として知られる会津藩の武術を統括する「会津五流・一刀流溝口派師範」の佐川官兵衛の率いる会津五流の武術家と勝負することとなります。


佐川官兵衛は後に戊辰戦争のうちの会津戦争で指揮をとり、明治維新後は、請われて警視庁に任官し、西南戦争にも従軍した人物ですね。


今巻では、会津に伝承される安光流の天才・望月安光vs芹沢鴨、真天流の師範代で俊足・俊敏を極めた肥満漢・黒河内百次郎vs沖田総司の立ち会いがまず描かれます。


勝負は、芹沢、沖田の勝利となるのですが、突然試合会場に現れた会津藩主・松平容保が、木刀での立ち合いに不満を感じ、命をかけた「真剣」での勝負を命じます。


藩主が真剣勝負を命じて死者でも出れば幕府からの咎めがあることは間違いないのですが、長州薩摩との対決を恐れて、旗本・譜代親藩誰も引き受けなかった「京都守護職」をあえて引き受けた彼の心意気がでてますね。もっとも、本書では彼の風貌がハート型の髷と耳ピアスのかなりヤンキーな出で立ちで描かれているのが特異なところですね。


そして、容保の発破の後、立ち会うのは神道精武流師範の柴司と永倉新八です。佐々木只三郎が自分より剣才は上と認める「柴司」に、才能がなく、鍛錬でそれを乗り越えてきた新八がどう立ち向かったかは、原書のほうで。


そして、第四試合の近藤勇vs高津仲三郎の勝負のところで、薩摩藩の刺客が、試合に臨席している「容保」の狙撃をしかけてきて・・という展開です。ここで、これから新撰組と長く対決していく、薩摩示現流の遣い手で幕末の四大人斬りの一人。中村半次郎が登場し、その凶悪ぶりを見せています。


第4巻 土方の愛した長州の女性刺客・琴とは?


第4巻の構成は


第十六話 決着

第十七話 会津狩り

第十八話 武士の眼

第十九話 誰がために

第二十話 帰還


となっていて、薩摩の刺客の襲撃を芹沢鴨の機転で撃退した後、何事もなかったように立ち合いが再開。


最終の第五戦は、土方歳三と、会津五武の総帥・佐川官兵衛の激突です。勝負の行方は原書で確認してほしいのですが、正々堂々と真正面からの激突シーンが展開されます。


この立ち合いによって、「会津藩お預かり」となり、ようやく新撰組の前身となる「壬生浪士組」が成立することとなります。


今巻の中盤からは、長州の女刺客・琴が登場しまう。挿入話の永倉新八の言によると「土方歳三が生涯唯一愛した女」ということなので、本シリーズの狂言回し役・市川真琴の祖母にあたる人でしょうか。


話のほうは、会津五武との立ち合いに勝利し、壬生浪士組結成の数日後、会津藩士が連続して襲われ、会津五武の一人・望月安光も片腕を切り落とされるという不覚をとります。さらに、会津藩士だけでなく、近藤勇が薩摩の野太刀自顕流を使う薩摩弁の刺客に、芹沢鴨が岡田以蔵と名乗る刺客に襲われる中、「会津狩り」を探して京都市中を見廻りしていた土方歳三は、西洋風の剣を使い、瞳の青い、異人の女性刺客と遭遇します。


彼女が「長州の刺客」となったいきさつについては原書に描かれていますのです、そちらのほうでどうぞ。


「琴」と名乗る彼女に「志士としての精神」を見た土方は釈放するのですが、長州藩邸に帰還した琴は、久坂玄瑞の命令により抹殺されそうになります。ここの土方歳三が現れ・・という展開です。


レビュアーの一言


清河八郎と別れて京都に残留した近藤勇ら試衛館グループと芹沢鴨ら水戸派グループなどが合流して、「会津藩お預かり」として壬生浪士組を結成するのですが、佐々木只三郎の属していた、幕府の正規組織であった「京都見廻組」に対し、あくまでも「非正規組織」としての扱いになっています。おそらくは、町人や農民、浪人たちで組織されていたせいで、江戸へ帰還した浪士組が清河八郎暗殺後、再組織された「新徴組」も庄内藩お預かりとされています。

正式な幕臣でないながらも、幕府を支え続けた近藤、土方たちの幕臣意識っていうのは掘り下げていいテーマですね。

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