久能整は、双子判別事件と大量誘拐事件の隠れた真相を見抜く=田村由美「ミステリと言う勿れ」9・10(フラワーコミックスα)

2022年1月8日土曜日

ミステリと言う勿れ

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 天然パーマが爆発したような特徴的なカリフラワーヘアーの持ち主で、人と交わるのが苦手な心理学専攻の大学生・久能整(くのう・ととのう)が、望まないのに向こうのほうから降りかかってくる奇妙な事件を、その丁寧で鋭い観察力と、雑多な博学的知識をもとに謎解きをしていく。Z世代が探偵の新感覚ミステリー・シリーズ『田村由美「ミステリと言う勿れ」』の第9弾と第10弾


第8巻の後半部分で、第3巻の広島の旧家「狩集家」の遺産相続事件で知り合いになった狩集汐路ちゃんに依頼された双子の見分け依頼の結末と隠されていた犯罪が明らかになるとともに、シリーズの最初からの腐れ縁で、事件の推理に久能が協力させられている大隣警察署の青砥刑事が巻き込まれた誘拐事件の解決を迫られます。


あらすじと注目ポイント


第9巻 双子判別事件の陰には大企業の財産争いが絡んででいる


第9巻の構成は


episode13-2 誰も寝てはならぬ

episode12.5 enclosure

episode14  誰が誰に誰を誰と

episode14-2 囁く夜


となっていて、前半の「誰も寝てはならぬ」は、前巻の後半で狩集汐路ちゃんに依頼された「双子判別事件」の解決編です。


カバン製造のトップメーカーである「鳩村家」へやってきて、ここの前社長の娘で、同じ身なりをしていて入れ替わりをして家族や学校の関係者を混乱させている「鳩村有起子」と「有村実都子」に会った久能なのですが、彼女たちが、「入れ替わっていること」をことさらにアピールするんもか、ということと、彼女たちの母親が双子座の誕生石「アレキサンドライト」をお守りにしていたことをヒントに、彼女たちが双子で入れ替わっているのではなくて、「三つ子」で入れ替わっていることを見抜きます。


彼女たちが「三つ子」であることを隠して、入れ替わりをしているのは、実の母親が幼い頃、自分の妹を事故で死なせてしまい、その精神的なトラウマを回避するため、自分の家では代々「三つ子」は三番目の子供が何者かに殺されているという妄想を抱き、三つ子として生まれた我が子の命を助けようとして、この奇妙な振る舞いをさせていたと久能は一旦推理します。


しかし、この入れ替わりの偽装をさせていたのには「鳩村家」の財産をめぐる犯罪から三つ子たちを守る意味も隠されていて・・という展開です。


久能くんはこの財産争いに巻き込まれてあやうく命を落としそうになるのですが、第2巻ででてきた連続生き埋め殺人の被害者の弟でこのシリーズの要所要所で、久能に「星座」に絡んだ謎めいた誘いをかけてくる「我路」が登場して救出されることとなります。


この「双子の見分け事件」については、「episode12.5 enclosure」で、その仕掛け人っぽい人物が登場し、彼が「我路」の姉「愛珠」の事件にも関わっているような感じを漂わせているのですが、こちらのほうはまだ霧の中に包まれた状態ですね。


中盤部分からの「episode14  誰が誰に誰を誰と」では、大隣警察署の青砥刑事が誘拐事件に巻き込まれ、この解決に久能整も引きずり込まれていきます。まず最初のところで、神奈川県の土砂崩れ現場で多数の人骨が発見されるシーンが挿入されているのですが、これは事件の犯人が最初に犯した事件に関わっているので、しっかり記憶しておきましょう。


話としては、学期末試験を控え、試験勉強に焦っている久能が公園を大きなバッグを抱えて焦っている男性に出会うところから始まります。久能に会った彼は、ある公園の場所を聞いてきて、その入口に案内すると、公衆電話でどこかに電話をかけ、通話相手の指示に従って、つ語の目的地に向かうという作業を繰り返します。彼に指示しているのは「してんちょう」と名乗る人物で、支持されている男性は罰ゲームで「犬」を運ぶゲームをしているというのですが・・というのが滑り出しです。


そして、この後、話をほうは、大隣警察署の青砥刑事に移ります。彼は妻と離婚したため、今は別に住んでいる娘・友香と久々の親子デートをし、娘を彼女の友人宅の近くへ送った矢先、娘を誘拐した、という脅迫電話をうけます。その脅迫電話の相手は「してんちょう」と名乗る人物で、娘を助けたければある男の子を誘拐しろ、と脅迫してきます。


警察に連絡すると娘を殺すと言われた青砥刑事が捜査の相棒として選んだのは、久能整で・・という展開です。


第10巻 大量誘拐事件の陰に、8年前の誘拐殺人の真犯人が隠れている


第10巻の構成は


episode14-3 渉猟の果て

episode14-4 円になる

episode14-5 輪舞

episode14-6 水際の耽溺


となっていて、前巻で娘が誘拐された青砥刑事は、ある男の子を誘拐しろという犯人の脅迫を受けながら、久能と捜査を始めるのですが、その犯人が8年前に起きた連続幼女誘拐殺人事件「鍵山事件」の証言者の夫婦であることをつきとめます。


青砥刑事は、娘の誘拐はこの鍵山事件の容疑者で、久能が公園で出会ったバックを抱えて駆けずり回っていた男性・小諸の犯行と推理していたので、ここはかなりあてが外れるとともに、誘拐するよう指示された男の子のいる家へたどり着くのですが、すでにその男の子は冷たくなっていて・・という展開です。犯人の意図が全く読めなくなってきたわけですね。


そして、ここから事件は意外な展開を始めます。


誘拐犯は、青砥刑事だけでなく、8年前の鍵山人事件に関係した、この事件の容疑者や、近隣の住人で事件の証言者、あるいは誘拐現場で配送作業をしていた運送会社の社員、事件の暴露記事を書いて捜査を混乱させた週刊誌記者を奥多摩のキャンプ場に集め、それぞれをプレハブの簡易キャビンに監禁した上で、リモート会議システムでつなぎ、子どもたちの生死をかけたゲームを始めます。


それは集められた人たちに、鍵山事件の時のことを証言させ、その事件でなぜ捜査が迷走したのか、それは誰のせいなのかをつきとめるというもので、集められた人物の中にいるはずの真犯人を見つけ出すつもりですね。


このゲームが進行していく中で、当時は明らかになっていなかった、事件捜査の中に隠れていたさまざまな「嘘」が明らかになっていきます。


そして、このゲームの様子を観察していた久能整が推理した真犯人は意外にも・・という展開です。


レビュアーの一言


今回の2つの事件も解決した後、久能整はライカに事件の経過や後日談を語っていて、いわば事件の締めは「ライカとの面談」が定番になってきているようです。ただ、第8巻のところでは、彼女は春には本体の人格に統合されて消えてしまうという運命を背負っているようなので、このシーンも次巻あたりは見納めになってしまうのでしょうか。ライカさんの「冷めた」会話が管理人は「お好み」なのでありますが・・。

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