アイルランドの貧乏少女は、インディアン居留地へ向かう=北野詠一「片喰と黄金」7〜8(コミックDAYSコミックス)

2022年10月23日日曜日

歴史コミック

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 人々が主食にしているジャガイモの伝染病で国中が飢饉となったアイルランドから、ゴールドラッシュのアメリカへ一攫千金を狙ったやってきたアイリッシュの少女・アメリアとその従僕・コナーの冒険を描く「片喰と黄金」シリーズの第7弾と第8弾。


前巻までで、逃亡奴隷に拉致されたアメリアを銃で撃ってしまったショックで別行動をとることとなったコナーとの合流を目指すアメリア。途中、グレートフォールズで出会った金持ちの絵描き「イザヤ」の支援者「ラルフ」の屋敷に立ち寄るのですが、ラルフがコレラに罹患していることがわかっての本巻です。


あらすじと注目ポイント


第7巻 アメリアは、イザヤの自殺未遂を防ぐ


第7巻の構成は


第28話 セントルイス④

第29話 セントスイス⑤

第30話 セントルイス⑥

第31話 セントルイス⑦

第32話 セントルイス⑧

第33話 ミズーリ①

第34話 ミズーリ②

第35話 ミズーリ③

第36話 ミズーリ③

第37話 ミズーリ①

番外編 会ったことのない母の話を


となっていて、前巻でイザヤとラルフとのわだかまりが解消されたと思われたのですが、ここでラルフがコレラに罹患していることが判明。吐瀉し、症状の出てきた彼は屋敷の離れに隔離されます。


当時の治療としては、水分を補給しながらコレラ菌の減退を待つしか方法がなかったらしく、感染性も高いため、彼の世話は召使い二人のみがやることとなるのですが、ラルフを元気づけるため、アメリアはイザヤにおすすめの自作画をもっていかせるのですが、これがイザヤの自殺願望を呼び覚ましてしまいます。

炎に包まれた離れを前にして、アメリアのとった行動は、ということで、いつもの彼女の乱暴さが危機を救います。


イザヤの自殺騒動を阻止したアメリアたちは幌馬車を完成させ、イザヤとハイラム一行と出発するのですが、ミズーリにさしかかったところで、アメリカ陸軍のベル少佐とダッドリー少尉、フォスター軍曹たちと出会います。彼らはこのあたりでインディアンが馬を盗んだという情報がよせられため、周辺を捜査していたのですが、髪の長いイザヤをインディアンと間違えて捕まえようとして、アメリアたちと遭遇したわけですね。


そして、野営地に馬泥棒にやってきたインディアンらしき者を、アメリアがベル少佐の馬に同乗して追いかけることになるのですが、実はその犯人は・・という展開です。


ここで、この騒動で知り合った開拓民夫婦から、コナーがインディアンに連れされられた、という情報を得、話のほうはコナーの話へと移ります。


第8巻 アメリアはインディアン居留地へ向かう


構成は

第38話 ミズーリ②

第39話 カンザス①

第40話 カンザス②

第41話 カンザス③

第42話 カンザス④

第43話 カンザス⑤

第44話 カンザス⑥①

第45話 カンザス⑦②

第46話 カンザス⑧③

第47話 カンザス⑨④


となっていて、コナーはポタワトミ族の若者・ワワタシと一緒に彼らの居留地に滞在しています。


ワワタシは、部族が移住する時に白人の軍人を殺して逃亡した兄を始末しようとあちこち行方を探していたのですが、沢におちて5年前に死んでいたことをつきとめ、居留地に変える途中で怪我をし、コナーに助けられたという経緯です。そして、ワワタシをポタワタミ族の住むインディアン準州に到着したコナーは、長老のススメで部落に滞在することになります。


ここで、ポタワタミ族のバッファロー狩りに同行して、持ってきていたライフル銃で獣を仕留めたり、畑仕事を手伝ったり、とインディアンたちとの暮らしに馴染んでいきます。


しかし、その平穏は突然破られます。コナーを捜索していた、ベル少佐一行と、アメリアたちがインディアンの集落に乗り込んできて、さらに、コナーが無理やり連れ去られたと誤解したアメリアがインディアンたちにライフルの銃口を向けたため、両者の間が戦闘状態となってしまいます。

アイルランド移民のアメリアは、インディアンたちアメリカ先住民と白人の歴史をほとんど知らなかったため、一方的な正義感でしでかしたことなのですが、イザヤやエリ・ブルームフィールド、そしてフォスター軍曹たちからそれらの知識を得て、自己嫌悪に駆られ始めます。


さらに、これを複雑化させているのが、ポタワトミ族が移住した際に、ワワタシの兄が殺した「白人の軍人」はベル少佐の父親というところですね。


レビュアーの一言


前巻では、第1巻から第2巻はニューヨークにおけるアイリッシュ差別、前巻までは南部諸州の黒人と奴隷問題に直面したアメリアなのですが、今回はアメリカの先住民の問題に直面しています。この物語がアメリカの開拓の歴史を追いかけるように西部へ向かう話なので、アメリカの黒歴史も含め、避けてはとおれない話題を正面から向かっているところは立派です。

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