「貴族浄化」目論むモリアーティ、本格始動。そこに仇敵・シャーロック・ホームズ出現=「憂国のモリアーティ」2・3(ジャンプコミックス)

2023年3月12日日曜日

憂国のモリアーティ

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 若干21歳でイギリスの名門・ダラム大学の数学教授に抜擢されたほどの類まれな頭脳と、あらゆる分野にわたる知識をもち、世界一有名な名探偵「シャーロック・ホームズ」の最大の敵役で、ロンドンで迷宮入りする事件の過半数は彼の犯行と噂される犯罪卿「モリアーティ教授」の犯罪と彼らの真の目的を描く、クライム・コミック「憂国のモリアーティ」の第2弾と第3弾。


前巻で、「モリアーティ教授」の誕生秘話と、モリアーティ兄弟が成長して、イギリスの北東部にある大学都市・ダラムを根拠地にして、階級にのっかって悪事を重ねている貴族を殺害して「世直し」活動を始めている様子が描かれていたのですが、今タームでは、宿敵シャーロック・ホームズと遭遇します。


あらすじと注目ポイント


第2巻 モリアーティは陸軍の諜報組織を手に入れ、ロンドンで「貴族浄化」開始


第2巻の構成は


#4 伯爵子弟誘拐事件

#5 ノアティック号事件 第一幕

#6 ノアティック号事件 第二幕

#7 シャーロック・ホームズの研究 第一幕


となっていて、冒頭の「伯爵師弟誘拐事件」では、ロンドンの陸軍省に勤務するモリアーティ教授の長兄・アルバートが省内で同僚の中佐と新造アヘンの取締の提案をするのですが、お偉方達の抵抗でプランが潰されてしまうところから始まります。


実はこの少し前、植民地インドの統治権がイギリスに移譲されたことから東インド会社が解散し、会社が闇で行っていたアヘン・ビジネスを海軍や貴族の有力者が受け継いだという噂があり、それらとのトラブルを嫌ったという意向が見え隠れします。


このため、アルバートは、ダラムにいる弟のウィリアムほかのモリアーティ・チームを呼び寄せ、この案件の捜査を命じます。しかし、ロンドン駅についたところで、何者かにウィリアムが拉致されます。ウィリアムが、前巻の「橋の上の踊り子」でダラムでアヘンの密売組織の黒幕だったダドリー卿から彼の保有していた組織のアヘンを横取りした、という密告をうけたロンドンの組織が動き始めた、というところなのですが、実はこれはある人物が企みで・・・という展開です。


このアヘン摘発事件で、アルバートは、陸軍直属の諜報組織の指揮権を手に入れることになるのですが、陸軍で複数の諜報組織を束ねているのが、シャーロック・ホームズの関係者なのですが、詳しくは原書で。


中盤の「ノアティック号事件」では、前話で、陸軍の諜報組織の指揮権を得たアルバートほかのモリアーティ・チームは、彼らの本当の目的である「貴族階級の浄化」活動をロンドンで本格化させはじめます。


「ノアティック号」はこの当時に建造された豪華客船という設定で、モデルは、タイタニック号とオリンピック号でしょうか。この船に招待されている、ロンドンの貴族で莫大な財産と領地を持っている「プリッツ・エンダース伯爵」が今回のターゲットになるのですが、彼には、街の浮浪者や子供を攫って、領内の猟場で「人狩り」をしているという噂のある人物です。


船内への入場の順番とかでも優先するよう係員に高圧的にでるなど、庶民を上から見た、階級意識ぷんぷんの男なのですが、貴族階級の女性には妙に人気があるのが、この国の階級制度の業の深いところですね。


そして、船内の不自由な環境や、別荘の火事や、経営する炭鉱の事故とか悪い知らせが相次いで入り相当なストレスを抱えたところで、彼の「人間狩り」の欲望を誘い出します。ちょうど乗り合わせていた酔っぱらいの中年男を自室に呼んで刺殺し、その黒い欲望を満足させたエンダースだったのですが、その場面をウィリアムの目撃されてしまいます。同じ貴族のよしみということで、彼の犯行の隠蔽工作に協力するウィリアムなのですが、実はこれは「エンダース」を嵌めて、彼を社会的に葬りさるモリアーティ・チームとアルバート率いる諜報組織MI6の初仕事で、という筋立てです。


彼らの企みで、エンダースの犯行が多くの人たちの面前に明らかになるのですが、この陰に何か企みがあることに気づいた人物がいます。それが、モリアーティ教授のライバルとなる「シャーロック・ホームズ」で、という展開です。


第3巻 ホームズはモリアーティの「貴族浄化」の重要なキャストになる


第3巻の構成は


#8 シャーロック・ホームズの研究 第二幕

#9 シャーロック・ホームズの研究 第三幕

#10 バスカヴィル家の狩り 第一幕

#11 バスカヴィル家の狩り 第二幕


章の冒頭での、ハドソンさんの下宿でのホームズの品行の悪さとか、ワトソンとの出会いは、原作にほぼ忠実に描かれているのでお楽しみに。


で、シャーロックのオーディションとなる設定が、自邸内でドレッパー伯爵が血染めのダイイングメッセージで「SHERLOCK」とシャーロック・ホームズの名前が残されていたというもの。第一容疑者としてロンドン市警に逮捕されたホームズは、友人のレストレイド警部の助けられて、自ら真犯人探しに乗り出すこととなります。


ホームズは、血文字のダイイングメッセージが貴族育ちの伯爵とは違う太い指で書かれていたことや、テーブルの下の落ちていた指輪、そして、伯爵の邸宅の前の馬車の轍をみて、ある犯人像を導き出し・・という展開です。


ホームズは、さらに伯爵が領地内で、彼が人身売買や誘拐で若く美しい女性を集めて虐殺していることを調べ上げ、ある犯人に行き着くのですが・・という展開です。


実はここから、モリアーティ兄弟の本当のし掛けが動き出すので、詳細は原書でたしかめてくださいね。


後半の「バスカヴィル家の狩り」は、ノアティック号事件で始末された「エンダース伯爵」も参加していた人間狩りの首謀者であるダートムアに領地をもつバスカヴィル男爵の悪業を暴き、これに参加していた貴族たちを始末していく話です。


この話から、今まで「貴族浄化」に末弟のルイスが本格参加することになります。


レビュアーの一言


第2巻の後半から登場する、シャーロック・ホームズの下宿の管理人の「ハドソン」さんなのですが、昔の「ホームズ本」では「ハドソン夫人」となっていたり、その風貌やフルネームも詳細な描写はなく、次のタームの「大英帝国の醜聞」の底ネタである「ボヘミアの醜聞」では「ターナー夫人」と呼ばれていたり、ハドソン氏はシリーズを通じて登場しない謎の多い女性です。


このシリーズでは、ホームズとほぼ同年輩の、ミドル階級に属する女性として描写されています。


熱狂的なシャーロック・ホームズ・ファンのシャーロキアンの中には、シャーロック・ホームズの恋人という人もいるようですね。


このシリーズでも、ホームズを支える名脇役として活躍していくキャストです。

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