新選組の良心「山南敬介」切腹を命じられる=ヒラマツ・ミノル「アサギロ」28(ゲッサン少年サンデーコミックス)

2024年1月15日月曜日

アサギロ

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 幕末の歴史を、薩摩の西郷隆盛や長州の桂小五郎といった倒幕勢力や土佐の坂本龍馬といった維新志士たちの対抗勢力として、必殺の剛剣をふるって、京都の街を血で染め「浅葱色の狼」として恐れられた新選組の近藤勇や土方歳三、沖田総司の姿を描いた『ヒラマツ・ミノル「アサギロ」(ゲッサン少年サンデーコミックス)』シリーズの第28弾。


蛤御門の変では中心から遠ざけられて、目立った功績は挙げられなかった新選組だったのですが、池田屋事件が評判になって入隊希望者が殺到し始め、伊東道場の道場主・伊東甲子太郎といった有名人も加わってくる中、多摩道場からともに活動してきていた古参の隊士の粛清が始まるのが本巻です。


あらすじと注目ポイント


第28巻の構成は


第169話 山南敬介

第170話 北辰の人

第171話 脱走

第172話 追っ手

第173話 自刃ニ臥ス

第174話 危篤


となっていて、冒頭では弟の谷万太郎に「大阪新選組」を任されたのはいいけれど、京都の本隊から離され疎外感をかこっている七番隊の隊長で槍術師範の谷三十郎が、大阪の不逞浪士の大阪城焼き討ち計画の情報をもってきます。

彼はこの事件を鎮圧して、大阪の屯所を京都に負けない拠点にするつもりなのですが、この鎮圧計画の指揮を、新規参入組の伊東甲子太郎に任されたことで、功をあせり、浪士たちを取り逃がしてしまいます。この不始末に切腹を覚悟した谷だったのですが、意外にも伊東が近藤たちへ報告した内容は、谷たちが負傷しながらも討ち果たしたという正反対の内容です。


狐につままれた感じの谷なのですが、ここらからすでに伊東甲子太郎の内部工作は始まっているようですね。


中盤部分は、本巻の主題となる「山南敬介」の脱走と切腹事件です。


新選組の西本願寺移転を阻止した山南だったのですが、これ以後も、新選組の動きが土方の専制となることを憂い、新選組を二派に分断し、土方をその過程で始末することを計画します。


このため、かねてから贔屓にしていた島原の「天神」である明里を見請けして知り合いの鶴松屋に預け、自らは新選組を脱走した態にして土方が追手としてやってくるのを待ちます。しかし、彼が待ち受ける山間の寒村にやってきたのは、土方ではなく「沖田総司」で・・という筋立てです。


一説には弟のように可愛がっていた沖田が単身でやってくれば山南も抵抗せずに捕まるだろうという土方の思惑があったという話も残っています。


土方の思惑通り、山南は大人しく捕縛され、その後、近藤たちに脱走の動機を尋問されるのですが、女と逃げるためだったというミエミエの嘘を突き通し、沖田総司の介錯で切腹を果たすこととなります。本書では定刻に遅れてやってきた近藤たちを責めもせず。、たんたんと仕事をこなすかのように腹を切っています。


最終話は、伊東道場の跡取り娘だった奥方に翻弄される、出世欲の塊であった伊東甲子太郎の様子が描かれているのですが、詳細は原書のほうでどうぞ。


レビュアーの一言


隊士の粛清が相次いでいく新選組なのですが、水戸派と試衛館派の対立の結果という色合いの強く、乱暴者であった芹沢鴨の粛清事件と違って、優しく温厚な性格から隊士だけでなく市中の人からも慕われていた彼の切腹事件は、その原因など真相は霧の中のままです。


さらに、北辰一刀流の免許皆伝という剣の腕からすると、沖田以外の隊士が捕縛に向かえば多くのぎ性がでていたはずで、沖田の迎えに抵抗せず縛についた潔さは見事なものですね。


土方ファンの方には叱られるでしょうが、この山南敬介切腹事件は土方の失点といわざるをえませんね。

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