「戦国小町苦労譚10 宇佐山の決戦」静子は浅井・朝倉軍を撃破して、森可成を救えるか・・=夾竹桃・平沢下戸・沢田一「戦国小町苦労譚10 宇佐山の決戦」

2022年1月5日水曜日

戦国小町苦労譚

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 現役女子農業高校生が、戦国時代にタイムスリップして、持ち込んだ21世紀の器具や技術を駆使して、織田信長の治める尾張・美濃の農業生産や織田軍の武器のレベルをとんでもなくUPさせて、信長の「天下統一」を助けて大活躍する、時代改変もの「戦国小町苦労譚」のコミカライズ版の第10弾が本書『夾竹桃・平沢下戸・沢田一「「戦国小町苦労譚10 宇佐山の決戦」(アース・スターコミックス)』です。


前巻では、将軍義昭の要請に応じて信長に叛旗を翻す浅井勢の動きを察知し金ヶ崎の退退き戦を回避したのですが、浅井久政のクーデターを許してしまい、浅井・朝倉vs織田の対立構造を変えることができなかった静子は、戦局を変えるため、姉川の戦で浅井・朝倉勢への総攻撃を展開していくのが本巻です。


あらすじと注目ポイント


構成は


第四十六幕 炸裂

第四十七幕 決意

第四十八幕 奇襲

第四十九幕 迎撃

第五十幕  可成


姉川の戦で浅井・朝倉軍を撃破


まずは息子の浅井長政を追放し、小谷城の守りを固めている浅井久政と姉川を挟んで対峙した信長軍が激突する場面から始まります。史実にいう「姉川の戦」ですね。


最前線の西側で迎え撃つのは、静子に武器を授けられた足満の部隊で、白兵戦で攻めかかってくる浅井軍に対し、ランチャー砲で、唐辛子から成分を抽出し粉末状にした「カプサイシン」爆弾を撃ち出します。「カプサイシン」は現代でも催涙弾の使用されていて、鎮圧用の武器として有効なのは間違いないのですが、唐辛子自体が15世紀なかばにポルトガルの宣教師によって日本に持ち込まれたとされているので、この物語当時では最新の植物ですね。伝来当初は食用ではなく、観賞用・霜焼け止めの薬・毒薬として使われていたようですので、「毒ガスの武器」と考えれば使い方としては間違っていないかもしれません。


さらにこのカプサイシン爆弾の次にはロケット花火による爆音攻撃と雑菌を塗り込まれた弓矢による攻撃で、音で動揺させた後、飛び道具で混乱させる作戦ですね。


一方、東側では、浅井勢の猛将・磯野員昌によって信長本隊が押し込まれていたのですが、東側を制圧した足満軍が援軍にかけつけることによって形勢を逆転することの成功します。史実では徳川勢の榊原康政が攻め込んだ役回りですね。


森可成軍の危機「宇佐山城の戦」始まる


戦闘では勝利したものの多くの将兵を失った織田軍に対し、畿内から追われていた三好三人衆の軍が摂津に攻め込んできたため、織田信長本隊が応戦していくのですが、これに対して石山本願寺が戦闘に参加し、一挙に織田軍は劣勢となります。本願寺と信長との長い戦いの始まりとなりう「福島・野田の戦」ですね。


一方、静子の方は福島城から60km離れた琵琶湖寄りの「宇佐山城」に布陣しています。三好三人衆や石山本願寺の攻勢をみて、背後から織田軍を襲おうとする浅井・朝倉軍の迎撃を行うつもりです。


静子が持ち出した武器は、姉川の戦でも使用したカプサイシン爆弾と雑菌つきの矢に加えて、スタッフスリングによって射程距離と投擲するサイズを大型化した投石攻撃とコンクリート製の大型楯による防御です。これで浅井・朝倉・延暦寺連合軍の攻撃を防ぐのですが、注目すべきは近代プロシア軍の採用した部隊に実戦での戦闘判断を任せる「アメーバ型軍指揮」です。


京セラの稲森和夫さんの主導した「アメーバ経営」でも有名なやり方ですね。現場に即応した臨機応変の戦いが展開できる反面、現場の指揮官の能力に左右される方法なのですが、織田軍の性格にあってていたのでしょうか。


史実では、この宇佐山の戦で、朝倉の重鎮・朝倉景鏡を先鋒に大軍でおしよせる浅井・朝倉軍に城からうって出た森可成や信長の弟・織田信治が討死するですが、この「戦国小町苦労譚」では、静子は可成の命を救うことができるか、といったところが焦点になりそうです。


レビュアーの一言


巻の前半で織田領内の統治にあたって民衆の声を集めるため、静子が設置した「目安箱」について「不識庵」と名乗る足袋の老僧が、その仕組みや効果を尋ねる場面があります。民の不満の解消や役人の不正告発や間者のあぶり出しに効果はあるものの効率はよくない、という静子なのですが、老僧は織田の領内が穏やかな理由と興味を示しています。「不識庵」といえば。上杉謙信の号として知られているのですが、北条氏綱が領内に目安箱を設置していたという記録はあるのですが、謙信の越後領内に設置されていたかどうかは、管理人は浅学ゆえ不明です。青苧の専売など産業育成には熱心だった謙信ですが、目安箱のようなやり方は好みにあわなかったのかもしれませんね。


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