お蝶は鳥居を選び、涙の別れ。そしてセンゴクは浅井攻めへ = 宮下英樹「センゴク 13」

2019年10月24日木曜日

宮下英樹ーセンゴク

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 美濃・斎藤家の落ち武者から国持大名にまで出世したのに、自らの突出によって島津との戦に敗戦して改易。一家離散のどん底から再び国持大名まで出世。さらには徳川二代将軍のときには「秀忠付」に任命されるなど徳川幕府の重鎮となった「仙石久秀」のジェットコースター人生を描く「センゴク」シリーズの第1Seasonの第13巻。

 稲葉山城の落城から浅井家の滅亡までが描かれるSeason1も、前巻までで、武田信玄が没し、朝倉義景率いる越前朝倉家が信長に滅ぼされ、いよいよ、浅井長政・お市と織田信長の対決の場面に向かいます。


【構成と注目ポイント】


構成は


VOL.120 ろうまんす

VOL.121 せめて一太刀

VOL.122 一言の願い

VOL.123 鳥居捕縛

VOL.124 お蝶殿

VOL.125 首実検

VOL.126 三つの関門

VOL.127 長政とお市

VOL.128 第一関門大手口

VOL.129 敵を囲む


となっていて、前半部分は、前巻で当主・朝倉義景が自害した後の朝倉家の姿が描かれる。まずは、義景の自害を見届けた鳥居兵庫が、朝倉の裏切り者・朝倉景鏡を討とうと寺から飛び出すが、織田勢、朝倉景鏡軍にによって返り討ちにあうところからスタート。


彼が捕らえられる場面から戦死する場面までを、お蝶が見守っており、センゴクと過ごした時間より、鳥居兵庫と一緒にいた時間の濃密さを思うと、彼女がセンゴクではなく、鳥居を選んだのも無理はないですね。


そして、鳥居兵庫を

面の皮を剥げぬなら指を切れ、爪を割れっ

この不義者に民の痛みを思いしらせぃーー!

と拷問にかけようとする朝倉景鏡を制して、鳥居にトドメを指すのがセンゴクです。弓矢で射るので形式は違うのですが、介錯と同じような意味合いであろうかと思います。


お蝶は、この後、朝倉義景の次女とともに、石山本願寺に逃れます。この次女は本願寺顕如の息子・教如の妻となるので、このセンゴク・シリーズのSeason2以降で再び登場する場面もあるかと思います。


本巻の後半はいよいよ浅井攻めです。藤吉郎隊は他の部隊に先駆けて、浅井の本拠・小谷城近くの虎御前山を守る織田信忠のもとへ駆けつけます。


そして、そのまま元浅井の陪臣であった藤堂高虎を呼び出し、藤吉郎の軍師・竹中半兵衛が、彼に小谷城の「虎口」を教えろと迫ります。


「虎口」というのは、虎の歯牙に例えられる、城の要となるところで、防御の最も堅いところです。半兵衛によれば、そこは

敵が最も守るべきところ

つまり最大の急所でもある

ということで、そこを陥落させて侵入すれば城は陥ちる、と断言します。

 しかし、そこへ到達するには

一つ 大手口っ

二つ 畝堀っ

三つ 曲輪群

の3つの関門があり、さらに「虎口」には明らかになっていない仕掛けがある相当の難所で、そこを陥とすには、相当の智略と力技が必要になるのは間違いありません。そこに向かって藤吉郎たちは意気盛んに攻めかかるのですが・・といったところで、詳細は原書のほうで。

ちなみに第一関門の大手門は、可児才蔵が強引に突破いたします。


【レビュアーから一言】


朝倉の一乗谷が陥落し、織田の大軍が迫ってくることを予測して、浅井家の重臣で、長政に子供の頃から仕えてきた「赤尾清綱」が信長の反対勢力に応援を頼むよう進言するのですが、浅井長政は、今の浅井家に味方する者はいない、浅井家は周囲の勢力に利用され続けた上に裏切られた、と吐き捨てるように言って、

なにも信じぬ

他家の助勢も頼まぬ

家臣も敵に投降するに任せよう

我が信じる処はっ

この体躯と浅井三代で築きし小谷城のみ!!

と宣言します。ただ、当方が思うのは、一番の裏切りは、長政がお市の方の野望に乗っかって、信長を裏切ったところから、浅井家の読み外れが続いているように思えますがいかがなものでしょうか。

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